親の身長に合う杖の長さ・高さは?
目安の計算式と、正しい合わせ方・調整の手順

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杖を買ってあげたい。でも親は離れて暮らしていて、店で一緒に試せない——そんなとき頼りになるのが「身長÷2+2〜3cm」という目安の式です。たとえば身長152cmなら78〜79cm。ただ、この式だけで決めてしまうと、腰の曲がりや腕の長さが反映されず、合わないことがあります。この記事では、目安式の正しい使い方と、理学療法士が使う合わせ方、届いてから親と一緒にやる調整の手順まで、順番に説明します。

先に結論

通販で買うなら、目安式(身長÷2+2〜3cm)で当たりを付けて、その長さを含む「調整式」の杖を選べば大きく外しにくくなります。届いたら、靴を履いて立ち、腕を自然に下ろした手首の高さにグリップが来るか(肘が軽く曲がるか)で微調整。要支援・要介護の認定があるなら、介護保険のレンタルで福祉用具専門相談員に合わせてもらうのが手堅い選択です。 → 親の身長から目安を計算する(10秒)

長さ・高さの目安の計算式と、理学療法士が使う3つの合わせ方

杖の説明書やメーカーの解説でよく使われる目安が「身長÷2+2〜3cm」です。靴を履いた状態を前提にした数字なので、普段の外出靴で考えます。

一方、リハビリの現場で理学療法士が使う合わせ方は、大きく3つあります。

  1. 肘の角度で合わせる:杖先を足の小指の外側・約15cm前方に置き、肘が約30度曲がる長さにする。SGマーク(製品安全協会)の基準でも、杖先を足先の前方約20cmに置いて肘が30〜40度曲がる位置が推奨されています。
  2. 大転子(足の付け根の骨の出っぱり)の高さに、グリップの上端を合わせる。
  3. 手首の高さ:背筋を伸ばして腕を自然に下ろし、手首のしわのあたりにグリップが来る長さにする。この長さで杖をつくと、肘は自然と30度前後に曲がります。

身長式や大転子の方法は、腕の長さや背中の丸まりが反映されにくく、誤差が出ることがあります。リハビリ職の解説では、③手首の高さ(=肘が軽く曲がる長さ)で確認する方法が推奨されています。肘30度前後は、肘を伸ばす筋肉(上腕三頭筋)が力を出しやすく、体重を支えやすい角度だからです。

つまり実務的には——目安式で「買う長さの範囲」を決めて、手首の高さで「実際の長さ」を微調整する。この二段構えで考えると迷いません。親の身長から目安を計算するツールも用意しています。

届いたらやる調整の手順(靴を履いて・5分)

いま売られている杖の多くは、ボタン(ピン)を押しながらシャフトをスライドさせる調整式です。刻み幅は製品によりますが2〜2.5cm程度のものが多く、届いてから親の体に合わせられます。

  1. 普段履く靴を履いて、平らな床に立つ。かかとの高さで最適な長さが変わるので、室内メインなら室内の履物で。
  2. 背筋をできるだけ伸ばし、腕を自然に下ろす
  3. グリップの上端が手首のしわのあたりに来る長さに調整し、ピンがカチッと固定されたか確認する。
  4. 杖をついて肘が軽く(30度前後)曲がっているかを横から見て確認する。
  5. そのまま数歩あるいてみる。肩が上がっていないか、前かがみになっていないか、つき心地に違和感がないかを見る。

4点杖の場合はもうひとつ。脚部には向きがあり、持つ手を左右で替えるときは脚部を回転させて向きを切り替える製品が多くあります。向きが合っていないと脚が足に引っかかることがあるので、切り替え方は取扱説明書で確認してください。

高すぎ・低すぎだと何が起きる?

「なんとなく合わない」まま使い続けると、姿勢の崩れからかえって転びやすくなることも。調整してもしっくりこない、痛みがあって合う高さが見つからない場合は、自己判断で決めず、担当のケアマネジャーや理学療法士に相談してください。膝や腰に痛みがある場合、体の状態によって適切な長さの考え方が変わります。

なお、「杖を長くすれば楽になる」「4点杖なら誰でも安全」は、どちらも危ない思い込みです。4点杖は斜めにつくと一部の脚しか接地せず不安定になります。詳しくは自立式の杖(4点杖)の選び方で説明しています。

一度合わせたら終わり、ではない

高齢になると、身長は少しずつ縮んでいきます。数年前に合わせた杖が、いつの間にか「高すぎる杖」になっていることは珍しくありません。帰省のタイミングなどで、手首の高さとグリップの位置が合っているかをときどき見直してみてください。あわせて、杖先のゴムがすり減っていないかも一緒に。すり減った先ゴムは滑りやすくなります。交換用の先ゴムは通販でも売られています(幸和製作所など各メーカーの純正品があります)。

介護保険なら「合わせてもらえる」

要支援・要介護の認定を受けている親なら、多点杖(4点杖)は介護保険の福祉用具レンタルの対象です。レンタルの場合、事業者は利用者の身体の状況に応じて用具を調整し、使い方を説明することが制度上求められています。つまり、福祉用具専門相談員が高さを合わせて、使い方まで教えてくれます。専門職に任せられる分、家族だけで調整するより心強く、合わない場合は交換の相談もしやすい仕組みです。

また2024年4月からは、固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・単点杖(松葉づえを除く)・多点杖について、レンタルと購入(特定福祉用具販売)を選べる「選択制」が始まっています。長く使いそうなら購入を選ぶ道もあるので、どちらが合うかはケアマネジャーに相談してみてください。

まだ認定を受けていない場合の進め方は、親の介護のはじめ方(介護保険の申請)にまとめています。

調整幅が広い杖の例

通販で買うときに気をつけたいのが「調整できる範囲」です。調整範囲がせまい杖だと、目安式で出した78〜79cmがぎりぎり範囲外、ということが起きます。ここでは調整幅が広めの一例を挙げます(スペックはメーカー・販売ページの公表値。編集部による実機テストは行っていません)。

調整幅が広い
📏

島製作所 カーボン四点可動式 スモールタイプ(74MC)

62.5〜88cm・約440g

向いている場面
  • 小柄〜標準体型まで幅広い身長に対応したい
  • 脚部が地面に追従する「可動式」で屋外も使いたい
気になる点
  • 価格は1万円台半ば前後と、入門用よりは高め(2026年7月時点・店舗により変動)

調整幅が約25cmと広く、小柄〜標準身長(目安170cm程度まで)なら目安計算の結果がほぼ収まります。カーボンシャフトで約440gと軽めなのも、毎日使う道具として扱いやすいところです。

楽天で見る Amazonで見る

※Amazonは同シリーズの型違い(オールカーボン等)が混在します。型番74MC・調整範囲62.5〜88cmかどうかを商品ページでご確認ください。

タイプ別(軽さ重視・安定重視・まず試す)の選び分けは、自立式の杖の選び方で3タイプを比較しています。

よくある質問

説明書どおり「身長÷2+2〜3cm」で合わせれば大丈夫?

買う長さの当たりを付けるには十分です。ただし腕の長さや背中の丸まりは式に反映されないので、最後は、腕をだらんと下ろしたときの手首の位置にグリップがそろうか、杖をついて肘が軽く(30度前後)曲がるかを見てください。

靴を履いて合わせるべき?室内用ならどうする?

目安式は靴を履いた状態が前提です。外出用なら普段の外出靴で、室内メインなら普段の室内の履物で合わせてください。かかとの高さのぶん、最適な長さが変わります。

何cm刻みで調整できるの?

ボタン(ピン)式の調整杖は2〜2.5cm刻みのものが多いです。刻み幅と調整範囲は製品ごとに違うので、販売ページの「長さ調整範囲」だけは買う前に見ておいてください。

両親で1本の杖を共用してもいい?

おすすめしません。身長が違えば合う長さも違い、使うたびに調整し直すのは現実的でないからです。4点杖は脚部の向きも使う人の手に合わせる必要があります。1人1本を基本に考えてください。

身長から目安を計算する