自走式と介助式の車椅子、どっちを選ぶ?「自分でこげるか」を見極める
親に車椅子を用意したいが、2種類あってどちらが合うのか分からない方へ

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親のために車椅子をそろえようと調べ始めると、まず「自走式」と「介助式」という2つの言葉にぶつかります。見た目は似ていますが、本人が自分でこげるか誰が押すことを前提にしているかが根本的に違います。ここを取り違えると、「せっかく買ったのに本人が動かせない」「重くて車に積めない」といったズレが起きがちです。この記事では、離れて暮らす家族の目線で、2つの違いと「うちの親はどちらが合うのか」の見極め方、そしてまずレンタルで試すのが合理的な理由(介護保険のしくみ)まで、順番に整理します。

先に結論

自走式と介助式は何が違う?まず後輪の大きさを見る

2つを見分ける一番わかりやすいポイントは、後ろのタイヤ(後輪)の大きさです。

つまり自走式は「本人が動かせる+押してもらえる」、介助式は「押してもらう専用で軽い」という関係です。どちらが上・下ではなく、本人が自分で動く場面があるかどうかで向き不向きが分かれます。

「自分でこげるか」を見極める3つのチェック

自走式を選ぶ意味があるのは、親が実際に自分で操作できるときです。次の3点を、できれば本人と一緒に確認してみてください。

  1. 腕・手の力:両手でハンドリムを握り、繰り返し回して進めるだけの力が続くか。片麻痺などで片手が使いにくい場合は、両手でこぐ動作が難しいことがあります。
  2. 座って姿勢を保てるか(座位保持):背もたれに頼りきりにならず、ある程度自分で座った姿勢を保てるか。姿勢が崩れやすい場合は、こぐ以前に安定した座り方の相談が先になります。
  3. 操作を理解して安全に使えるか:ブレーキのかけ方や、曲がる・止まるといった操作を理解し、周囲に注意を向けられるか。認知面で不安がある場合は、本人がこぐより介助者が押すほうが安全なこともあります。

3つがそろい「自分で動きたい・動ける」なら自走式が生きます。1つでも難しく、基本は誰かが押す前提なら、軽くて扱いやすい介助式が現実的です。迷うときは自己判断せず、理学療法士やケアマネジャー、福祉用具専門相談員に、本人の状態を見てもらったうえで選ぶと安心です。

使う場面から選ぶ:屋内・屋外・通院と車載

「どこで・どう使うか」を具体的に思い浮かべると、選びやすくなります。

車に積む可能性があるなら、購入・レンタル前に折りたたんだサイズと重さを必ず確認してください。数kgの差でも、毎回の積み下ろしでは大きな負担の差になります。実際に一度、車のトランクに入るか試せると理想的です。

自走式 vs 介助式 比較表と代表タイプ

迷ったとき用に、2つの違いを一覧にしました。数値は代表的な製品を目安にしたおおよその範囲で、モデルによって幅があります。

自走式介助式
後輪の大きさ大きい(おおむね22〜24インチ)。ハンドリム付き小さい(おおむね12〜16インチ)
本人がこげるかこげる(自分で操作+押してもらうも可)こげない(介助者が押す前提)
重さの目安おおむね12〜15kg前後おおむね8〜11kg前後(軽量型は8kg台も)
向く場面屋内で自分で動く/本人に操作の力がある通院の付き添い/車載/介助中心で軽さ重視
レンタル料金の目安月5,000〜8,000円前後(保険適用で自己負担1〜3割)月4,300〜6,200円前後の軽量型など(同上)

※料金は事業所やモデルで異なります。介護保険が使えれば、上記のうち1〜3割が自己負担(例:月5,000円なら500〜1,500円程度)。正確な金額は担当のケアマネジャー・福祉用具貸与事業所にご確認ください(最終更新:2026-07-12)。

使い方別に、代表的なタイプを整理しました。下記はメーカー公表スペックをもとに編集部が分類したもので、実機テストは行っていません。体格や使い方に合うかは、購入前にレンタルで試すのが安心です。

本人が自分で動くなら
🦽

自走式スタンダードタイプ

後輪22〜24インチ・約12〜15kg

向いている親
  • 腕の力・座位保持・操作の理解がそろっている
  • 屋内などで自分で動きたい
気になる点
  • 介助式より重い(約12〜15kg前後)
  • 幅がやや広く、車載時にかさばりやすい

1台で「自分でこぐ」と「押してもらう」を兼ねられるのが強み。段差や外でも比較的安定しやすいタイプです。

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通院・車載に
🚗

介助式 軽量・折りたたみタイプ

約8〜11kg(軽量型は8kg台も)

向いている親
  • 基本は家族が押す前提
  • 通院や外出の付き添いが中心
気になる点
  • 本人が自分でこぐことはできない
  • 後輪が小さく、段差や砂利道はやや不向き

軽くてコンパクト、車のトランクに積みやすいタイプ。介助ブレーキ付きなら坂道の付き添いも扱いやすくなります。持ち上げるのが誰かを考え、重さで選びましょう。

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体格に合わせたいなら
🔧

多機能(モジュール)タイプ

座幅・座面高を調整できる

向いている親
  • 標準サイズが体格に合わない
  • 姿勢の安定に不安がある
気になる点
  • 標準タイプより重く、価格も高め
  • 調整は専門相談員の関与があると安心

座幅・座面の高さを体格に合わせて調整しやすいタイプ。福祉用具専門相談員と相談しながら座り心地を合わせていける調整幅の広さが魅力です。自走式・介助式どちらの仕様もあります。

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見落としがちな4点:重さ・ブレーキ・タイヤ・座幅

タイプが決まったあとで後悔しやすいのが、次の細かい仕様です。

これらは実物を見て、できれば試乗して確かめたい部分です。この点でも、実際に見て触れられるレンタルなら、買ってから「体に合わなかった」という一番痛い失敗を避けやすくなります。

介護保険での借り方(軽度者は要注意)

車椅子は、介護保険でレンタルできる「福祉用具貸与」の対象です(貸与対象は車いす・車いす付属品・特殊寝台・付属品・床ずれ防止用具・体位変換器・手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえ・認知症老人徘徊感知機器・移動用リフト・自動排泄処理装置の13種)。肌に触れる・入浴や排泄で使うものは「特定福祉用具販売(購入)」の扱いですが、車椅子はレンタルが基本です。

ただし、ここに大きな注意点があります。軽度者(要支援1・要支援2・要介護1)は、車椅子(付属品を含む)が原則としてレンタルの対象外です。目安として要介護2以上で保険を使ったレンタルがしやすくなります。原則対象外とされているのは、車椅子・車椅子付属品・特殊寝台・特殊寝台付属品・床ずれ防止用具・体位変換器・認知症老人徘徊感知機器・移動用リフト・自動排泄処理装置です。一方で、手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえ(杖)は軽度者でもレンタルできます

「対象外なら軽度の親は絶対に借りられないの?」というと、そうとも限りません。例外給付という仕組みがあり、車椅子については「日常生活の範囲での移動の支援が特に必要と認められる」場合に、医師の所見やサービス担当者会議での検討(ケアマネジメント)を経て、市区町村が必要と判断すれば認められることがあります。手続きにはケアマネジャーによる評価・医師の意見・市区町村への申請などが必要になるため、まずは担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してください。

いずれにしても、体格や使い方に本当に合うかは使ってみないと分かりません。だからこそ、いきなり購入せず、まずレンタルで試すのが合理的です。制度の適用や自己負担割合は状況で変わるため、金額や可否はケアマネジャー・自治体の窓口で必ず確認しましょう。レンタルと購入の使い分けは福祉用具はレンタルと購入どっちがお得?でも詳しく解説しています。

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よくある質問

自走式なら、介助者が後ろから押すこともできますか?

はい。自走式は本人が自分でこぐことも、介助者が手押しハンドルを押すこともできます。「本人が動ける日は自分で、疲れたら押してもらう」といった使い分けができるのが自走式の利点です。逆に介助式は押す専用で、本人が自分でこぐことはできません。

親は片手が動かしにくいのですが、自走式でこげますか?

通常の自走式は両手でこぐ設計のため、片手が使いにくいと難しいことがあります。片手・片足で操作できるタイプなどもありますが、選定には専門的な判断が必要です。理学療法士やケアマネジャー、福祉用具専門相談員に本人の状態を見てもらったうえで選ぶことをおすすめします。

通院の付き添いだけに使うなら、どちらがよいですか?

車に積んで通院に付き添う使い方が中心なら、軽くてコンパクトな介助式が扱いやすい傾向です。折りたたんだときのサイズと重さ、そして誰が積み下ろしをするかを確認して選んでください。可能なら、実際に車のトランクへ入るか試してから決めると安心です。

要介護1の親でも、介護保険で車椅子を借りられますか?

要支援1〜要介護1の軽度者は、車椅子が原則としてレンタルの対象外です。ただし「日常生活の移動に特に支援が必要」と認められる場合は、医師の所見やケアマネジメントを経て市区町村が判断する例外給付が使えることがあります。まずは担当のケアマネジャーや地域包括支援センターにご相談ください。

買うのとレンタル、どちらがよいですか?

体格や使い方に合うかは使ってみないと分かりにくいため、まずはレンタルで試すのが合理的とされます。合わなければ別タイプへ変えやすく、費用の負担も抑えやすいためです。長期間ずっと同じものを使う見込みが立ってから購入を検討する、という順番がよいでしょう。判断に迷うときはケアマネジャーに相談してください。

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