「おむつ」と言わずに始められる:軽失禁パッド
吸収量の表示(10cc〜)で選ぶ
- 下着のしみが小さく、一部だけ
- 「おむつ」という言葉に強く抵抗がある
- 量が増えると追いつかない
- 男性用・女性用で形が違う
下着に貼るだけの薄いパッドです。少量用の小さい袋から試して、足りなければ吸収量の表示を上げます。肌に合うかは数日使ってみないと分かりません。
帰省したときに洗濯かごの中を見てしまった。夜中に何度もトイレに立つ音がする。電話口で「この前、間に合わなくてね」と本人がこぼした——。そのどれかに心当たりがあってこのページに来た方は、たいてい次に「紙おむつを買うべきなのか」と検索します。ですが尿もれの程度には段階があり、軽い段階には軽い道具があります。順番を飛ばして紙おむつを差し出すと、本人が拒否して話ごと止まってしまうことがあります。この記事では、いま親がどの段階にいるかの見分け方、段階別に最初に揃える物、月あたりいくらかかるか、そして介護保険で使えるもの・使えないものを順に整理します。
先に結論
排泄の道具を調べ始めると、検索結果はすぐ「大人用おむつの選び方」に行き着きます。ですが親の状態がまだ「たまに間に合わない」あたりなら、そこは何段階も先の話です。段階を飛ばした提案は、本人にとっては「もうそこまで見られているのか」という宣告として届きます。断られたあと、次に何か言うのはもっと難しくなります。
尿もれの程度と、本人が自分でできることの量で、道具は次のように変わります。
大事なのは、この順番が「悪化の段取り」ではなく「今どこにいるかの物差し」だという点です。段階3の親に段階4の道具を渡す必要はありませんし、逆に段階4で段階1のパッドを使い続けると、量が追いつかず寝具を汚すことになります。いま合っている道具に替えるだけと考えてください。
本人に「どれくらいもれるの?」と聞いても、正確な答えはまず返ってきません。代わりに、家族が見て分かる3点で判断します。
※この3点は、家族が道具を選ぶための目安です。医学的な診断や要介護度の判定ではありません。判断に迷う場合や、急に状態が変わった場合は、かかりつけ医か地域包括支援センターに相談してください。
ここを飛ばすと、本来なくてもよかった支出と手間が何年も続くことがあります。尿の悩みには、道具ではなく治療の側で変わるものがあります。
頻尿やもれの背景には、前立腺や膀胱の状態、あるいはいま飲んでいる薬の影響があることがあります。高齢の親は複数の医療機関から薬を受け取っていることが多く、家族が全部を把握していないのが普通です。「道具でしのぐ」の前に、いま出ている症状を医師に伝えてあるかどうかを確認してください。
ただし、ここで家族が原因を決めつける必要はありません。「病院で相談したことはある?」の一言までが家族の役割で、そこから先は医師の領域です。
受診に持っていくと話が早いのは、いつ・どんなときに・どれくらいもれたかのメモと、お薬手帳です。「夜だけ」「立ち上がったとき」「間に合わない」では、医師に伝わる内容がまったく変わります。
ここからは実際に買う物です。段階ごとに1つずつ並べます。この記事は排泄ケアの入口をまとめた記事なので、1商品を深く掘るより、どの段階で何を探すかの基準を示します。
下着に貼って使う、薄い吸水パッドです。「おむつ」という言葉を使わずに始められるのがこの段階の利点で、パッケージも吸水ケア用品として売られています。
参考にできる実売例:ユニ・チャーム「ライフリー さわやか男性用安心パッド 10cc」(16枚入・公式サイトの表記)は、価格.comの価格比較に表示されていた「最安価格」が437円(掲載15店舗/価格.comの商品ページ/2026年8月24日時点。同ページでの掲載名は「ライフリー さわやかパッド 男性用 微量用 16枚」。同ページのスペック欄にあるのは製品タイプ(尿漏れパッド)と枚数(16枚)で、吸水量10ccはメーカー公式ページの表記)。1枚あたり約27円の計算になります。なお「最安価格」は価格.comが掲載店の中で最も安い価格として表示している項目名で、当サイトが最安と判断したものではありません。この表示は日々変わり、掲載店も入れ替わります(以降は「価格.comに表示されていた価格」と書きます)。
吸水する層が縫い込まれた布製の下着です。洗って繰り返し使うタイプなので、使い捨ての物のように毎月買い足す形にはなりません。ただし初期費用として3〜5枚をそろえる必要があり、生地の傷み具合によっては買い替えが要ります。見た目も普通の下着なので、洗濯物に混ざっていても本人が気にしにくい——「おむつを使っている」と本人にも家族にも意識させずに済む点が、使い捨てタイプとの違いです。
※この段階の商品は価格の幅が大きく、今回は特定の型番の実売価格を確認していないため金額は載せていません。買い切りで洗って使うため、後述の月額の目安表では「買い切り(初期に3〜5枚。単価は未確認)」として扱っています。
下着と同じように自分で上げ下ろしできる紙製のパンツです。自分で履ける・自分で替えられるうちは、この段階で足ります。
参考にできる実売例:ユニ・チャーム「ライフリー うす型軽快パンツ Mサイズ 2回分 32枚」は価格.comに表示されていた価格が2,618円(掲載12店舗/価格.comの商品ページ/2026年8月24日時点)。1枚あたり約82円です。大王製紙「アテント 超うすパンツ 下着爽快 シンプルホワイト M」は、24枚入×3パックのケース品がLOHACOの販売ページで5,677円(税込・72枚)、1枚あたり約79円でした(2026年8月24日時点)。価格は販売店や時期によって変わります。
寝た姿勢のまま交換するタイプです。この段階では、外側のテープ型は替えず、中に入れた尿とりパッドだけを替えるのが基本の運用になります。テープ型は尿とりパッドより1枚あたりの単価が高く、交換のたびに体位を変える介助も必要になるため、毎回替えると費用も交換の手間も、パッドだけを替える場合より大きくなるからです。
参考にできる実売例:ユニ・チャーム「ライフリー 尿とりパッド スーパー 男性用 30枚」(価格.comでの掲載名)は価格.comに表示されていた価格が1,980円(価格.comの商品ページ/2026年8月24日時点)。1枚あたり66円です。なお外側のテープ型については今回、特定の型番の実売価格を確認していないため、下の月額の目安表でも「別途かかる」として扱っています。
段階1でも段階4でも要るのが、この2つです。むしろ本体より先に用意しておくほうが、いざというときに慌てません。
Q&Aサイトには「大人用のおむつを1〜2枚だけ買えないか」という質問が実際に投稿されています(読者と同じ立場の人の投稿で、統計ではありません)。この感覚はまっとうです。サイズが合わない・肌が合わない・本人が拒否するのどれかが起きると、大袋がそのまま残ります。
「もれる」のではなく「トイレまでの距離と時間が足りない」のが原因なら、道具を厚くするより先に、距離のほうを短くできます。
夜中にトイレへ行くとき、電気をつけずに歩く親は珍しくありません。焦って歩けば足元は見えず、転びます。寝室からトイレまでの経路に明かりを足す・つかまる所を作るのは、排泄の話を持ち出さずにできる対策でもあります。「夜の廊下が暗いから」という理由なら、本人も受け入れやすい。
実際に何を見て、何を置くかは実家の転びやすい場所7つと、帰省時10分チェックリストで、寝室からトイレまでの動線の確認手順、スイッチの位置、人感センサー付きの足元灯、据え置き型の手すりまでまとめています。
ベッドのそばに置く簡易のトイレです。これは介護保険の購入費支給の対象種目(腰掛便座)で、紙おむつとは制度上の扱いが違います(後述)。ただし、置き方を間違えると転倒につながる道具でもあります。
※置き場所・高さ・手すりの組み合わせは、本人の動き方によって変わります。介護保険を使って購入する場合は、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員が実際の部屋を見て選定します。自費で買う場合も、置いたあとに本人が座って立つところを一度見てから、位置を決め直してください。
ポータブルトイレを置くと、必ず出てくるのが処理とにおいの問題です。ここは消臭剤などの道具を足すよりも、「いつ処理するか」「処理の道具をどこに置くか」「捨てるまでどこに置くか」を先に決めておくほうが、処理が後回しになって部屋ににおいがこもる事態を防げます。
夜に一度でも寝具まで届くと、シーツを替えるだけでは済まなくなります。マットレスや敷布団は洗えないため、汚れが染みるとその日のうちに拭き取る・干して乾かすといった作業が増え、翌朝にかかる時間が長くなります。被害をシーツ1枚に留めるのが、この章の目的です。
実家に洗濯物を溜めない仕組みを作るなら、洗える防水シーツを2枚用意して交互に使うのが現実的です。1枚しかないと、洗って乾くまでの間、無防備な夜ができます。
敷く順番を決めておくだけで、朝にはがす枚数が変わります。
汚れがパッドで止まればパッドだけ、シーツまで届いたらシーツだけ、とはがす層が1枚で済むようになります。逆に防水シーツを一番上にしてしまうと、肌に直接あたって蒸れますし、汚れたときに全部やり直しになります。
※本人が「そこまでしなくていい」と言うことがあります。その場合、防水シーツだけ先に敷いておいて、パッドは置かない形から始めてください。防水シーツは普通のシーツの下に隠れるので、見た目には何も変わりません。
ここでつまずいたという声が、Q&Aサイトにも多く投稿されています。排泄は、本人がもっとも人に知られたくない領域です。断られたときの反応を「頑固だから」で終わらせると、次の一手がなくなります。
拒否されているのは、物ではなく「おむつ」という語のほうであることがあります。介護事業者が紹介している事例でも、「おむつをする」という表現を避けた言い換えが勧められています。段階1の軽失禁パッドや段階2の尿もれパンツは、そもそも見た目も売り場も普通の下着・吸水ケア用品の側にあります。「おむつ」と言わずに済む道具から入ると、話が止まりにくくなります。
言い換えの例:「パッド」「吸水パンツ」「下着」「これ、若い人も使ってるやつ」。実際、軽失禁の吸水ケア用品は幅広い年齢層向けに売られていて、事実として嘘ではありません。
逆に、大袋を黙って置いて帰るやり方は本人に受け入れられにくいやり方です。相談なしに決められたと本人が受け取り、使われないまま押し入れに入り、次の帰省で気まずくなります。
色・サイズ・メーカー・どこに置くか——決められる部分は本人に決めてもらってください。自分で替えられる段階の人から、選ぶ役割まで取り上げないことです。段階3までの親にとって、これは「まだ自分でやれている」という実感そのものです。
実際、歩けて自分で替えられる段階の人に、いきなり外側のおむつと尿とりパッドを重ねて渡したら「ごわついて居心地が悪い」と言われた、という声もあります(読者と同じ立場の人の投稿で、統計ではありません)。段階に合わない道具は、拒否される前に単純に使い心地が悪いのです。
排泄ケアの費用は、道具を買った日で終わりません。毎月続く支出です。ここを最初に見ておくと、あとで「思ったよりかかる」と慌てずに済みます。
店頭で見るのは1袋の値段ですが、家計に効くのは1枚あたりの単価 × 1日の枚数 × 30日です。同じ2,000円台の袋でも、入数が32枚か72枚かで単価は変わりますし、1日1枚の人と1日4枚の人では月の支出が4倍違います。
入数の違う商品が並んで売られているので、袋の値段ではなく1枚あたりで見比べてください。ケース品(3パックまとめ)は単価が下がりますが、段階が合っていると確認できてからにします。
下の表は、この記事で実際に販売ページを開いて確認できた単価から、編集部が「1日に使う枚数×30日」で計算した目安です。実際の枚数は本人の状態で変わりますし、価格は変動します。
| 段階 | 使う道具 | 1日の枚数の目安 | 月あたりの目安 | 介護保険の対象か |
|---|---|---|---|---|
| 段階1 下着に少しつく | 軽失禁パッド・吸水ライナー | 1〜2枚 | 約800〜1,600円 (1枚約27円で計算) | 原則、対象外(自費) |
| 段階2 下着を汚す日がある | 尿もれパンツ(布・洗って使う) | — (3〜5枚を洗って回す) | 買い切り (初期に3〜5枚。単価は未確認) | 原則、対象外(自費) |
| 段階3 間に合わない日がある | パンツ型 | 1〜2枚 | 約2,400〜4,900円 (1枚約79〜82円で計算) | 原則、対象外(自費) |
| 段階4 起き上がりに介助がいる | テープ型+尿とりパッド | パッド3〜5枚 | 約5,900〜9,900円 (パッド1枚66円で計算・テープ型は別途) | 原則、対象外(自費) |
| どの段階でも | 防臭袋・防水シーツ | — | 初期費用+袋の補充 | 原則、対象外(自費) |
| 参考 | ポータブルトイレ(腰掛便座) | — | 買い切り | 購入費の支給対象 (要支援1・2でも可) |
※「介護保険の対象か」欄について:紙おむつ・尿とりパッド・尿もれパンツ・防臭袋・防水シーツは、介護保険の福祉用具としては原則として対象になりません。ただし、市区町村独自の紙おむつ給付や、おむつ代の医療費控除など、別のしくみで負担が軽くなる場合があります(→制度の章)。
※単価の根拠は、いずれも2026年8月24日時点で販売ページに表示されていた税込価格です。軽失禁パッド=ライフリー さわやか男性用安心パッド 10cc(16枚)437円(価格.comに表示されていた価格・掲載15店舗)。パンツ型=ライフリー うす型軽快パンツ M 32枚2,618円(価格.comに表示されていた価格・掲載12店舗)およびアテント 超うすパンツ 下着爽快 シンプルホワイト M 72枚5,677円(LOHACO)。尿とりパッド=ライフリー あんしん尿とりパッド スーパー 男性用30枚1,980円(価格.comに表示されていた価格)。価格は販売店や時期によって変わります。価格比較サイトの「最安価格」の表示は日々変動し、掲載店も入れ替わるため、購入前に各販売ページで確認してください。
以下は順位ではなく、段階ごとの選択肢を並べたものです。編集部は実物を試しておらず、点数付けもしていません。
吸収量の表示(10cc〜)で選ぶ
下着に貼るだけの薄いパッドです。少量用の小さい袋から試して、足りなければ吸収量の表示を上げます。肌に合うかは数日使ってみないと分かりません。
見た目は普通の下着
洗って繰り返し使うので、使い捨ての物のように毎月買い足す形にはなりません(初期に3〜5枚が要ります)。まず1枚買って本人が履いてみてから買い足してください。実家に乾燥機がないなら、乾く速さも条件に入ります。
ウエスト周りとうす型/厚型で選ぶ
日中はうす型、夜は厚型と分けるのが基本です。サイズはヒップではなくウエスト周りで選びます。ケース買いは、段階が合っていると確認できてから。
テープ型と組み合わせて使う
外側のテープ型は替えず、中のパッドだけを替えます。量が足りないときは枚数を増やすのではなく、吸収回数の大きい物に替えてください。
大人用サイズと、洗える防水層
防臭袋はパンツ型・テープ型が入る大きめのサイズを。防水シーツは2枚あると、洗って乾くまでの無防備な夜がなくなります。
段階4まで進むと、パッドだけで月1万円近くになります。ここまで来て初めて、多くの人が「介護保険は使えないのか」「自治体の助成はないのか」と調べ始めます。結論から言うと、紙おむつそのものに介護保険は使えません。ただし別の道が2つあります。次の章で整理します。
ここは誤解が多いところです。同じ排泄まわりの道具でも、紙おむつとポータブルトイレでは制度上の扱いが正反対になります。
介護保険で使える福祉用具は、種目が国の告示・通知で決められています。レンタル(福祉用具貸与)は車いす・特殊寝台・床ずれ防止用具・体位変換器・手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえ・認知症老人徘徊感知機器・移動用リフト・自動排泄処理装置の11種目。購入(特定福祉用具販売)は腰掛便座・自動排泄処理装置の交換可能部品・入浴補助用具・簡易浴槽・移動用リフトのつり具の部分などです。
このどちらの一覧にも、紙おむつ・尿とりパッドはありません。対象種目に入っていないので、介護保険の給付は受けられず、原則として全額自費になります。
ここで補足しておきたいのは、告示や通知が「紙おむつを対象外とする」と名指しで書いているわけではないということです。実際に厚生労働省の通知(老企第34号)の本文を読むと、貸与・購入のどの種目の定義にも「紙おむつ」「尿とりパッド」という語は出てきません。除外の条項があるのではなく、そもそも対象種目として挙がっていないのです。
ただし、同じ通知の中に線引きの考え方は書かれています。「自動排泄処理装置」と「自動排泄処理装置の交換可能部品」の定義には、「専用パッド、洗浄液等排泄の都度消費するもの並びに専用パンツ、専用シーツ等の関連製品は除かれる」という除外がはっきり置かれています。つまり通知は、排泄のたびに使い捨てる消耗品と、その関連製品を給付の外に置くという線を明文で引いている。紙おむつ・尿とりパッドが対象種目に挙がっていないのは、この線引きと同じ考え方の上にあります。
一方、ポータブルトイレは対象です。厚生労働省の通知では「腰掛便座」に4つの類型があり、そのうち「便座、バケツ等からなり、移動可能である便器(居室において利用可能であるものに限る。)」がポータブルトイレにあたります。これは特定福祉用具販売(購入費の支給)の対象種目で、レンタルはできません。
そして、ここが誤解されやすい点です。要支援1・2の人も対象になります。制度の名前は、要介護1〜5では「特定福祉用具販売」、要支援1・2では「特定介護予防福祉用具販売」と変わりますが、変わるのは呼び名だけで、対象になる種目は同じです。
根拠は告示の条文の作りにあります。種目を定めた平成11年厚生省告示第94号は、表題そのものが「厚生労働大臣が定める特定福祉用具販売に係る特定福祉用具の種目及び厚生労働大臣が定める特定介護予防福祉用具販売に係る特定介護予防福祉用具の種目」で、腰掛便座から歩行補助つえまでを要介護度による限定を置かない1本のリストとして両制度に共通で規定しています。解釈通知(老企第34号)の該当章も、同じ表題で1本にまとまっています。金額の面でも、居宅介護福祉用具購入費の支給限度基準額と介護予防福祉用具購入費の支給限度基準額は、いずれも10万円で同額です。
ネット上には「要支援1では特定福祉用具販売は使えない」と読める説明がありますが、これは制度名の違いを利用制限と取り違えたものです。
混同の元になっているのは、たぶんこれです。福祉用具のレンタル(貸与)の側には、「軽度者」の制限があります。要支援1・2と要介護1の人は、車いす・特殊寝台・床ずれ防止用具・体位変換器・認知症老人徘徊感知機器・移動用リフトなどが原則として貸与の対象外になります(主治医の医学的所見やサービス担当者会議での協議を経て、例外的に給付される仕組みはあります)。
自治体が出している事務資料も、表題からして「軽度者の福祉用具貸与 対象外種目の例外給付について」であり、本文も「指定福祉用具貸与費については…原則として介護保険での貸与利用はできません」と書かれています。この制限は貸与にかかるもので、購入には及びません。
貸与と販売の切り分けそのものは、歩行器・車椅子は買うのとレンタル、どっちが得?で対象品目ごとに整理しています。
※このほか排泄予測支援機器も、特定福祉用具販売の対象種目に含まれています。どんな機器がどう使えるかは製品によって違い、本人の状態によって適否も変わるので、ケアマネジャーに相談してください。
ポータブルトイレを介護保険で買うつもりなら、買う順番を間違えないでください。購入費の支給を受けるには、次の3つが必要です。
先に買ってしまうと支給されないことがあります。買う前に、担当のケアマネジャーか地域包括支援センターへ相談してください。まだ要介護認定を受けていない場合は、親の介護、何から始める?最初の手続きまとめから見てください。
介護保険とは別に、市区町村が独自に紙おむつを給付・助成している場合があります。ただし対象になる要介護度も、所得の要件も、上限額も、市区町村ごとに違います。「いくらもらえる」と一律に言える制度ではありません。要件の立て方がどれだけ違うか、2つの例で見てください。
ここで押さえておきたいのは、要介護3以上を要件にする自治体があるという点です。この記事を読んでいる方の多くは「そろそろかもしれない」段階で、要介護認定をまだ受けていないか、受けていても軽度のはずです。その段階では、自治体の紙おむつ給付は使えないことが多いと考えておいてください。段階1〜3の費用は、当面は自費で見る前提になります。
※上の2市は一例です。お住まいの市区町村では要件も金額も異なります。金額は改定されることがあり、川崎市の限度額も令和8年4月から増額されています(上記は2026年8月24日時点の同市ページの表示)。実家のある市区町村の介護保険窓口か、地域包括支援センターで確認してください。
もうひとつの道が医療費控除です。国税庁は、傷病によりおおむね6か月以上にわたり寝たきりであり、医師の治療を受けている者のおむつ代は、医師による治療を受けるため直接必要な費用として医療費控除の対象になる、としています。
控除を受けるために必要なのは、次の2つです。
これらを確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示することが必要とされています。領収書は捨てないでください。その年に控除を使わなくても、要件を満たす年が来たときに、レシートを取っておく習慣があるかどうかで手間がまったく違います。
なお、おむつ使用証明書に代えて、介護保険の主治医意見書の内容を市区町村が確認した書類等でよいとされる、より簡易な証明の手続もあります。ただしこの簡易な手続がいつの申告分から使えるか、どの書類が必要かは、申告の年によって扱いが変わります。申告の前に国税庁のページと、お住まいの市区町村の窓口で確認してください。
※国税庁の表現は「おおむね6か月以上」です。「6か月経てば必ず対象」という意味ではなく、判断するのは医師と税務署です。控除の可否や必要書類の細目は、所轄の税務署にご確認ください。
調べているうちに一日が終わることのないよう、順番を絞ります。買い物は3番目です。
ここまで済んでから、月あたりの費用と制度の話に進めば十分です。段階4まで進んだ段階で改めてこの記事の制度の章に戻ってきてください。
できません。介護保険で使える福祉用具は種目が国の告示・通知で決まっていて、貸与(レンタル)11種目にも、購入の対象種目にも、紙おむつ・尿とりパッドは入っていません。対象種目に挙がっていないため、原則として全額自費になります。ただし、市区町村独自の紙おむつ給付や、おむつ代の医療費控除など、別のしくみで負担が軽くなる場合があります。詳しくは記事内の「介護保険と自治体の制度」をご覧ください。
介護保険の福祉用具は「貸与(レンタル)」と「特定福祉用具販売(購入)」に分かれていて、品目ごとにどちらになるかが制度で決まっています。車いす・歩行器・介護ベッドなどは貸与、ポータブルトイレ(腰掛便座)やシャワーチェアなどの入浴・排泄まわりは購入です。紙おむつはそのどちらにも入りません。貸与と購入の切り分け、費用の相場、軽度者の扱いは歩行器・車椅子は買うのとレンタル、どっちが得?で整理しています。
対象になります。要介護1〜5では「特定福祉用具販売」、要支援1・2では「特定介護予防福祉用具販売」と制度の呼び名が変わりますが、対象になる種目は同じで、支給限度基準額もいずれも10万円です。要支援1・2と要介護1の「軽度者」に一部の種目が原則対象外となる制限は、購入ではなく貸与(レンタル)にかかるものです。ただし支給を受けるには、都道府県等の指定を受けた事業者から購入すること、ケアプランに位置づけて必要と認められること、市区町村へ申請することが必要です。先に買ってしまうと支給されないことがあるので、買う前にケアマネジャーか地域包括支援センターへ相談してください。
実家のある市区町村の介護保険窓口か、その地域の地域包括支援センターが入口です。離れて暮らしていても、家族が電話で相談できます。認定を受けていないと、ポータブルトイレの購入費支給は使えません。自治体の紙おむつ給付も、要介護度を要件にしている市区町村があります(川崎市は要介護3〜5、倉敷市は要介護4・5)。要件は市区町村ごとに違うので、実家のある自治体の窓口で確認してください。手続きの入口は親の介護、何から始める?最初の手続きまとめからご覧ください。
変わることがあります。たとえば川崎市の紙おむつ等介護用品の給付では、施設等に入所している人や1か月に達する入院をしている人は対象外と定められています。介護や食事の提供等のサービスを受けている場合(有料老人ホーム等を含む)も施設とみなされます。ただしこれは市区町村ごとの制度なので、扱いは自治体によって異なります。施設側でおむつ代がどう扱われるかも施設ごとに違うため、入所・入院が決まった時点で、市区町村の介護保険窓口と施設の相談員の両方に確認してください。
要件を満たせば対象になります。国税庁は、傷病によりおおむね6か月以上にわたり寝たきりであり、医師の治療を受けている人のおむつ代は、治療を受けるため直接必要な費用として医療費控除の対象になるとしています。控除を受けるには、治療を行っている医師が発行した「おむつ使用証明書」と、支出したおむつ代の領収書を、確定申告書に添付するか提出の際に提示することが必要です。おむつ使用証明書に代わる書類が認められる場合もありますが、いつの申告分から使えるか・どの書類が必要かは申告の年によって扱いが変わるため、申告の前に国税庁のページと市区町村の窓口で確認してください。領収書は捨てずに取っておくことをおすすめします。
拒否されているのは物ではなく「おむつ」という言葉であることがあります。その語を使わずに済む道具から入ってください。軽失禁パッドや吸水機能のある布製の尿もれパンツは、見た目も売り場も普通の下着・吸水ケア用品の側にあります。伝え方は「もれてるでしょ」ではなく「こっちが心配だから置かせてほしい」と主語を自分に移すこと、理由を排泄から外して「夜、暗いなか歩くのが危ないから明かりを足させて」と動線の話にすること、「2枚だけ試して、合わなかったら捨てていい」と期間を区切ることの3つが実際的です。大袋を黙って置いて帰るのは、相談なしに決められたと受け取られやすく、使われないまま残りがちです。