お墓を継ぐ人がいないとき|樹木葬・納骨堂・永代供養墓・散骨の違いと、親と決めておくこと
一人っ子、娘だけ、子がみな遠方。実家のお墓のこの先を、親が元気なうちに話しておくために

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Yahoo!知恵袋には、一人娘で実家のお墓を引き継いだ方が「将来的に、実家のお墓をどうすればいいのか悩んでいます。」と書いた質問が出ています(2024年5月16日の投稿)。一人っ子、娘だけ、子がみな遠くに住んでいる。そうした家では、親の代のあとにお墓を継ぐ人がいないことは、親が「お墓をどうしよう」と言い出したときや、親の葬儀のことを考え始めたときに、目の前の問題になります。この記事では、継ぐ人がいないと今のお墓がどうなるかを法令と国の調査で確かめたうえで、親の納骨先の候補になる一般墓・永代供養墓・樹木葬・納骨堂・散骨・手元供養の6つを、継ぐ人が要るか、後から遺骨を取り出せるか、といった点で並べます。後半では、親が元気なうちに家族で決めておくことと、見学のときに聞くことをまとめました。今のお墓から遺骨を移す手続き(改葬許可・墓石の撤去・離檀料)は「遠方の親のお墓をどうする?墓じまいの進め方」で説明しているので、ここでは扱いません。

先に結論

納骨先6つの比較表を見る

継ぐ人がいないと、今のお墓はどうなるか

実家のお墓を継ぐ人がいなくなると、管理料を払う人も、墓地の管理者からの連絡を受ける人もいなくなります。そのあと区画がどう扱われるかは、墓地の種類によって決まり方が違います。

管理料の支払いが止まった区画の扱いは、墓地の使用規則と契約で決まる

「管理料を何年滞納すると無縁墓になる」という全国共通の年数は、法令に書かれていません。管理料を滞納しただけで無縁墳墓になる、という定めも法令にはありません。民営霊園や寺院墓地の場合、支払いが止まった区画をどうするかは、その墓地の使用規則と契約で決まります。

公営墓地については、総務省の調査に市町村ごとの判断の目安が載っています。市町村は、管理料の長い滞納、使用者の死亡や所在不明からの経過年数、継ぐ意思のある人がいるかどうか、立札への反応や墓参りの様子、の4つを組み合わせて、無縁かどうかを判断しています。年数の決め方も市町村によって違い、次のような例が挙がっています。

これは公営墓地の例です。実家のお墓が民営霊園や寺院墓地にあるなら、親に使用規則か契約書を見せてもらい、管理料が止まったときの扱いが書かれているかを確かめます。

法令上の「無縁墳墓等」と、官報と立札で1年間公告する手続き

法令でいう「無縁墳墓等」は、墓地埋葬法施行規則第3条の「死亡者の縁故者がない墳墓又は納骨堂」のことです。こうした墓を改葬するときは、墓地の経営者が縁故者を調べたうえで、縁故者に1年以内に申し出るよう求める文を官報に載せ、同じ内容を墓の見やすい場所の立札に1年間掲げます。その間に申し出がなければ、市町村長の改葬許可を受けて改葬します。

この官報と立札による1年間の公告は、縁故者がない墓を「無縁墳墓等」として改葬するときの手続きです。継ぐ人がいなくなった墓のすべてが、この手続きを経るとは限りません。使用期限のある墓では、期限が来たあとに契約に沿って合葬式の施設などへ移すことがあり、その場合は通常の改葬許可を取る、というのが厚生労働省の見解です(総務省の調査)。民営霊園や寺院墓地で、契約が終わったあとの区画をどうするかは、今のお墓の使用規則と契約で確かめてください。

公営墓地の調査:765市町村のうち445市町村が、無縁墳墓等が1区画以上あると回答

総務省行政評価局の『墓地行政に関する調査―公営墓地における無縁墳墓を中心として―』(令和5年9月13日に厚生労働省へ通知)によると、公営の墓地・納骨堂を持つ765市町村のうち、無縁墳墓等が1区画以上あると答えたのは445市町村(58.2%。疑いのあるものを含む)でした。同じ資料は、雑草が茂る、不法投棄の場所になる、被災したあと再建されずに荒れる、といった例を写真つきで挙げています。

資料は、一度生じた無縁墳墓等は時間がたっても自然には解消しないとし、無縁墳墓等が生じ始めたきっかけ(管理料の滞納など)を市町村ができるだけ早くつかみ、その後の対応につなげることが大切だとしています。そのうえで、縁故者の情報がどこまで把握されているかも調べています。実地調査した88市町村のうち、墓地使用者以外の縁故者の情報を把握している割合が20%未満の市町村は71(80.7%)でした。使用許可や承継の申請のときに、承継の候補になる縁故者の住所や電話番号まで書いてもらっている市町村は9(10.2%)です。

この調査の対象は公営の墓地と納骨堂で、民営霊園や寺院墓地の数字ではありません。それでも、継ぐ人がいないと分かっている家なら、親が元気なうちに今のお墓の管理者へ子の連絡先を伝えておくと、管理者が縁故者を探す手間を減らせます。

出典:墓地、埋葬等に関する法律施行規則 第3条(大分市掲載の施行規則の条文。e-Gov法令検索は参照日に表示できなかったため、自治体が掲載している条文で確認)/総務省行政評価局「墓地行政に関する調査」の結果説明資料(PDF)・公営墓地・納骨堂における無縁墳墓等の現状と課題(PDF)・法に照らした運用上の疑義に対する厚生労働省の見解(PDF)・報道資料。いずれも2026年10月22日参照。

納骨先6つの比較表

継ぐ人がいない家で候補になる納骨先を、6つの点で並べました。表の中身は、法令、厚生労働省の通知とガイドライン、総務省の調査、千葉市の募集資料で確かめた範囲で書いています。同じ「樹木葬」「納骨堂」でも施設ごとに契約が違うので、「契約書で確かめる」とした欄は、候補の施設ごとに確かめてください。

納骨先継ぐ人は要るか費用の払い方後から取り出せるかお参りの場所一人ずつ安置する期間
一般墓区画を誰かが継いでいく前提で選ぶ使用料と墓石の費用。管理料の定めは使用規則で確かめる今のお墓がある市区町村の改葬許可を受けて、別の墓や納骨堂へ移す手続きがある(移し先の受け入れと、今の管理者との調整が要る)区画と墓石期限のない契約と、使用期限のある契約がある
永代供養墓前提にしない(承継を前提とせず、経営者に埋蔵と管理を任せる方式)最初に一括で払うか、管理料が別にあるかを契約で確かめる合祀したあとは取り出せないとする契約がある。契約前に確かめる個別の区画、または合葬墓の共同の場所個別に安置する形、一定期間後に合葬墓へ移す形、最初から合葬墓に納める形がある
樹木葬継ぐ人を求める施設と求めない施設がある。契約書と使用規則で確かめる千葉市の公営の例は一括の使用料で、使い始めたあとの費用はかからない。民営は契約で確かめる合祀の区画は取り出せないとする契約がある(千葉市の公営の例は返還できないとしている)樹木などを目印にした区画や共同の場所個別の区画か合祀か、個別なら何年で合祀に移るか
納骨堂継ぐ人を求める施設と求めない施設がある。契約書と使用規則で確かめる年間の管理料がある施設とない施設がある。契約書で確かめる使用期限と、期限後に合祀へ移るかを契約で確かめる屋内の区画使用期限の有無と、期限後の扱い
散骨要らない(管理する区画が残らない)事業者に頼む費用を払う(厚生労働省のガイドラインは、事業者に費用の明細書を契約書へ付けるよう求めている)粉状に砕いてまくので、まいたあとは取り戻せない決まった場所は残らないなし
手元供養自宅で遺骨を持つ人が要る骨壺などを買う費用手元にあるので、後から墓や納骨堂に納める道は残る(受け入れの条件と必要な書類は納め先に確かめる)自宅なし(持つ人が亡くなったあとの行き先を決めておく)

※永代供養墓の欄は、厚生省生活衛生局長通知『墓地経営・管理の指針等について』(平成12年12月6日)、樹木葬の欄の千葉市の例は千葉市の令和8年度の募集資料、散骨の欄は厚生労働省の散骨ガイドライン、一般墓の改葬許可は墓地埋葬法第2条第3項(改葬の定義)と総務省の調査によります。出典は次の章の各項目の下に付けています。2026年10月22日参照。

表の見方

「継ぐ人」は、使用者が亡くなったあとに誰かが区画を継いで管理料を払う前提かどうかを表しています。「費用の払い方」は、最初に一括で払って終わるのか、年間の管理料がかかり続けるのかの違いです。「後から取り出せるか」は、あとで別の場所へ移したくなったときに、親の遺骨だけを取り出して移せるかを見る欄です。他の人の遺骨と一緒に納める(合祀する)と、取り出せないとしている契約があります。総務省の調査には、無縁墳墓等の遺骨を合葬式の施設へ移す市町村の中に、合祀すると後から返却を求められたときに特定が難しくなるとして、移す前に一時保管する例があると書かれています。「お参りの場所」は、子や孫がお参りに通う先がどこになるかを示します。「一人ずつ安置する期間」は、その期間が過ぎると個別の場所がなくなり、合祀の共同の場所でのお参りに変わるかどうかを見る欄です。

表に金額の列はありません。永代供養墓・樹木葬・納骨堂・散骨の費用の相場として出回っている数字は、調べた範囲では調査の主体や時期が確かめられなかったためです。金額は、候補の施設の資料と見積もりで比べてください。一次資料で確かめられた金額は、公営墓地の章の千葉市の例だけを載せています。

それぞれの確かめるところ

永代供養墓:「永代」の中身を契約書で確かめる

2000年の厚生省通知『墓地経営・管理の指針等について』は、永代供養墓を、承継を前提とせず、はじめから墓地の経営者に埋蔵と管理を任せる方式として説明しています。そのうえで、永代供養墓には決まった定義や慣習があるわけではないとしています。個別の区画で管理を続ける形、一定の期間が過ぎたら合葬墓へ移す形、最初から合葬墓に納める形など、実際の形はいろいろあり、中身は個々の契約で決まります。

「永代」という言葉から、一人ずつの場所がずっと続くと考えていると、契約の中身と食い違うことがあります。契約書で確かめるのは次の4つです。

使用期限のある墓で、期限後に合葬式の施設などへ移す場合について、厚生労働省は総務省の調査で、改葬許可が要ると答えています。申請者には墓地の経営者や管理者もなれるとされているので、期限が来たときに誰が手続きをするのかも、契約のときに聞いておきます。

なお、位牌を寺に預けて供養を続けてもらう形も「永代供養」と呼ばれることがあります。この記事でいう永代供養墓は、遺骨を納める墓のことです。仏壇と位牌の扱いは「実家の仏壇・位牌はどうする?」で説明しています。

国民生活センターの「墓・葬儀サービス」のページには、遠方の寺院の永代供養墓に納めている両親の遺骨を近くの霊園へ移したいが、寺院から高額な離檀料を求められて進まない、という相談が載っています。相談者の申し出をもとにした事例で、誰にでも当てはまる事実ではありません。ただ、一度納めた永代供養墓から別の場所へ移す可能性が少しでもあるなら、そのときの扱いも契約前に聞いておくと、あとで話がこじれにくくなります。

出典:厚生省生活衛生局長通知「墓地経営・管理の指針等について」(平成12年12月6日 生衛発第1764号)/総務省行政評価局「墓地行政に関する調査」の法に照らした運用上の疑義に対する厚生労働省の見解(PDF)/国民生活センター「墓・葬儀サービス」(2026年7月31日更新)。いずれも2026年10月22日参照。通知のその後の改訂の有無は確認できていません。

樹木葬:墓地の許可を受けた区域かと、区画が個別か合祀かを確かめる

「樹木葬」という言葉は、墓地埋葬法には出てきません。ただし、焼骨を土の中に納めるなら法律上の「埋蔵」にあたり、墓地として許可を受けた区域でしかできません(第4条第1項)。厚生労働省は総務省の調査の中で、「埋蔵」を焼骨を土の中に埋めて納めること、「収蔵」をそれ以外のすべての納め方、と整理しています。地上に設けた納骨室(カロート)に納める施設では、墓地か納骨堂かの判断が分かれる例もあると、同じ資料に書かれています。

自宅の庭などに埋めることはできません。東京都も、個人が庭などに墓地をつくることは法令上認められていないと案内しています。

樹木葬で確かめるのは次の3つです。

公営の例として、千葉市の合葬式樹木葬墓地を公営墓地の章で紹介しています。

出典:墓地、埋葬等に関する法律 第4条(京都市掲載の条文抜粋(PDF)。e-Gov法令検索は参照日に表示できなかったため、自治体が掲載している条文で確認)/総務省行政評価局「墓地行政に関する調査」の厚生労働省の見解(PDF)/東京都保健医療局「散骨に関する留意事項」。いずれも2026年10月22日参照。

納骨堂:許可を受けた経営者は誰か、運営が続かなくなった場合に遺骨をどう扱うか

納骨堂は、他人の委託を受けて焼骨を収蔵するために、納骨堂として許可を受けた施設です(墓地埋葬法第2条)。経営するには、都道府県知事(市と東京23区では市長・区長)の許可が要ります(第10条・第2条第5項)。納骨堂は屋内に遺骨を収める施設で、区画の形は施設ごとに違います。

2000年の厚生省通知は、墓地の経営主体を原則として市町村などの地方公共団体とし、それが難しい場合でも宗教法人や公益法人等に限る、という指針を示しています。ただ、これは墓地についての指針です。屋内の施設は外から見ただけでは運営の仕組みが分からないので、契約の前に次の点を確かめます。

出典:墓地、埋葬等に関する法律 第2条・第10条(京都市掲載の条文抜粋(PDF)。第2条第5項の括弧書き「市又は特別区にあっては,市長又は区長。以下同じ。」を含む。e-Gov法令検索は参照日に表示できなかったため、自治体が掲載している条文で確認)/厚生省「墓地経営・管理の指針等について」。いずれも2026年10月22日参照。

散骨:国の見解、厚労省のガイドライン、自治体の条例

散骨について、東京都保健医療局は、「墓地、埋葬等に関する法律においてこれを禁止する規定はない」という国の見解を紹介しています。そのうえで、法律上の手続きはないものの、念のため地元の自治体に確かめるよう案内しています。海や川では風評被害のおそれがあり、山では土地の所有者や近隣とのトラブルの例があることにも触れています。

厚生労働省の『散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)』は、令和2年度の厚生労働科学特別研究事業『墓地埋葬をめぐる現状と課題の調査研究』で取りまとめられ、同省の「墓地・埋葬等のページ」に載っています。ガイドラインは散骨を、墓地埋葬法に基づいて適法に火葬したあとの焼骨を粉状に砕き、埋蔵や収蔵以外の方法で陸地や水面にまいたり投下したりすること、と定義しています。事業者に求めているのは、次のようなことです。

海での距離について、ガイドラインに具体的な数字はありません。また、これは事業者に向けた指針で、家族が自分たちで散骨する場合の決まりではありません。事業者に頼むなら、約款、費用の明細書、散骨証明書が出てくるかを、見積もりの段階で確かめられます。

条例で散骨を禁止したり、散骨場の経営を許可制にしたりしている自治体もあります(一般財団法人地方自治研究機構の条例一覧)。散骨をするかどうかは、まく予定の場所に条例がないかも含めて、実家のある市区町村と散骨事業者に確かめてください。

墓じまいで取り出した遺骨を散骨する場合について、厚生労働省は総務省の調査で、他の墓や納骨堂に移すわけではないので改葬許可は要らないと答えています。東京都は、墓から取り出した焼骨を散骨する場合の扱いは区市町村で異なると案内しているので、今のお墓がある市区町村にも確かめてください。散骨したあとは、お参りに行く決まった場所は残りません。全部をまかずに一部を手元に残す方法もあり、その場合は次の手元供養とあわせて考えます。

出典:東京都保健医療局「散骨に関する留意事項」/厚生労働省「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」(PDF)・墓地・埋葬等のページ/一般財団法人地方自治研究機構「散骨に関する条例」/総務省行政評価局「墓地行政に関する調査」の厚生労働省の見解(PDF)。いずれも2026年10月22日参照。散骨を法的にどう考えるかは、この記事では判断していません。

手元供養:遺骨の一部を自宅に置く

手元供養は、遺骨の全部または一部を小さな骨壺などに入れて自宅に置く方法です。墓じまいで取り出した遺骨を自宅に置く場合も、他の墓や納骨堂に移すわけではないので改葬許可は要らない、というのが厚生労働省の見解です(総務省の調査)。ただし、庭などに埋めることは墓地埋葬法第4条でできません。骨壺の大きさの見方や、あとで納骨するときに備えて管理者に出してもらう証明書のことは、「遠方の親のお墓をどうする?墓じまいの進め方」の使う道具・資料とよくある質問で説明しています。手元に置く人が亡くなったあと、その遺骨をどこに納めるかも、あわせて決めておく必要があります。

一般墓:継ぐ人がいる場合、または継ぐ人がいなくなったときの決まりがある霊園

区画を借りて墓石を建てる一般墓を選ぶなら、次に継ぐ人が決まっているかが先に問われます。2000年の厚生省通知に付いた標準的な契約約款の解説では、墓の使用期限の決め方として、期限を設けない形のほか、管理料が払われている間だけ使える形や、長い使用期限を置いて期限後は納骨堂や合葬墓に移す形が挙がっています。継ぐ人が決まっていないまま一般墓を建てるなら、継ぐ人がいなくなったときに合葬墓などへ移す決まりがあるかを、契約前に確かめます。

墓石を建てる石材店に心当たりがないときは、複数の石材店から見積もりを取れる紹介サイトを使う方法もあります。たとえば「墓石ナビ」は、希望する墓石のイメージなどを入力して複数の石材店に見積もりを依頼でき、利用は無料とされています。ただし、霊園や寺院墓地が工事をする石材店を決めている(指定石材店がある)場合は、ほかの店に頼めないことがあります。申し込む前に、区画の管理者に指定の有無を聞いてください。

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出典:厚生省「墓地経営・管理の指針等について」(標準契約約款の解説)/墓石ナビ。いずれも2026年10月22日参照。

公営墓地という選択肢

市町村などが運営する公営墓地にも、複数の遺骨を一緒に納める合葬式の施設があります。総務省の調査では、公営の墓地・納骨堂を持つ765市町村のうち、合葬式施設があるのは195市町村(25.5%)でした。墓地の承継や管理が難しくなった家が合葬式施設へ移す場合に、使用料を免除する取り組みをしている市町村もあります。

申込みの条件は自治体ごとに違います。ここでは一例として、千葉市の令和8年度「平和公園合葬式樹木葬墓地」の申込みのしおりに書かれていた内容を紹介します。

項目令和8年度の募集の内容(千葉市)
募集期間2026年7月3日〜7月31日(終了しています)
住所の条件申込者が千葉市内に1年以上続けて住んでいること。市営墓地を返す区分は1年未満でも申し込めた
遺骨の条件(通常の区分)焼骨を手元に持っていて、その焼骨が申込者の配偶者・2親等以内の血族・パートナーシップを宣誓した相手のものであること
生前の申込み申込者本人が使う区分があった
使用料(1体あたり)通常の納骨60,000円、粉状にした焼骨の納骨40,000円。施設の維持管理費を含み、使い始めたあとの費用はかからない。一度納めた使用料は返還されない
承継承継者の有無に関係なく使える
焼骨の返還「一つのカロートに多くの焼骨を共同で埋蔵するため、埋蔵された焼骨を、返還することはできません」

千葉市の募集ページ(2026年10月14日更新)では、令和8年度の合葬式樹木葬墓地の募集は終わっています。次の募集の条件や金額は変わることがあるので、千葉市の最新のページで確かめてください。

千葉市の例では、申込者の住所が条件になっていました。ほかの自治体でも同じような条件があるなら、親と子のどちらが申し込むかで、申し込める自治体が変わります。実家のある市区町村と、子が住む市区町村の両方の募集案内を見て、住所の条件と遺骨の条件を先に確かめておくと、候補を絞りやすくなります。

出典:千葉市「平和公園 合葬式樹木葬墓地使用者の募集 申込みのしおり」(令和8年度・PDF)/千葉市「平和公園の墓地使用者募集」(2026年10月14日更新)/総務省行政評価局「墓地行政に関する調査」の結果説明資料(PDF)。いずれも2026年10月22日参照。

親と決めておくこと(話す順番)

納骨先は、親が亡くなってから子だけで決めることもできます。ただ、親自身の希望を聞けるのは、親が元気なうちだけです。知恵袋には、母を亡くしたあと親戚から永代供養を勧められ、認知機能が少しずつ低下している父の意見をはっきり聞けないまま迷っている、という相談も出ています(2023年1月9日の投稿)。話す順番の目安は次のとおりです。

1. 親の希望と、宗派・菩提寺の有無

最初に聞くのは、親自身がどこに入りたいかです。今のお墓に入りたいのか、先祖と同じ場所にこだわらないのか、散骨のような方法を望んでいるのか。そのうえで、宗派と、付き合いのある寺(菩提寺)があるかを確かめます。菩提寺がある場合、寺の墓地や寺の永代供養墓が候補に入ります。今のお墓が寺の墓地にあって別の場所へ移すなら、先に寺と話し合うことになります。

納骨先によっては、宗旨・宗派の条件があります。国民生活センターのページには、寺院に宗派を確かめて墓地を買ったのに、あとで別の宗派だと分かり、解約しようとしたら解約料を請求された、という相談が載っています。宗派の条件は口頭で済ませず、書面で確かめておきます。

聞いた内容は書き残します。聞き方は「親が元気なうちに聞いておくこと」の「葬儀とお墓の希望、菩提寺の有無」の項目、書き残し方は「エンディングノートはどれを選ぶか」で説明しています。

2. 兄弟の誰が契約者になるか、費用を誰が出すか

継ぐ人を前提にしない納骨先でも、申し込む人、契約書に名前を書く人、納骨の日に立ち会う人は要ります。公営墓地では申込者の住所が条件になることがあり(千葉市の例)、誰が申し込むかで選べる場所が変わります。

費用を兄弟でどう分けるかは、「親の葬儀費用は誰が払う?」で書いた進め方(先にお金の出どころを並べ、決めたことを記録に残す)が使えます。お墓や仏壇を引き継ぐ人(祭祀承継者)の決まり方は、「遠方の親のお墓をどうする?墓じまいの進め方」の「始める前に話す相手」で説明しています。

3. お参りに行ける距離と、縁故者の連絡先

子が遠方に住んでいるなら、実家の近くにするか、子の住まいの近くにするかで、お参りのしやすさが変わります。散骨を選ぶとお参りに行く決まった場所は残らないので、親が「お参りに来てほしい」と思っているかどうかも聞いておきます。

契約したら、契約書の置き場所と、管理者に届けている連絡先を家族で共有します。総務省の調査では、実地調査した88市町村のうち71で、墓地使用者以外の縁故者の情報を把握している割合が20%未満でした。子の住所や電話番号が変わったら、管理者に届け直してください。

出典:国民生活センター「墓・葬儀サービス」(2026年7月31日更新)/Yahoo!知恵袋「永代供養に切り替えた方が良いでしょうか?」(読者の悩みの例として紹介。事実や相場の根拠には使っていません)。いずれも2026年10月22日参照。

見学・資料請求のときに聞くことチェックリスト

候補を集めるなら、いくつかの霊園や納骨堂の資料を取り寄せて並べる方法があります。資料請求の窓口は「終活の始め方」の「お墓・供養の資料請求」にまとめています。資料が届いたら、または見学に行ったら、次の点を聞いてメモに残します。

契約と期間

費用

運営と許可

散骨を頼む場合

聞いた答えは、日付と相手の名前を添えて記録します。国民生活センターのPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に寄せられた「墓」の相談は、2023年度1,046件、2024年度1,018件、2025年度1,077件です(2026年5月31日現在。消費生活センター等からの経由相談は含みません)。これは墓全般の相談の件数で、納骨先の契約に限った数ではありません。契約をめぐって困ったときは、消費者ホットライン188(局番なし)に相談できます。

出典:国民生活センター「墓・葬儀サービス」(2026年7月31日更新)/消費者庁「消費者ホットライン」。いずれも2026年10月22日参照。

介護保険との関係と、相談する窓口

介護保険は、要介護・要支援の認定を受けた人が介護サービスを使うための制度です。納骨先の費用が介護保険の給付の対象になるかは、この記事では判断していません。給付の範囲は、実家のある市区町村の窓口かケアマネジャーに確かめてください。納骨先について関係する決まりは、墓地埋葬法と同法の施行規則、それに各墓地の使用規則と契約です。親が介護サービスを使っているなら、見学のために親と遠出する日程が決まった時点でケアマネジャーに伝えておくと、その日のサービスの調整を相談できます。

納骨先を決めるときに出てくる窓口は、確かめたいことごとに分かれています。

確かめたいこと窓口
公営墓地の募集の時期と条件その公営墓地がある市区町村(実家のある市区町村、子が住む市区町村)
散骨してよい場所、条例の有無実家のある市区町村、まく予定の場所の自治体、散骨事業者
今のお墓から遺骨を移す手続き今のお墓がある市区町村の改葬の担当
使用期限、合祀の時期、管理料候補の霊園・寺・納骨堂の管理者(契約書と使用規則)
契約や解約をめぐるトラブル消費者ホットライン188(消費生活センター)
お墓を継ぐ人をめぐる争い弁護士(家族の話し合いで決まらないときの手続きも含めて相談できます)

介護保険の申請や使い方は「親の介護は何から始める?」にまとめています。

よくある質問

永代供養は本当にずっと供養してもらえる?

「永代」の中身は契約によって違います。2000年の厚生省通知は、永代供養墓には決まった定義や慣習はなく、個別の区画で管理を続ける形、一定の期間が過ぎたら合葬墓へ移す形、最初から合葬墓に納める形などいろいろあるとしています。一人ずつ安置する期間、合祀の時期、期間後の扱い、管理料の有無を契約書で確かめてください。

散骨は違法?

この記事では、合法か違法かの判断はしていません。東京都保健医療局は、墓地埋葬法に散骨を禁止する規定はないという国の見解を紹介し、念のため地元の自治体に確かめるよう案内しています。一方で、条例で散骨を禁止したり、散骨場の経営を許可制にしたりしている自治体があります。厚生労働省のガイドラインは散骨事業者に、法令と条例を守ることや焼骨を粉状に砕くことを求めています。散骨を考えるなら、実家のある市区町村と散骨事業者に確かめてください。

樹木葬はどこでもできる?

焼骨を土の中に納める形なら、墓地埋葬法上の「埋蔵」にあたり、墓地として許可を受けた区域でしかできません(第4条第1項)。自宅の庭などに埋めることはできず、東京都も、個人が庭などに墓地をつくることは法令上認められていないと案内しています。候補の樹木葬が墓地の許可を受けた区域の中にあるかは、経営者に確かめてください。

夫婦や家族で一緒に入れる?

一緒に入れるかどうか、何人まで入れるかは、納骨先の契約や使用規則で決まります。公営墓地では、千葉市の令和8年度の合葬式樹木葬墓地のように、焼骨が申込者の配偶者・2親等以内の血族・パートナーシップを宣誓した相手のものであることを条件にしていた例があります。見学のときに、入れる人の範囲と人数を聞いてください。

今のお墓の遺骨も一緒に移せる?

今のお墓に納めてある遺骨を別の墓や納骨堂へ移すのは「改葬」にあたり、今のお墓がある市区町村の改葬許可が要ります。新しい納骨先が受け入れてくれるか、何体まで納められるかは、その納骨先に確かめます。取り出した遺骨を自宅に置く場合と散骨する場合は改葬許可は要らない、というのが厚生労働省の見解です(総務省の調査)。手続きの順番と書類は「遠方の親のお墓をどうする?墓じまいの進め方」で説明しています。

納骨先6つの比較表を見る