親が一人で出かけて帰れなくなる前に|先にやる無料の備えと、GPS端末の選び方・持たせ方
一度だけ道に迷った。次が怖くて調べ始めた人へ
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近所の人に連れ帰ってもらった。帰りがいつもより2時間遅かった。そのあとで「GPS」と検索している人が、この記事の読者です。結論から言うと、端末を買う前に、今日中にできる備えが4つあります。どれも、端末を買うような出費はいりません。端末は置いて出た日・充電が切れていた日には働きません。その日に効くのは、市区町村への事前登録と、靴や上着に残した名前と連絡先のほうです。この記事は、その順番で書いています。端末の比較は3章以降にあり、価格・月額は各社の公式ページまたは販売店ページの2026年9月6日時点の表示から取り、1年・3年の総額に直しました。
先に結論
順番は、①市区町村・地域包括支援センターの事前登録 →②衣類・靴・持ち物に名前と連絡先 →③顔写真と当日の服装を残す習慣 →④近所とよく行く店に一言。ここまでに、端末を買うような出費はいりません(①の事前登録に費用がかかるかどうかは自治体ごとに違うので、窓口で確認してください)。そのうえで端末を選ぶなら、決め手は機種の性能ではなく親が毎日どこに何を持って出るかです。鍵や財布を必ず持つ人ならキーホルダー型、何も持たずに出る人なら普段履きの靴、スマホを手放さない人なら位置共有で足りることが多いです。
持ち歩くGPS端末は原則として自費です。介護保険が関わるのは、玄関の通過を感知して知らせる据置き型の機器のほうで、対象になるかは保険者(市区町村)とケアマネジャーの判断になります。 → 端末の比較表を見る
今まさに親が見当たらないなら、先に読むところ
備えの記事ですが、検索から来た人の中には、いままさに親が見当たらなくなっている人もいます。その場合は、ここだけ読んで戻ってきてください。
- 110番をためらわない。「まだ数時間だから」「大ごとにしたくない」で待つ理由はありません。早く連絡するほど、探す範囲が広がる前に動けます。
- 市区町村や地域包括支援センターに事前登録をしてあるなら、警察にそのことを伝えてください。登録先の窓口にも連絡してください。
- 出かけたときの服装、持ち物、よく行く場所、以前見つかった場所を、聞かれたら答えられるように手元にまとめておきます。
残りは、親が戻ってから読めば間に合います。警察庁の資料では、2024年(令和6年)に警察へ届け出があった認知症またはその疑いによる行方不明者は1万8,121人です(警察庁「令和6年における行方不明者届受理等の状況」、2026年9月6日参照)。珍しいことではなく、届け出ることも珍しいことではありません。
買う前に、今日できる無料の備え
GPS端末は、持って出た日・充電が残っている日にしか働きません。端末を買った家庭が次に困るのが「置いて出た」「その靴を履かなかった」で、これは6章で扱います。だからこそ、端末が働かない日にも効く備えを先に済ませておきます。4つとも、端末を買うような出費はいりません(①の事前登録に費用がかかるかどうかは自治体ごとに違うため、窓口で確認してください)。
① 市区町村・地域包括支援センターの事前登録
多くの市区町村に、一人で出かけて帰れなくなるおそれのある高齢者を事前に登録しておく仕組みがあります。呼び名は自治体ごとに違い、「高齢者SOSネットワーク」「見守りネットワーク」といった名前で案内している自治体があります。登録しておくと、行方が分からなくなったときに警察や協力機関へ情報が回りやすくなります。名称も、対象になる人の条件も、費用も、受付の窓口も自治体ごとに違うため、ここでは一覧にせず、確認先だけを示します。親が住む市区町村の高齢者福祉担当窓口か、地域包括支援センターに「一人で出かけて帰れなくなる心配がある」と伝えれば、その自治体で使える制度を案内してもらえます。端末の貸与や購入費の助成を用意している自治体もありますが、あるかどうかも、金額や要件も自治体ごとの話なので、同じ窓口で聞いてください。
要介護認定をまだ受けていない段階でも、地域包括支援センターには相談できます。誰に何を伝えるかは「親の介護は何から始める?最初の1本の電話から」にまとめてあります。
② 衣類・靴・持ち物に名前と連絡先を残す
保護してくれた人が最初に探すのは、名前と連絡先です。上着の内側、靴のかかとの内側、財布、杖、帽子に、名前と家族の電話番号を残しておきます。方法は縫い付けラベル、アイロン接着の布シール、油性ペンで直接、のどれでも構いません。ポイントは1か所ではなく毎日身につける物に複数入れることです。出かけるときに何を持つかは日によって変わるからです。個人情報が気になる場合は、氏名と電話番号だけにして住所は省く、という書き方もあります。
③ 顔写真と、当日の服装を残す習慣
探すときに人に見せられる写真があるかどうかで、警察や近所に伝えられる情報量が変わります。最近の顔写真をスマホに1枚入れておくこと、そして朝の様子を見られる同居の家族なら、その日の服装をひと言メモしておくことです。写真は正面から、普段の服装と髪型で撮ったものが役に立ちます。
④ 近所と、よく行く店に一言伝えておく
「最近、道が分からなくなることがあって。見かけたら声をかけてもらえますか」と、近所の数軒と、親がよく行く店に伝えておきます。言いにくいことですが、近所の人が見かけて連れ帰ってくれた、という話は珍しくありません。事前に伝えてあれば、見かけたときに声をかける・連絡するという判断がしやすくなります。
GPS端末は「持たせる場所」で3タイプに分かれる
見守り機器の全体像(人感センサー型・カメラ型・GPS型の3分類)は「離れて暮らす親の見守りカメラ・センサー比較」で扱っています。人感センサー型・カメラ型はそちらで扱っているので、ここではGPS型だけを掘り下げます。機種のカタログを並べる前に、まず「親の体のどこに付くか」で分けると選びやすくなります。
① キーホルダー/ペンダント型(鞄・鍵束に付ける)
小型の専用端末を、鍵束・鞄・財布に付けるか、首から下げるタイプです。この記事で比べた4機種(みまもりGPS、あんしんウォッチャー、みてねみまもりGPS、BoTトーク)はどれも50mm角前後・53〜61gで、子ども向けとして売られているものを大人が使う形になります。付け替えがきくので、鍵束から財布へ、財布から杖のストラップへと移せます。裏を返すと、親がその日それを持って出なければ働きません。
② 靴に入れる型(普段履きの靴でしか効かない)
中敷きの下や、かかとのポケットにGPS端末を収める専用の靴です。持ち物を意識しない方でも、外に出るときは靴を履くので、持ち出す確率が高いのが利点です。ただし、効くのはその靴を履いた日だけです。外出用の靴に入れて、普段はサンダルで出る、という組み合わせだと働きません。専用靴の例として、フランスベッドの「うららかGPSウォークZ」は靴本体が税込11,880円(2026年9月6日時点・販売店ページ)ですが、GPS端末は同梱されず、「i-coco」または「GPSいまどこちゃん」の契約が別途必要です。靴の値段だけを見て買える商品ではありません。
③ スマホの位置共有(端末を増やさない)
親がすでにスマホを毎日持ち歩いているなら、iPhoneの「探す」やGoogleマップの現在地の共有で、新しい端末を持たせずに済みます。本体代も月額も増えません。条件は、スマホを充電する習慣が続いていること、そして外出時に持って出ることです。充電する習慣が途切れがちになった、あるいはスマホを持たずに出る日が増えたと感じたら、①か②に切り替えるか、併用します。
決め手は親の生活習慣
どのタイプが優れているかではなく、次の5つを親の暮らしに当てはめて決めます。
- 持ち出す確率:鍵・財布・鞄を毎回持って出る方か、何も持たずに出る方か。後者なら、外に出るとき必ず履く靴に入れるほうが、持ち出す確率は上がります。
- 充電を誰がやるか:本人が充電を続けられるか、同居の家族が帰宅時に回収して充電できるか、離れて暮らしていて誰も触れないか。最後の場合は電池のもちが長い機種を選ぶことになります。
- 月額の有無:位置を離れた場所から見る仕組みは、通信費が本体とは別にかかります。月額なしのBluetoothタグは携帯回線を持たず、登録したスマホや、近くを通った対応スマホの電波が届く範囲でしか位置が更新されません(FAQで詳しく)。
- 防水:雨の日の外出、洗濯機に入れてしまう事故を考えると、等級のある機種のほうが判断しやすいです。
- 位置の更新間隔:数分に1回の更新なら、動いている方の現在地とは少しずれます。更新の間隔が公式ページに書いてあるかどうかは機種によって違うので、検討中の機種の公式ページで確認します。
比較表|タイプ × 何に付けるか × 電池のもち × 月額の出方 × 向く方
まずタイプの比較です。「向く方」の欄は、3章の5つの軸を当てはめた編集部の整理です。実機を取り寄せて試したものではなく、公開情報からの判断です。
| タイプ | 何に付けるか | 電池のもち | 月額の出方 | 向く方 |
| ①キーホルダー/ペンダント型 | 鍵束・鞄・財布・杖のストラップ | 機種により数週間〜1.5カ月(下表) | 本体+月額500円台が一般的。無料期間の有無で1年目が変わる | 鍵や財布を必ず持って出る方。持ち物を付け替えて使いたい家庭 |
| ②靴に入れる型 | 専用靴の中敷きの下・かかとのポケット | 入れるGPS端末による | 靴代+GPS端末の本体・月額が別 | 何も持たずに出る方。普段履きの靴が1足に決まっている方 |
| ③スマホの位置共有 | 親のスマホ | スマホの電池 | 追加費用なし | スマホを毎日持ち歩き、充電も続けられている方 |
次に、①のタイプで公式ページまたは販売店ページの数値が確認できた4機種を並べます。数値はすべて2026年9月6日時点の表示です。公式ページ・販売店ページに載っていなかった項目は、推測で埋めずに空欄のままにしました。
| 機種(型番) | 本体価格 | 月額 | 重さ | 防水・防塵 | 電池のもち(公式表記) | 1年の総額 | 3年の総額 |
みまもりGPS ソフトバンク NC002A | 5,280円 (公式表示に税の記載なし) | 528円(税込) 初月無料 | 約60g | IPX7/IP6X | 最大1.5カ月 | 11,088円 | 23,760円 |
あんしんウォッチャー au UHA01K(シリコンカバー付きセット UHA01K_UHZ02) | 12,760円 | 12カ月無料 13カ月目以降539円(税込) | 53g | IP55 | 公式ページで確認 | 12,760円 | 25,696円 |
みてねみまもりGPS MIXI MG05 | 5,280円(税込) | 528円(税込) | 61g | IP55 | 公式ページで確認 | 11,616円 | 24,288円 |
BoTトーク Bsize | 5,280円(税込) | 528円(税込) トーク付きプランは748円 | 58g | 生活防水・防塵・耐衝撃 (公式表記、IP等級の記載なし) | GPSプランで最長1カ月以上 トーク付きプランは最長2週間以上 | 11,616円 トーク付き14,256円 | 24,288円 トーク付き32,208円 |
本体価格だけを見ると、あんしんウォッチャーが他の2倍以上に見えます。ところが、各機種の基本のGPSプランで見ると、1年の総額は4機種とも11,088〜12,760円の幅に収まり、3年でも23,760〜25,696円と、約1,900円(25,696円−23,760円)の差に縮まります。BoTトークのトーク付きプランだけは1年14,256円・3年32,208円で、この幅の外です。電池のもちが公式に書いてあるか、防水の等級があるか、月額が最初から毎月かかるか1年目は無料か——この表で本当に違うのは、この3点です。離れて暮らしていて充電に誰も触れない家庭では、電池のもちの表記がある機種を選ぶことになります。
キーホルダー型
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鍵束・財布に付ける:みまもりGPS(ソフトバンク NC002A)
本体5,280円+月額528円(税込・初月無料)/2026年9月6日時点・公式
向いている方- 鍵や財布を必ず持って出る
- 充電に家族が毎日は触れない(公式表記で最大1.5カ月)
気になる点- 月額が2カ月目から毎月かかる
- 現在地の更新間隔は初期設定で3分(公式表記)。動いている方の現在地とは差が出る
約60g・IPX7/IP6X・充電時間約300分。旧名称「どこかなGPS2」から名称が変わった製品で、公式サイトも「みまもりGPS(旧どこかなGPS)」と表記しています。月額は本体とは別なので、3年で23,760円という総額で見てください。
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靴に入れる型
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何も持たずに出る方に:うららかGPSウォークZ(フランスベッド)
靴本体 税込11,880円(メーカー直販ページ)/下の楽天の販売ページは税込11,915円。いずれも2026年9月6日時点。GPS端末と通信契約は別料金
向いている方- 鍵も財布も持たずに出ることがある
- 普段履きの靴が1足に決まっている
気になる点- GPS本体は同梱されず、「i-coco」または「GPSいまどこちゃん」の契約が別途必要
- この靴を履かない日は働かない
- 販売店ページのレビューは0件(2026年9月6日時点)
左足の中敷きを引き上げてGPS端末を入れる構造。サイズはSS〜3L(22.0/22.5cm〜27.0/27.5cm)、甲は合成皮革。重さは販売店ごとに表記が食い違う(片足約250gとする店と約340gとする店がある)ので、気になる場合は購入前に販売店へ確認してください。総額は端末側の公式ページで月額まで見てから決めます。
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まず記名から
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衣類・靴に名前と連絡先を残す:アイロン接着の布シール
30枚1,650円/200枚5,500円(いずれも税込)/2026年9月6日時点・販売店ページ
向いている家庭- 端末を買う前に、今日できることから始めたい
- 上着・靴・帽子など複数の持ち物に一度に入れたい
気になる点- アイロン接着なので、かけられない素材には別の方法が要る
- 販売店ページにレビュー件数の表示がなく、使用感まではページから読み取れない
20×50mm・ポリエステル100%で、名前・住所・電話番号を印字して注文する布シール。2章②の「毎日身につける物に複数」を、まとめて済ませる道具です。手書きの油性ペンでも目的は同じなので、予算に応じて選んでください。
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測位の仕組みと、届かない場所がある話
見守り用のGPS端末の多くは、GPS衛星からの電波だけでなく、携帯電話の基地局やWi-Fiの電波も使って位置を割り出しています。空が開けた屋外では衛星で、建物の中では基地局やWi-Fiで、と切り替えて補う設計です。
だから「ピンポイントで常に分かる」という期待のまま買うと、いざというときに戸惑います。建物の中、地下、電波の届かない山あいや大きな施設の奥では、位置がずれる、あるいは表示が止まったままになることがあります。誤差が何メートルかは、メーカー公式が明記している機種以外では分からないため、数値は載せていません。位置の更新間隔も、この記事で比べた4機種のうち公式ページに数値があったのはみまもりGPS(初期設定で3分)だけだったので、比較表には列を作っていません。申し込み前に、検討中の機種の公式ページかアプリの説明で確認してください。
実際に役に立つのは、正確な現在地というより、「どの方向へ、どのあたりまで行ったか」と「最後に測位できた地点」です。それが分かるだけでも、町内全部をしらみつぶしにするのではなく、その地点の周辺から探し始められます。端末に期待する役割をここに置いておくと、届いたときにがっかりせずに済みます。
いちばんの問題は「持ってくれない・置いて出る」
端末を買った家庭が次に詰まるのは、機種の性能ではなくここです。付けても外してしまう、その日に限って玄関に置いていく、いざ行方が分からなくなったときに端末は家にあった。解説記事の多くが同じ指摘をしています。この章は、その折り合いのつけ方です。
まず本人に説明する。それでも嫌がられたときの折り合い
最初にやるのは、本人に目的を伝えることです。「この前、帰りが遅くて心配だった。これを持っていてくれると、迷ったときに迎えに行ける」と、起きた出来事と、持ってほしい理由を一緒に話します。監視されているようで嫌だ、という受け止め方は自然なもので、それを否定せずに聞くところから始まります。説明して納得が得られれば、この章の残りは不要です。
納得が得られない場合の折り合いを、ここから書きます。安全のためだから仕方ない、と言い切れる話ではありません。本人の受け止め方や症状の段階によって、どこまで踏み込んでよいかは変わります。迷ったら、ケアマネジャー・地域包括支援センター・主治医に、本人の様子と家族の困りごとを両方伝えて相談してください。
新しい持ち物を増やさない
「これを持って」と新しい物を渡すと、それ自体が拒否の対象になります。もともと毎日持って出る物に入れるほうが続きます。財布、鍵束、杖のストラップ、上着のポケット、帽子、そして靴です。親が玄関で必ず手に取る物が何かを、数日観察してから決めます。
「持って」と頼まない設計にする
頼む回数が増えるほど、断られる回数も増えます。端末が財布や鍵束の一部になっていれば、頼む必要がなくなります。充電も同じで、本人に「充電して」と頼む設計は続きません。次の項の、家族が回収して充電する形にします。
靴に入れる型は、普段履きの靴に
3章で書いたとおり、靴に入れる型はその靴でしか効きません。外出用のきれいな靴ではなく、近所に出るときに履くいつもの靴に入れます。玄関に靴が何足もあるなら、履かない靴を一時的にしまって、普段履きの1足に絞る方法もあります。
充電を家族の生活リズムに紐づける
充電は、本人の習慣ではなく家族の習慣に組み込みます。同居なら、帰宅後に鍵束を置く場所を1か所決めて、そこに充電器を置きます。離れて暮らしていて誰も触れないなら、比較表の電池のもちが長い機種を選びます。電池残量が減ったときに知らせる機能を持つ機種もあり、みまもりGPSは公式ページに「バッテリー残量が少なくなるとメールが届く」と書かれています(2026年9月6日時点)。検討中の機種にこの機能があるかを公式ページで確かめ、あれば通知を設定しておきます。通知が来たら、次の帰省や訪問のタイミングで充電する、という運用です。
電池について、もう一つ。GPS端末はリチウムイオン電池を内蔵しています。NITE(製品評価技術基盤機構)は、リチウムイオン電池を搭載した製品の火災事故が夏場に増えることを注意喚起しています。これはモバイルバッテリーなどを含む製品全般の統計で、GPS端末に限った数値ではありませんが、夏の車内や直射日光の当たる窓辺に端末を置いたままにしない、という扱いは同じです。
介護保険は使えるのか
結論を先に書くと、持ち歩くGPS端末そのものは、原則として自費です。この記事で比べた4機種も、専用靴も、介護保険の給付は前提にしていません。
介護保険の福祉用具貸与には「認知症老人徘徊感知機器」という種目があります。老企第34号(自治体の引用による)の定義は、認知症である人が屋外に出ようとした時、または屋内のある地点を通過した時に、センサーにより感知し、家族、隣人等へ通知するもの、という文言です。玄関の通過を感知して知らせる据置き型の機器を想定した書き方で、外に出たあとの位置を追いかける携帯型のGPS端末を直接には指していません。感知機器にGPS機能を付加した製品を貸与できるかどうかは、保険者(市区町村)とケアマネジャーの判断になり、判断が分かれることがあります。ケアプランで必要と認められ、保険者が対象と判断した場合に限られる、と理解しておいてください。
要支援1・2と要介護1が原則対象外であること、例外給付の状態像の要件、通信料が給付の外であることは、「実家にネット回線がない方の見守り|見守り機器に介護保険は使えるのか」で一次資料つきで整理してあります。据置き型を検討するなら、そちらを読んでからケアマネジャーに相談してください。要介護度ごとの目安は「要支援1から要介護5まで、うちの親はどれ?」にまとめています。
それでも見当たらなくなったときの動き方
備えをしていても、起きるときは起きます。そのときの動きは3つだけです。何時間で何kmといった探し方の手順までは踏み込まず、警察と自治体につなぐところまでに絞ります。
- 110番する。時間が経っていないことは、待つ理由になりません。
- 2章①の事前登録をしてあるなら、警察にそのことを伝え、登録先の窓口にも連絡します。
- 直前の服装、持ち物、よく行く場所、以前見つかった場所を伝えます。GPS端末を持たせているなら、最後に測位できた地点をアプリで確認して伝えます。
3番目を言えるようにしておくことが、2章③の「顔写真と当日の服装を残す習慣」の意味です。備えは端末の有無ではなく、聞かれたときに答えられるかどうかで決まります。
よくある質問
GPSは親に黙って持たせていいですか?
まず本人に目的を説明するところから始めてください。起きた出来事と、持ってほしい理由を一緒に伝えます。説明しても納得が得られない場合の進め方は、本人の受け止め方や症状の段階で答えが変わるため、一つの答えには決めていません。ケアマネジャー・地域包括支援センター・主治医に、本人の様子と家族の困りごとを両方伝えて相談してください。
月額なしの機種(Bluetoothタグ)で足りますか?
Bluetoothタグは携帯回線を持たず、登録したスマホや、近くを通った対応スマホの電波が届く範囲でしか位置が更新されません。人通りの少ない場所では、最後に検知された地点で表示が止まったままになることがあります。家の中で鍵を探す用途には向きますが、一人で出かけた方の現在地を離れた場所から追う用途には、携帯回線で位置を送る月額つきの端末を前提に考えてください。
スマホを持っている方でも専用機がいりますか?
スマホを毎日持ち歩き、充電も続けられているなら、位置共有の機能で足りることが多いです。持って出ない日が増えた、充電を忘れるようになった、と感じたら、キーホルダー型や靴に入れる型を併用するか切り替えます。
認知症の診断がまだでも事前登録できますか?
対象の条件は自治体ごとに違います。診断の有無を問わず「一人で出かけて帰れなくなるおそれがある」ことで登録できる自治体もあれば、要件を設けている自治体もあります。親が住む市区町村の高齢者福祉担当窓口か地域包括支援センターに、現状を伝えて聞いてください。
充電が切れていたら位置は分かりますか?
切れたあとの現在地は分かりません。分かるのは、最後に測位できた地点までです。だからこそ、残量が減ったときに知らせる機能がある機種ならその通知を設定し、充電を家族の生活リズムに組み込んでおきます。端末が働かない日に効くのは、2章の事前登録と記名のほうです。
この記事の根拠とした情報源