手が震える・力が入らない方の食事|自助食器とスプーン・箸の選び方
食べ物ではなく、口へ運ぶ道具のほうを変える話です
PR本ページはプロモーション(広告)を含みます。製品の評価・順位は収益で変えていません。運営・選定方針
箸だとこぼすからスプーンに替えた。それでも茶碗の底に残ったご飯を追いかけて、食卓に落ちる。見かねて手を出したら、親が食べるのをやめてしまった——そんな場面から検索してこのページにたどり着いた方に向けて書いています。ここで起きているのは、食べ物の問題ではなく手の問題です。噛む力や飲み込みの心配は「親の食事が心配になったら」で扱っているので、この記事は口へ運ぶまでの動作だけを扱います。皿・スプーン・箸・コップの形を替えると、こぼれる回数が変わることがあります。ただし道具は動作を助けるもので、症状を治すものではありません。数値には出典と参照日を添え、制度が使えるかどうかの判断は窓口に任せる書き方にしています。
先に結論
- 買う前に決めるのは商品ではなく、手のどの動作で止まっているかです。すくえないのか、持ち上げられないのか、口の手前でこぼれるのか。ここが違うと、替える道具が変わります。
- 震えが最近になって出てきた、前より強くなった、という変化があるなら、道具より先にかかりつけ医に相談してください。家族にできるのは、いつ・どの場面で震えるのかを記録して伝えることです。
- 皿は「縁が内側へ返っているか」「底が滑らないか」、スプーンは「柄の太さ」と「全体の重さ」を別々に見ます。太い柄ほど重くなる製品もあるためです。
- 一度に全部そろえないでください。1つ替えて、本人が使い続けるかどうかをしばらく見ます(期間は編集部の目安として2週間ほど)。1つずつ替えると、合わなかったときにどこが合わなかったのかを切り分けやすくなります。
- 食事に使う道具は、介護保険の福祉用具貸与にも特定福祉用具販売にも対象種目として挙がっていません。購入費は原則として自己負担です。 → 困りごと別の一覧表を見る
同じ「こぼす」でも、手で起きていることが違う
食べこぼしという一語には、原因の違う状態が混ざっています。震えている方と、握力が落ちた方と、片側が使いにくい方とでは、手のどの動作で止まっているかが違うので、売り場で「すくいやすい皿」を1枚買って帰っても、変わる動作と変わらない動作が分かれます。買い物より先に、親の手のどこで動作が止まっているかを見てください。見る場所は3つあります。すくうところ、持ち上げるところ、口へ運ぶところです。
手が震える|重さと、腕を置く場所の話になる
震えがあると、すくった物がスプーンの上で揺れて、口に届く前に落ちます。皿の中でも、スプーンの先が同じ場所に止まらないので、食べ物を追いかける動きになります。
ここで関わってくるのは、道具の重さと、腕をどこに預けるかです。肘や前腕を食卓につけたまま食べられる位置に器を寄せると、動かす部分が手首から先だけになります。器の側では、軽い皿ほど押した力で動くので、底の滑り止めや滑り止めマットが候補になります。スプーンは軽ければよいというものでもなく、ある程度の重さがあるほうが手に収まる人もいます。どちらが合うかは持たせてみないと分かりません。
握力・つまむ力が落ちた|柄の太さと軽さの話になる
細い柄をつまみ続けられないと、食事の後半で握り直す回数が増えます。箸なら、閉じて挟むところより先に、2本を開くところで止まっていることがあります。指を曲げる動きはできるのに箸が広がらない、という状態です。ただし手に何が起きているのかを判断できるのは主治医やリハビリの担当で、この記事で扱うのは、開く動作が難しいときに道具の側で何ができるか、というところまでです。
この場合に替えるのは、皿より先に持ち手のほうです。柄を太くしたスプーン、開く力をばねが肩代わりする箸、というふうに、力の要る動作を道具側へ移せないかを考えます。太くすれば必ず持てるわけではなく、手の小さい人には持ち替えにくくなることもあります。
片側が使いにくい・腕が上がらない|片手で完結する形の話になる
片手だけで食べるとき、皿を押さえておく手がありません。押さえ役がいないので、すくおうとした力で皿が逃げます。ここは滑り止めと、縁が内側へ返った皿の形が、押さえる手の代わりになるかどうかという話です。コップも、両側に取っ手があるものは両手で持つための形なので、片手で扱うなら取っ手は1つのほうが向くことがあります。
震えが新しく出た、急に強くなったとき|メモして主治医に伝える
道具の章に入る前に1つだけ。震えが最近になって出てきた、前より強くなった、食事以外の場面でも震える。そうした変化があるなら、いつごろから、どんな場面で震えるのか、食事以外でも震えるのかをメモして、次の受診でかかりつけ医に伝えてください。原因によって対応が変わります。判断するのは主治医です。家族にできるのは、道具で覆い隠す前に、様子を言葉にして渡すことです。
また、飲み込みのほうに心配があるなら、そちらは道具の話ではありません。令和5年に不慮の窒息で亡くなった65歳以上は7,779人で、そのうち気道閉塞を生じた食物の誤嚥によるものが4,215人でした。むせる、のどに残る、食後に声がかすれる。そうした様子に気づいたら、いつ・何を食べたときだったのかをメモして、かかりつけ医に伝えてください。皿やスプーンの形で対応できる範囲を越えている可能性があり、必要な検査や対応を判断するのは主治医です。観察の仕方は「親の食事が心配になったら」にまとめています。
食器側でできること|皿が動かない、すくいが止まらない
自助食器と呼ばれる皿は、見た目こそいろいろですが、やっていることは2つに絞れます。食べ物をスプーンに乗せる壁を作ることと、皿そのものを動かさないことです。
縁が内側へ返った皿|押し当ててスプーンに乗せる
すくいやすい皿として売られている物の多くは、縁が垂直より内側へ入って戻る形になっています。普通の平皿では、スプーンで押した食べ物は縁を越えて外へ出ますが、内側へ返った縁なら、押し当てた食べ物が戻ってスプーンの上に乗る、という考え方の形です。壁の役目を皿がやってくれるぶん、すくう側の手は「押し当てる」だけで済みます。
形を確かめるときは、上から見た深さではなく、縁の断面がどこで折り返しているかを見てください。商品写真の斜め上からのカットでは分かりにくいので、断面図や側面の写真が載っているページのほうが判断できます。
公式サイトで仕様を確認できた例として、リッチェル「使っていいね! すくいやすいお皿」(型番140043)は、サイズ18×18×3.5cm、重量110g、容量620mLです。材質は本体がポリプロピレン、脚部が熱可塑性エラストマーです。メーカーはこの製品を「食器を置いたままでも滑りにくいお皿」と説明しています。希望小売価格は700円(税抜)です。
底の滑り止めと重さ|軽すぎる器は本人の手から逃げる
皿を動かさない方法は2通りあります。重さで押さえるか、底で止めるかです。陶器の重い器は押しても動きませんが、器を持ち上げて食べる習慣のある人には重すぎることがあります。逆に樹脂の皿は軽く、上の例でいえば110gですから、そのままだと押した力で滑ります。この製品の材質表記では、本体がポリプロピレン、脚部が熱可塑性エラストマーと部位で分けて書かれています。脚部の素材が滑りにくさにどう関わるかまではメーカーが公表していないので、置いたときに動くかどうかは商品ページの説明と現物で確認してください。
どちらを選ぶかは、親が皿を持ち上げて食べる人かどうかで決まります。持ち上げるなら軽い皿と滑り止めマットの組み合わせ、置いたまま食べるなら底で止まる皿や少し重い器、という分かれ方です。滑り止めマットは洗って繰り返し使えるものが多いので、まずマット1枚だけ足して様子を見る手もあります。
深さと仕切り|どこまでが「すくいやすい」形か
深ければすくいやすいわけではありません。深い器は、底のほうでスプーンを寝かせる角度が作れず、最後に残った分を追いかけることになります。仕切りのある皿も同じで、区画が壁として働くのは確かですが、1区画が小さいとスプーンの入る余地がなくなります。
もう1つ、食卓の上をどう組むかという見方もあります。小鉢をいくつも並べると、器から器へ手を動かす回数が増えます。1枚の皿で完結させると、手の移動そのものが減ります。親がどれを食べたか分かりにくくなるのが難点なので、この選び方は本人の様子を見てからで十分です。
スプーン・フォークで変えられること
スプーンは、握るところ(柄)、角度をつけるところ(首)、食べ物が乗るところ(ボウル部)の3つに分けて見ると、比べる基準がはっきりします。売り場では全体の見た目で選びがちですが、親の手が止まっているのはこのうちのどこか1つです。
柄の太さと重さ|太ければよいわけではない
自助スプーンの柄には、発泡素材やゴムを巻いて太くしたもの、樹脂で初めから太く成形したもの、細い柄に後付けのグリップを差し込むものがあります。太い柄は、握り込む深さが浅くて済むので、指を曲げきれない手でも保持しやすくなることがあります。
ただし、柄を太くするほど重くなる製品もあります。持てるようになったのに、食事の後半で腕が上がらなくなることがあります。太さと重さは別々の項目として見てください。柄が手のひらに沿ってカーブしているもの、手の甲側にベルトを回して固定するものもあり、どれが合うかは持たせてみるまで分かりません。
首の角度を変えられるもの、曲がる素材
手首を返す動きが出にくい場合、スプーンのボウル部が口に対して斜めのまま近づきます。ここを補うのが、柄とボウル部の間の首を曲げられる製品です。金属の首を手で曲げて角度を作るもの、最初から角度がついていて左右で別になっているもの、シリコンなどのやわらかい素材で全体がしなるものがあります。
選ぶときに見るのは、角度がどこまで変わるか、そして左右どちら用かの区別があるかどうかです。角度を変えられる製品は、食べる位置や姿勢が変わったときに合わせ直せるのが利点ですが、洗うたびに角度が動くこともあります。手入れの可否はメーカーの表記が製品ごとに違うので、買う前に商品ページで確認してください。
ボウル部の幅と深さ|一口の量は道具で変わる
一口の量は、本人の意思だけでなく道具の形でも決まります。幅が広く深いボウルは1回に乗る量が多くなり、浅く小さいボウルは少なくなります。口を開けられる幅より広いボウルは入りません。介護用として売られているスプーンにボウル部の小さいものが目立つのも、一口に乗る量と口の開き方に合わせた形の違いだからです。この違いを手がかりにすると、売り場で選び分けやすくなります。
ここから先、どのくらいの量が適切か、どんな姿勢で食べるかは、道具ではなく体の側の話になります。飲み込み方や介助の手順に踏み込む必要があると感じたら、言語聴覚士・主治医・訪問リハビリの担当に見てもらってください。この記事で扱えるのは、道具の形が一口の量に関わる、というところまでです。椅子・テーブル・足元をどう整えるかは食べる姿勢の整え方にまとめています。
箸をあきらめないという選択肢
こぼすようになった方に、家族がまず勧めるのはスプーンです。それが早い場面もありますが、本人にとって箸をやめることは、道具を1つ替える以上の意味を持つことがあります。
ばね付きの箸と、補助具を付けた普通の箸
介護用として売られている箸は、大きく2つに分かれます。1つは2本が根元でつながっていて、開く方向にばねが働くもの。ピンセット型やトング型と呼ばれ、閉じる力だけで挟めます。指を開く動きが出にくい手には、この「開く」を道具が肩代わりする形が向くことがあります。
もう1つは、普段使っている箸にリングやクリップの補助具を付けて、2本の関係を固定するものです。使い慣れた箸をそのまま使える一方、補助具の分だけ持ち方が変わります。どちらも、洗いやすさと、食洗機や煮沸に対応しているかで日々の手間が変わります。可否の表記は製品ごとに違うので、購入前に商品ページを確認してください。
「箸で食べられること」が本人にとって持つ意味
公益社団法人認知症の人と家族の会には、箸だとこぼす、お茶でむせる、食べさせれば食べる、という家族からの相談が寄せられています。回答では、箸ではなくスプーンやフォークなら使えることもある、と示されています。道具を替えることは、本人から何かを取り上げることとは違う、という位置づけです。
とはいえ、箸をやめるかどうかを決めるのは本人です。全部の器をスプーンにするのではなく、汁物とご飯だけスプーンにして、つまむだけでよい一品は箸で食べる、という分け方もできます。食卓に箸が残っているかどうかは、食事の量とは別の意味を持ちます。
コップと水分|顔を上に向けずに飲める形
皿とスプーンを替えても、飲み物のところで手が止まったままになることがあります。コップは中身が見えないまま傾ける道具なので、こぼす場面が食事とは別に生まれます。
縁に切り欠きのあるコップ
介護用のコップには、縁の一部を弓なりに切り落とした形のものがあります。ファイン株式会社の「レボ Uコップ 小」(型番RC-S8091)は、鼻に当たらないよう縁をカットした形状で、頭を後ろに傾けずに飲める設計だとメーカーが説明しています。仕様は内径54mm、高さ78mm、容量80ml、重量38g、本体はポリプロピレン、取っ手はABS樹脂、日本製、税込1,100円と公式サイトに記載されています。
容量80mlという数字は、普通のコップと比べると小さめです。1回に注ぐ量が道具の側で決まる、という見方もできます。何度も注ぎ足す手間と引き換えに、持ち上げる重さが軽くなる形です。
取っ手の数と重さ|とろみの話は食事の入口記事へ
取っ手が両側にあるコップは、両手で挟んで持ち上げるための形です。片手だけで扱う場合は、取っ手が1つで、指が入る形のほうが向くことがあります。重さも見てください。上の例では38gですが、陶器のマグカップだと数百グラムになり、中身を入れればさらに重くなります。
なお、水分にとろみをつけるかどうかは、道具ではなく食形態の話です。とろみの段階は専門職が評価して決めるもので、家族が濃くしていく先にあるものではありません。この点は「親の食事が心配になったら」の「水分の落とし穴」の章にまとめてあります。
選ぶ順番|全部いっぺんに替えない
自助具は1つ数百円から数千円で買えるので、まとめて注文したくなります。ですが、皿もスプーンもコップも同じ日に替えると、うまくいってもいかなくても理由が分かりません。
1つ替えて、使い続けるかどうかを見る(目安は2週間ほど)
先に替えるのは、いちばん時間がかかっている動作の道具です。皿の中で追いかけているなら皿、握り直しが増えているならスプーン、飲み物のたびに服が濡れるならコップ。1つ替えたら、しばらく同じ食器で食べてもらいます。
見るのは、こぼした回数ではなく本人が使い続けているかどうかです。初日は珍しがって使っても、3日目には元の食器に戻っていることがあります。編集部の目安として2週間ほど置くと、食卓に定着したのかどうかが見えてきます。定着したら次の1つへ進みます。
合わなかった道具は「本人が悪い」ではなく形が合っていない
買った道具が引き出しにしまわれていると、家族のほうががっかりします。ここで、使ってくれないという話にしないでください。太すぎた、重かった、角度が合わなかった、というだけのことがあります。介護用の見た目が食卓に馴染まず、家族が来たときには出したくない、という理由も考えられます。
合わなかった道具は、どこが合わなかったのかを1つ書き留めて次に生かします。柄が太すぎたのか細すぎたのか、皿が軽すぎたのか。この記録は、あとで作業療法士やケアマネジャーに相談するときの材料にもなります。
一覧表|手のどこで止まっているか × 替える道具 × 見るところ
親に当てはまる行だけを見てください。左から「食卓で起きていること → 替える道具 → 買う前に見るところ → 介護保険での扱い」の順に並べています。上から順に試すという表ではありません。
| 食卓で起きていること | 替える道具 | 買う前に見るところ | 介護保険での扱い |
| 皿の中で食べ物を追いかけて、外へ出る | 縁が内側へ返った皿 | 縁の断面がどこで折り返しているか。底が滑らないか | 対象種目に挙がっていない(原則自費) |
| すくおうとすると皿ごと動く | 滑り止めマット/底に滑り止めのある皿 | 皿を持ち上げて食べる人かどうか。マットは洗えるか | 同上 |
| スプーンを握り直す回数が増えた | 柄の太いスプーン、後付けグリップ | 柄の太さと全体の重さを別々に。手のサイズに対して太すぎないか | 同上 |
| 口の手前でスプーンが傾く | 首の角度を変えられるスプーン | 角度がどこまで変わるか。左右どちら用の区別があるか | 同上 |
| 箸が開かない・閉じられない | ばね付きの箸、補助具を付けた箸 | 開く力をばねが肩代わりする形か。洗いやすさと手入れの可否 | 同上 |
| 片手しか使えず、押さえる手がない | 滑り止め+縁が内側へ返った皿 | 皿の裏の形。片手で持ち運べる重さか | 同上 |
| 顔を上に向けないと飲みきれない | 縁に切り欠きのあるコップ | 容量と重さ。取っ手の数と、指が入る大きさか | 同上 |
| むせる・のどに残る・食後に声がかすれる | 道具を替える場面ではありません | いつ・何でむせるかを記録してかかりつけ医へ | 受診は医療保険 |
| 震えが新しく出た・急に強くなった | 同じく道具の話ではありません | いつごろから、どの場面で震えるかをメモして主治医へ | 受診は医療保険 |
家で試せる道具を、困りごと別に
ここまでの見方をふまえて、家で試せる物を挙げます。編集部は実物を試しておらず、点数もつけていません。順位でもなく、困りごと別の選択肢を並べたものです。仕様の数値は、メーカー公式で確認できたものだけ載せています。
すくえない
🍽️
押し当てて乗せる:縁が内側へ返った皿
介護保険の対象種目に挙がっていない(原則自費)
向いている場面- 皿の中で食べ物を追いかけて、縁の外へ落ちている
- 片手だけで食べていて、皿を押さえる手がない
気になる点- 軽い樹脂の皿は、滑り止めが効かないと押した力で動く
- 深すぎる器は、底に残った分をすくう角度が作れない
縁が垂直より内側へ返っていると、スプーンで押し当てた食べ物が戻ってスプーンに乗ります。選ぶときは断面図か側面の写真で、縁がどこで折り返しているかを見てください。リッチェル「使っていいね! すくいやすいお皿」(型番140043)は、サイズ18×18×3.5cm、重量110g、容量620mL、希望小売価格700円(税抜)とメーカー公式に記載があります(2026年8月28日参照)。この700円は希望小売価格で、店頭・通販の実売価格ではありません。購入時に販売ページで税込価格と在庫を確認してください。同じ形の皿は各社から出ているので、実家の食卓に置いて浮かない色かどうかも見て選んでください。
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持てない
🥄
握り込む深さを浅くする:柄の太いスプーン
柄の太さと全体の重さは別々に見る
向いている場面- 食事の後半で握り直す回数が増えている
- 細い柄が指の間から滑って落ちる
気になる点- 太くするほど重くなる製品がある
- 手が小さいと、太い柄では持ち替えにくいことがある
柄を太くしたスプーンは、初めから樹脂で太く成形したもの、発泡素材やゴムを巻いたもの、いま使っているスプーンに後付けのグリップを差し込むものがあります。まず今の食器で試すなら、後付けグリップのほうが安く済みます。ボウル部は、口を開けられる幅より小さいかどうかを見てください。手首を返しにくいなら、首の角度を変えられるタイプも候補になります。
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箸を続ける
🥢
開く力を道具に任せる:ばね付きの箸
スプーンへの切り替えを決めるのは本人
向いている場面- 指を開く動きが出にくく、箸が広がらない
- 本人が箸をやめることに抵抗がある
気になる点- 普通の箸とは持ち方が変わるので、慣れる時間が要る
- ばねや継ぎ目のある構造は、洗い方に手間がかかることがある
2本が根元でつながっていて開く方向にばねが働く形(ピンセット型・トング型)と、いま使っている箸にリングやクリップを付ける形があります。前者は閉じる力だけで挟め、後者は使い慣れた箸をそのまま使えます。食洗機や煮沸に対応しているかは製品ごとに違うので、購入前に商品ページで確認してください。全部の器を箸にしなくても、つまむだけでよい一品だけ箸で食べる、という分け方もできます。
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飲む
🥛
頭を後ろに傾けずに飲む:切り欠きのあるコップ
とろみをつけるかどうかは別の話(専門職が決める)
向いている場面- 最後まで飲もうとして、顔を上に向けている
- 陶器のマグカップが重くなってきた
気になる点- 容量が小さいものは、何度も注ぎ足すことになる
- 両手用の取っ手は、片手で扱う人には向かないことがある
縁の一部を弓なりに切り落としたコップは、鼻に当たらない形にすることで頭を後ろに傾けずに飲める設計だと、メーカーが説明しています。ファイン「レボ Uコップ 小」(型番RC-S8091)は内径54mm・高さ78mm・容量80ml・重量38g・税込1,100円と公式サイトに記載があります(2026年8月28日参照)。この1,100円はメーカー公式サイトの価格で、通販サイトの実売価格はこれより高いことがあります(同日時点で下のリンク先は税込1,850円)。取っ手の数は、両手で持ち上げるのか片手なのかで選び分けてください。水分のとり方そのものに不安があるときは、「親の食事が心配になったら」を先に読んでください。
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お金と制度|食事の道具は介護保険の対象種目に挙がっていない
手すりや歩行器の感覚で「福祉用具だから介護保険」と思って売り場に行くと、ここで戸惑います。食事まわりは、使える制度が他の介護用品と違います。
福祉用具貸与の13品目にも、特定福祉用具販売にも入っていない
介護保険の福祉用具貸与は、厚生労働大臣が定める告示に種目が列挙されています。車いす、車いす付属品、特殊寝台、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト、自動排泄処理装置の13種目です。購入費が支給される特定福祉用具販売の側も、腰掛便座、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具の部分など、告示で決められた種目に限られます。
食事に使う道具は、貸与・販売のどちらの対象種目にも挙げられていません。自助食器、自助スプーン、グリップを付けた箸、滑り止めマットは、購入費が原則として全額自己負担になります。2024年4月から、固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・単点杖(松葉づえを除く)・多点杖の4種目については、貸与と販売のどちらを利用するか選べる仕組みが始まりました。この選択制の対象種目にも、食事の道具は入っていません。
それでも窓口で聞く価値がある|市区町村の給付・助成
ここで終わりにしないでください。親が住む市区町村が独自に行っている給付・助成の対象になる場合があります。日常生活用具の給付など、介護保険とは別の制度で相談できることもあります。ただし、対象になる品目と金額の基準は市町村ごとに決められているので、この記事の側で「対象になります」とは書けません。
実家のある市区町村の高齢者福祉の窓口か、地域包括支援センターで確認してください。聞き方は「自助食器は使えますか」ではなく、親の状態と、いまどの動作で困っているかを伝える形のほうが話が早く進みます。要介護認定をまだ受けていないなら、そこも同じ窓口で相談できます。手続きの流れは「親の介護は何から始める?」にまとめています。
介護保険の申請の流れを見る
道具で足りないと感じたときの相談先
2つ3つ買って替えてみても食卓が変わらないとき、次に増やすのは商品の数ではなく、見てくれる人です。手の動きと道具を合わせる仕事は、作業療法士(OT)の領域に入ります。
作業療法士に、いま使っている食器を持って見てもらう
親がすでにリハビリを受けているなら、その担当の作業療法士・理学療法士に、いま使っている食器とスプーンを見てもらえないか聞いてみてください。リハビリを受けていないなら、担当のケアマネジャーが入口です。要介護認定を受けていないなら、地域包括支援センターに相談します。
ここで、必ず見てもらえます、とは書けません。どのサービスで自助具の相談ができるかは要件が個別に決まるので、利用できるかどうかはケアマネジャーとかかりつけ医に確認してください。
何を相談すると、何が分かるのか
相談の中身は2つに絞ると伝わります。1つは、どの動作で手が止まっているのかを見てもらうこと。すくうところなのか、持ち上げるところなのか、口へ運ぶところなのかは、家族が見ていても分かれ目がはっきりしません。もう1つは、いま持っている道具を持参して、合わせてもらうことです。柄に巻く、角度を変える、といった調整で使えるようになる場合があります。
合わなかった道具を捨てずに取っておくと、この場面で役に立ちます。太すぎたのか細すぎたのか、実物があれば説明が要りません。「食事・栄養の介護用品」のページには、食事まわりで検討することになる他の記事もまとめています。
よくある質問
自助食器やスプーン、箸は介護保険で買えますか?
食事に使う道具は、介護保険の福祉用具貸与の対象種目にも、特定福祉用具販売の対象種目にも挙げられていません。そのため購入費は原則として全額自己負担になります。ただし、親が住む市区町村が独自に行う給付・助成の対象になる場合があります。日常生活用具の給付など、別の制度で相談できることもあります。対象になる品目と金額の基準は市町村ごとに決められているので、実家のある市区町村の高齢者福祉の窓口か、地域包括支援センターで確認してください。
親の手の震えは、年のせいだと思っていいですか?
この記事では原因を判断できません。震えが最近になって出てきた、前より強くなった、食事以外の場面でも震える、という変化があるなら、いつごろから、どんな場面で震えるのかをメモして、次の受診でかかりつけ医に伝えてください。原因によって対応が変わり、判断するのは主治医です。家族にできるのは、道具で覆い隠す前に観察を言葉にして渡すことです。
皿もスプーンもコップも、まとめて買ったほうが早いですか?
1つずつ替えることをおすすめします。同じ日に全部替えると、食卓が変わっても変わらなくても、どれが効いたのか分かりません。いちばん時間がかかっている動作の道具から替えて、編集部の目安として2週間ほど様子を見てください。見るのはこぼした回数ではなく、本人が使い続けているかどうかです。初日は珍しがって使っても、3日目には元の食器に戻っていることがあります。
介護用の見た目を、親が嫌がります。
形が同じでも、食卓に置いて浮かない色や、家族の食器と並べても違和感の少ないものがあります。全部を替えず、いちばん困っている1つだけにするという手もあります。買うときに本人を外さないでください。使うのは本人で、しまい込まれた道具は使われないまま終わります。合わなかったときも、本人ができないという話にせず、太すぎた・重かった・角度が合わなかった、と道具の側で記録しておくと次に生かせます。
箸をやめて、スプーンにしたほうがいいですか?
決めるのは本人です。認知症の人と家族の会に寄せられた相談への回答でも、箸ではなくスプーンやフォークなら使えることもある、と示されています。ただ、箸をやめることは本人にとって道具を1つ替える以上の意味を持つことがあります。全部の器をスプーンにするのではなく、汁物とご飯だけスプーンにして、つまむだけでよい一品は箸で食べる、という分け方もできます。ばね付きの箸なら、開く力を道具が肩代わりします。
これを使えば食べこぼしがなくなる、という道具はありますか?
ありません。自助食器や自助スプーンは動作を助ける道具で、症状を治すものではありません。皿の形で食べ物が逃げにくくなったり、柄の太さで握り直しが減ったりすることはありますが、合うかどうかは持たせてみるまで分かりません。また、むせる・のどに残る・食後に声がかすれるといった様子があるときは、道具を替える場面ではなく受診の場面です。飲み込みの心配については「親の食事が心配になったら」を読んでください。
まとめ|自分で食べ続けるための道具として選ぶ
食べこぼしが増えると、家族はまず自分が食べさせるほうへ動きます。それが必要な場面もありますが、手の側の問題なら、皿の縁の形やスプーンの柄の太さで動作が続けられることがあります。この記事で扱ったのは、その道具の見方だけです。
順番だけもう一度書いておきます。どの動作で止まっているかを見る。震えが新しく出たなら、道具より先に主治医へ伝える。1つ替えて、本人が使い続けるかどうかを見る(目安は2週間ほど)。合わなかったら、道具のどこが合わなかったのかを記録して、作業療法士やケアマネジャーに相談するときの材料にする。食事に使う道具は介護保険の対象種目に挙がっていないので、買うのは自費になりますが、市区町村の給付・助成があるかどうかは窓口で聞けます。
飲み込みや食形態のほうが気になってきたら、「親の食事が心配になったら」を見てください。実家の様子そのものが心配なら、「実家の転びやすい場所7つ」や見守りカメラ・センサーの比較もあります。
出典一覧(資料名・年次・参照日)