高齢の親に贈る室内運動グッズの選び方|座ったままのペダル・ゴムチューブ・ハンドル付きステッパー
散歩には出ないけれど、家の中で少しでも体を動かしてほしいとき
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帰省するたびに、親がテレビの前に座っている時間が長くなった気がする。散歩に誘っても「今日はいい」と出かけない。本人はそれほど気にしていない様子だけれど、立ち上がるときに「よいしょ」と言う回数が増えて、足腰が気になる。せめて家の中で使える物を送りたいが、危ない物は選びたくない。この記事は、そういう場面を想定して書いています。Yahoo!知恵袋にも、80代の母が毎日テレビを見るだけで過ごしていて、これが普通なのかと尋ねる相談があります。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないよう、立っているのが難しい人も含めて少しでも体を動かすことが勧められています。
ここでは、贈る前に確かめること、親の今の様子に合う運動グッズの決め方、置き方と続け方、介護保険との関係を順に書きます。内容は厚生労働省・消費者庁・NITE(製品評価技術基盤機構)・東京消防庁の資料と、販売店の商品ページで確かめたもので、編集部が商品を使って比べた記事ではありません。この記事は、運動グッズで筋力がつく、転びにくくなる、といった効果を約束するものではありません。
先に結論
運動グッズは、親が座ったまま使うか、つかまれば立てるかで決めます。立ち上がりや立っているのが不安なら、椅子に座って使うペダル運動器やゴムバンドから考えます。
ステッパーや踏み台昇降のステップ台のように立って使う道具は、つかまる所がすぐ横にない場所には置きません。ハンドルが付いた型でも、ハンドルに体重をかけると前に倒れそうに感じた、という声があります。
買う前に、持病・痛み・飲んでいる薬・最近転んだかどうかを、かかりつけ医に伝えて確かめてください。NITEも、薬を飲んでいる人や通院中の人は運動の安全性を医師に確認するよう呼びかけています。
続けるには、使う時間と、家族が様子を聞く日を先に決めておきます。運動器具は介護保険で借りたり買ったりできる種目に入っていないので、費用は全額自己負担です。 → 比較表と3つの候補へ
買う前に確かめること
運動グッズは、届いたその日から親が一人で使う物です。選ぶ前に、体のことと、本人の気持ちの2つを確かめておきます。
持病・痛み・飲んでいる薬・最近転んだかを、かかりつけ医に聞く
NITE(製品評価技術基盤機構)は、2020年5月28日の発表で、2010〜2019年度の10年間に、高齢者が運動器具を使っている最中の事故が21件あったとしています。例として挙がっているのは、骨粗しょう症の人が医師に相談せずにEMS機器(電気で筋肉を刺激する機器)を使い、腰を骨折した事故です。この21件はルームランナーやEMS機器などを含む運動器具全体の件数で、ステッパーやペダル運動器だけの件数ではありません。NITEは注意点として、取扱説明書を確認すること、体力や健康状態に合った製品を選ぶこと、異常を感じたらすぐにやめることを挙げています。
NITEの「製品安全情報マガジン」2026年8月25日号(運動器具の事故)も、薬を飲んでいる人や通院中の人は運動の安全性を医師に確認すること、自分の体力に合った製品を選ぶこと、無理をせず異常があればすぐにやめることを呼びかけています。厚生労働省の身体活動・運動ガイドの高齢者版でも、持病や関節などの障害、転びやすさがある高齢者は、年齢や健康状態に応じて運動の量を見極めることが大切だとされています。
次の受診のときに、親本人か付き添う家族から、かかりつけ医に次のことを伝えて聞いておくと話が早く進みます。
- 贈ろうとしている道具の種類(座って足を動かす物、ゴムを引っ張る物、立って踏む物など)。商品ページを印刷するか、スマートフォンで見せられるようにしておく。
- 膝・腰・股関節などに痛みがあるか。痛みが出るのはどんなときか。
- 血圧や心臓の薬など、飲んでいる薬。
- この1年ほどで転んだことがあるか、立ちくらみやふらつきがあるか。
知恵袋には、76歳の女性が歩くときに足が前に出ず、力が入らないという相談に対して、まず受診を勧める回答が付いた例もあります。歩き方が急に変わった、何度も転ぶようになった、という場合は、道具を選ぶより先に受診してください。
本人が使う気になっているか
子のほうが気にしていて、本人はそれほど気にしていない、ということはよくあります。その状態で器具だけが届くと、箱のまま部屋の隅に置かれることになりがちです。知恵袋には、医師に勧められても「年寄りみたいに見えるのが嫌だ」と杖を使わない祖母の相談もあり、体のための道具を「年寄り扱い」と受け取る方もいます。
贈る前に、電話や帰省のときに「テレビを見ながら足を動かせる物があるけれど、どう?」と聞いてみてください。商品ページを一緒に見て、本人に選んでもらうのも一つの方法です。断られたときの話の進め方は、「実家の転びやすい場所7つと、帰省時10分チェックリスト」の、親が「まだいらない」と言ったときの章が参考になります。
親の今の様子で3段階に分ける
道具を選ぶときは、親が今どのくらい立っていられるかで3段階に分けます。立って使う道具ほど、ふらついたときに転ぶおそれがあるので、迷ったら下の表で座ったまま使う側の段を選んでください。どの段に当たるか分からないときは、かかりつけ医か、担当のケアマネジャー(いなければ地域包括支援センター)に、親の様子を伝えて聞いてください。
| 今の様子 | 合う道具 | 置く場所の条件 |
座ったままがいい方 立ち上がるときや立っているときにふらつく | 座って使うペダル運動器、座って使うゴムバンド・チューブ | 肘掛けがあり、キャスターの付いていない椅子 |
つかまれば立てる方 何かにつかまれば、しばらく立っていられる | 上の2つに加えて、ハンドル付きステッパー | 手すりや、体を支えられる家具のすぐ横 |
つかまらずに立てる方 家の中は何にもつかまらずに歩ける | 上の3つに加えて、踏み台昇降の運動用ステップ台、歩数計・活動量計 | この段でも、立って使う物は手すりの近くに置く |
家の中で転ぶ人が多い場所の数字もあります。東京消防庁によると、令和6年に東京消防庁管内で、住宅などで「ころぶ」事故にあって救急搬送された65歳以上の方は42,180人で、そのうち39,053人は屋内でした。屋内の場所別では、居室・寝室が29,783人でいちばん多くなっています。器具が原因の件数ではありませんが、運動グッズを置くことの多い居間や寝室は、もともと転ぶ人の多い場所です。
消費者庁が2020年10月8日に公表した資料によると、医療機関ネットワークに5年間で寄せられた65歳以上の自宅での転倒事故情報は275件で、8割以上が通院か入院の必要なけがでした。同じ資料は、転倒を防ぐ注意点として、手すりや滑り止めを付けることや、電源コードが通路に来ないように電気製品を置くことを挙げています。運動グッズを置くときも、置く場所の床やつかまる所を一緒に整えます。
タイプ別の選び方
室内で使う運動グッズは、ペダル運動器、ゴムバンド・チューブ、ハンドル付きステッパー、踏み台昇降のステップ台、歩数計・活動量計の5つに分けて考えると整理しやすくなります。ここでは、それぞれ買う前に商品ページで見ておくところを書きます。運動の方法や回数は、取扱説明書と、かかりつけ医の話に従ってください。
座ったまま使うペダル運動器
椅子に座り、足元に置いた本体のペダルに足を載せて回す道具です。自分の足でこぐ型と、ペダルが電動で回る型があり、同じ「ペダル運動器」でも足の動かし方が違います。
自分でこぐ型は、商品によって負荷(ペダルの重さ)の変えられ方が違います。商品ページで負荷の調節の有無と、いちばん軽い設定を見て、親がこげそうかを考えます。
電動で回る型は、足を載せるとペダルが自動で回るので、こぐ力がなくても足が動きます。この記事のカード①の健足座楽(MR-SWKMAN-BK)は、楽天の商品ページで速度8段階、連続使用は約30分、AC電源と案内されていて、同じページに医療機器ではないとの記載があります。自分でこぐ運動とは体の使い方が違うので、どちらがいいかは本人の様子とかかりつけ医の話で決めてください。コンセントから電源コードを引くので、コードが歩く所を横切らない置き方を考えておきます(置き方の章)。
どちらの型でも、本体が床の上でずれないか(滑り止めの脚やマットが付いているか)と、座る椅子を見ておきます。座る椅子は、動かないよう、キャスターの付いていない物にします。
ゴムバンド・チューブ
ゴムの帯や管を手や足で引っ張って使う道具です。軽く、引き出しに入る大きさで、座っても立っても使えます。
強さの表示は色や名前で分けているものが多く、基準はメーカーごとに違います。たとえば、あるメーカーのチラシでは黄が弱い側の表示ですが、別のメーカーの一覧では黄褐色が最も弱い表示で、色の名前だけでは強さを比べられません。「エクストラシン」「ミディアム」のように名前で表すメーカーもあります。買う商品のページの表示を見てください。
握りやすさも見ておきます。平たい帯は手に巻き付けて使うので、指や手首が弱っている方には扱いにくいことがあります。握る部分(グリップ)の付いたチューブなら、握るだけで持てます。
ゴムは使ううちに劣化して、切れることがあります。切れたゴムが顔や体に当たらないよう、使う前に傷や細かいひびがないかを見て、交換の目安は取扱説明書に従ってください。ゴムは固定する箇所で擦れて切れることがあるとされています。固定して使う場合は、取扱説明書で認められている使い方だけにします。
ハンドル付きステッパー
左右の踏み板を交互に踏む道具に、つかまるためのハンドルが付いたものです。立って使うので、つかまれば立てる方から下の段が対象になります(3段階の表)。器具の名前に「ハンドル」が付いていても、壁や床に据え付ける手すりとは別の物です。ハンドルが付いているから転ばない、というわけではありません。
買う前に見ておくところは4つあります。
- ハンドルの高さを変えられるか。別の商品(ショップジャパン「健康ステッパー ナイスデイ」)の口コミには、専用ハンドルの高さをいちばん上にしても低すぎる、という70代の声があります。カード③のFA4125はハンドル支柱の高さを3段階に調節でき、本体の高さは1,005〜1,105mmです(販売店掲載のメーカー仕様による)。この範囲が親の背丈に合うかは、商品ページの寸法で確かめてください。
- 耐荷重:親の体重に余裕があるかを確かめます。FA4125は耐荷重90kgです(販売店掲載のメーカー仕様による)。
- 踏み板の動き方。FA4125はメーカーが「八の字ステップタイプ」と説明しています。腰をひねるツイスト運動の型など、踏み板の動き方は商品によって違うので、商品ページの説明と動画で確かめます。
- 大きさと重さ、組み立て。FA4125は幅460×奥行430×高さ1,005〜1,105mm、本体重量10kgで、届いたあとに組み立てが要ります。親の家に届いても一人で組み立てて動かすのは難しいので、帰省に合わせて届けるか、家族が組み立てる段取りにしておきます。
別の商品(通販生活のハンドル付きステッパー)の口コミには、ハンドルを持つ手のほうに重心がいくとステッパーごと前に倒れそうで怖い、という60代の声や、負荷が強くて10分は続けられない、膝に少し痛みがあるまま使って整形外科にかかった、という70代の声があります。いずれも個人の感想で、誰にでも当てはまる事実ではありません。ハンドルが付いていても、ふらつきや痛みの心配はなくなりません。使い始める前に、かかりつけ医に膝や腰の状態を聞いておくと安心です。
踏み台昇降の運動用ステップ台
低い台に上がって下りる運動に使う台です。台に上り下りする動きなので、ふらついたときに転ぶおそれがあります。使うのは、つかまらずに立てる方が、手すりのすぐ横で使う場合に限って考えてください。高さを変えられるかは商品ページで確認し、使い方は取扱説明書とかかりつけ医の話に従ってください。
玄関の上がり框の段差を小さくするために置く「玄関台(踏み台)」とは、用途が違う物です。玄関の段差の対策は、「玄関の上がり框の段差対策|踏み台・腰掛け・手すりの選び方」で扱っています。
歩数計・活動量計
体を動かす道具ではありませんが、続いているかを本人と家族が数字で見られるようにする道具です。家の中を歩く、近所に出る、といった生活の中の動きも数えられます。
選ぶときは、本人が表示を自分で読めるか(文字の大きさ)と、電池交換や充電を本人ができるかを見ます。表示を見て紙に書き留めてもらい、電話のときに聞く、という形でもかまいません。
比較表と、取り上げた3つの候補
3段階のそれぞれに合うよう、座ったまま使うペダル運動器、座っても立っても使えるゴムチューブ、つかまって立って使うハンドル付きステッパーを1つずつ並べました。寸法や仕様は、販売店の商品ページと、販売店に掲載されたメーカーの仕様書で確かめた値です。レビュー件数や評価は選ぶ理由にしていません。
| 商品 | 座る/立つ | 置き場所の広さ | 耐荷重 | 価格(確認日) | 向いている方 |
miraiON 健足座楽 MR-SWKMAN-BK | 座って使う(ペダルが電動で回る) | 本体 約46.5×41×21.5cm・約4.9kg。椅子の前の床に置く。コンセントが要る | 商品ページで記載を確認できず | 楽天 allbuy の表示価格 20,980円 (税込・2026年10月22日確認) | 自分でこぐのが難しく、座ったまま足を動かしたい方 |
アルインコ グリップチューブ ミディアム WBF314D | 座っても立っても使える | 約W125×L410×H26mm・約235g。引き出しに入る大きさ。電源は不要 | - | 楽天 FIT-IN の表示価格 1,683円 (税込・2026年10月22日確認) | 座ったまま腕や脚を動かしたい方、場所を取りたくない方 |
アルインコ ハンドル付きステッパー FA4125 | 立って使う(ハンドルにつかまる) | 幅460×奥行430×高さ1,005〜1,105mm・10kg。組み立てが必要 | 90kg | 楽天 マツヨシ楽天市場店の表示価格 15,840円 (税込・2026年10月22日確認) | つかまれば立てて、手すりの横に置ける方 |
①座ったまま・電動で回る
🪑
座ったまま足を動かしたいなら:miraiON 健足座楽 MR-SWKMAN-BK
表示価格20,980円(税込)(楽天のallbuy・2026年10月22日確認。確認日時点の表示価格で、価格は変動します)
向いている方- 立ち上がりや立っているのが不安で、座ったまま使える物がいい
- 自分でペダルをこぐのが難しい
気になる点- 電源コードを引くので、置き場所に注意が要る
- 耐荷重・使用体重の記載を商品ページで確認できなかった
椅子に座って足を載せると、ペダルが電動で自動に回る型です。楽天の商品ページによると、大きさは約46.5×41×21.5cm、重さ約4.9kg、速度は8段階で、連続使用は約30分、電源はAC電源です。同じページに、医療機器ではないとの記載があります。自分でこぐ型とは体の使い方が違うので、贈る前に、本人の様子と合うかをかかりつけ医に聞いてください。
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②座っても立っても使える
🎗️
場所を取らずに始めるなら:アルインコ グリップチューブ ミディアム WBF314D
表示価格1,683円(税込)(楽天のフィットネスショップFIT-IN・2026年10月22日確認。在庫は残りわずかの表示で、価格は変動します)
向いている方- 座ったまま腕や脚を動かしたい
- 大きな器具を置く場所がない
気になる点- 強さの表示がメーカーごとに違い、色だけでは比べられない
- ゴムは劣化して切れることがある
電源が要らず、引き出しに入る大きさで、座っても立っても使えます。握る部分が付いているので、平たい帯のように手に巻き付けなくても持てます。楽天の商品ページによると、素材はTPR(熱可塑性ゴム)、大きさは約W125×L410×H26mm、重さ約235gで、このページの商品は「ミディアム」(負荷6.0kgf相当)です。強さの表示は色や名前もメーカーごとに違うため、他社の商品と並べて比べず、そのメーカーの表示で見ます。使う前には傷やひびがないかを確かめます。
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③つかまって立って踏む
🦶
つかまれば立てる方に:アルインコ ハンドル付きステッパー FA4125
表示価格15,840円(税込)(楽天のマツヨシ楽天市場店・2026年10月22日確認。確認日時点の表示価格で、価格は変動します)
向いている方- 何かにつかまれば、しばらく立っていられる
- ハンドルの高さを体に合わせたい
気になる点- 立って使うので、手すりの横に置く必要がある
- 本体が10kgあり、組み立てが要る
販売店に掲載されたメーカーの商品仕様では、耐荷重90kg、大きさは幅460×奥行430×高さ1,005〜1,105mm、本体重量10kgで、ハンドル支柱の高さを3段階に調節できます。メーカーは「八の字ステップタイプ」と説明しています。ハンドル付きのステッパーには、ハンドルに体重をかけると前に倒れそうで怖いという口コミもあります。壁際など、手すりのすぐ横に置ける場所があるかを先に確かめてください。
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安全な置き方と、続ける工夫
置き方
届いた道具をどこに置くかは、帰省したときに親と一緒に決めておきます。見るところは次のとおりです。
- 椅子:座って使う道具は、肘掛けがあり、キャスターの付いていない椅子と組み合わせます。座ったときに足の裏が床に着く高さかも見ます。
- 立って使う物は、壁際で、手すりなど体を支えられる物がすぐ横にある場所に置きます。この記事で「つかまる所」と書くのは、こうした体重をかけても動かない支えのことです。家具につかまる場合は、体重をかけても動かない物かを確かめます。壁に穴を開けずに置ける手すりもあります(「工事なしで置ける手すり|据え置き型と突っ張り型の選び方」)。
- 周りの床に、敷物の端やめくれ、床を横切るコードがないかを見ます。電動のペダル運動器を置くなら、そのコード自体が新しいつまずきの元にならないようにします。対策は「床を横切る電気コードと敷物の端のつまずき対策」で説明しています。
- 足元は、靴下だけだと床で滑りやすくなります。室内の履き物は「室内で転びにくい履き物の選び方と3タイプ」で扱っています。
家の中のほかの場所も一緒に見ておくなら、「実家の転びやすい場所7つと、帰省時10分チェックリスト」で家全体を順に確かめられます。
続ける工夫
運動グッズは、使わないまま部屋の隅に置かれてしまうこともあります。使う時間を先に決めておくと、思い出すきっかけになります。
使う時間は、毎日見ているテレビ番組の時間に合わせるのも一つの方法です。座って使うペダル運動器やゴムチューブなら、テレビを見ながらでも使えます。毎朝決まった時間に放送される体操番組を一緒に見る、という方法もあります。厚生労働省のガイドの高齢者版では、ラジオ体操や体操、ダンスなども、筋力・バランス・柔軟性などを組み合わせた「多要素な運動」の例に挙げられています。
次に、家族が様子を聞く日を決めます。たとえば週に1回、決まった曜日に電話で「今週は使えた?」と聞きます。使えていなくても責めずに、使いにくかったところを聞いて、置き場所や時間を一緒に考え直します。歩数計があれば、その週の歩数を聞くのも話のきっかけになります。
家で一人で続けるのが難しそうなら、人と一緒に体を動かす場もあります。住民が主体の「通いの場」などです(介護保険の章で説明しています)。
食が細くなって痩せてきた、という場合は、体を動かすことと同時に食事も見ておきます。栄養補助食品の選び方は「親の食が細くなったら|栄養補助食品の選び方と成分表示の見方」にまとめています。
介護保険は使える?
運動器具は、介護保険で借りる・買う福祉用具の種目に入っていない
介護保険で借りられる・買える福祉用具は、国の告示で種目が決まっています。借りる(福祉用具貸与)のは、車いす・特殊寝台・手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえなどの種目です。買う(特定福祉用具販売)のは、入浴や排せつに使う用具、スロープ・歩行器・歩行補助つえなどの種目です。ペダル運動器・ステッパー・ゴムバンドなどの運動器具は、どちらの種目にも入っていません。そのため、運動器具の購入は全額自己負担になります。
貸与の種目の「手すり」は、転倒予防や、移動・移乗の動作を助けるためのものと定められています。ハンドルが付いた運動器具はこれとは別の物で、ハンドルが付いていても、介護保険の「手すり」の種目には入りません。一方、運動する場所の横に置くつかまる所としての据え置き型の手すりは、貸与の種目に入っています(「工事なしで置ける手すり」で説明しています)。借りられるかどうかは、担当のケアマネジャーか市区町村の窓口に確認してください。壁に手すりを工事で付ける場合は住宅改修の対象になり得ます。申請は原則として工事の前に市区町村へ出すので、工事を頼む前に担当のケアマネジャーか市区町村に相談してください。
個別の商品が介護保険の対象になるかどうかは、親が住む市区町村の介護保険担当課か、担当のケアマネジャーに確認してください。
運動の機会は、市区町村の介護予防(通いの場など)で
器具とは別に、市区町村は介護予防の取り組みとして、体操や趣味活動などを行う住民が主体の「通いの場」の充実を進めています。介護予防教室の有無は、お住まいの市区町村の窓口で確認してください。通いの場は、要支援の認定を受けていなくても参加できる場合があります。厚生労働省の調査では、令和6年度に介護予防に資する住民主体の通いの場は全国で162,946か所あり、参加した人は高齢者人口の6.9%でした。
どこで何が開かれているか、内容と参加の条件は市区町村ごとに違います。通いの場などの介護予防の場は、実家のある市区町村の高齢者福祉(介護保険)の窓口か、地域包括支援センターで聞いてください。すでに要支援・要介護の認定を受けているなら、担当のケアマネジャーに、体を動かす機会のあるサービスについて相談してください。まだ何も手続きをしていない場合の相談の順番は、「親の介護は何から始める?最初の電話と要介護認定の手続き」にまとめています。
よくある質問
1日に何分くらい使えばいいですか?
器具ごとの使い方と時間は、取扱説明書と、かかりつけ医の話に従ってください。商品ページにある「連続使用約30分」などの表示は機械を続けて動かせる時間の案内で、運動の目安ではありません。国の目安としては、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」高齢者版で、歩くこと又はそれと同じくらい以上の強さの身体活動を1日40分以上(1日約6,000歩以上に相当)、筋力・バランス・柔軟性などを組み合わせた運動を週3日以上、筋力トレーニングを週2〜3日行うことが勧められています。この40分は、家事や買い物など生活の中の動きも含めた合計で、器具を使う時間の目安ではありません。同じガイドでは、身体機能が低下している高齢者は安全に配慮して転倒などに注意すること、推奨の量に届かなくても今より少しでも多く体を動かすことも書かれています。
膝が痛いと言っています。それでも贈っていいですか?
先に、かかりつけ医か整形外科で、膝の状態と、どんな動きなら避けたほうがいいかを聞いてください。通販サイトの口コミには、膝に痛みがあるままステッパーを使って整形外科にかかったという声もあります。使い始めてから痛みが出たり強くなったりしたら、すぐにやめて受診してください。NITEも、運動中に異常を感じたらすぐにやめるよう呼びかけています。
認知症の診断を受けている方でも使えますか?
診断があるかどうかより、取扱説明書の使い方を守れるか、一人で使う場面があるかで考えます。電動の型は電源の入れ切りやコードの扱い、立って使う型はつかまる所を使えるかを、家族が帰省したときに一緒に使って見ておきます。迷うときは、主治医か担当のケアマネジャーに相談してください。家で一人で使うより、通いの場など、人と一緒に体を動かす場が合う方もいます。
ペダルが電動で回るタイプはどうですか?
足を載せるとペダルが自動で回る型は、こぐ力がなくても足が動くので、自分でこぐのが難しい方の選択肢になります。ただ、自分でこぐ運動とは体の使い方が違い、この記事では効果を比べていません。商品ページに医療機器ではないと書かれている商品もあります。薬を飲んでいる方や通院中の方は、NITEが呼びかけているとおり、使う前に医師に確認してください。電源コードが歩く所を横切らないように置くことも大切です。
介護保険で買えますか?
介護保険の福祉用具として借りたり買ったりすることは、基本的にできません。介護保険で借りられる・買える福祉用具は国の告示で種目が決まっていて、ペダル運動器・ステッパー・ゴムバンドなどの運動器具はその種目に入っていないため、購入は全額自己負担になります。ハンドルが付いたステッパーも、介護保険の「手すり」の種目には入りません。個別の商品が対象になるかどうかは、親が住む市区町村の介護保険担当課か、担当のケアマネジャーに確認してください。体を動かす場としては、住民が主体の通いの場などがあり、地域包括支援センターで聞けます。
この記事の根拠とした資料(出典と参照日)