まずここから:かかと付きルームシューズ
検索結果から「かかと付き・滑り止め底」を選ぶ/価格はリンク先で確認
- 自分で歩けていて、しゃがんで履ける
- 「介護用」と言われると嫌がる
- かかとが柔らかいと踏みつぶしてスリッパに戻る
- 底の滑り止めの有無は商品ごとに違う
今のスリッパに色と形が近いものを選ぶと、替えたことに本人が抵抗しにくくなります。後ろから見た写真でかかとに芯があるか、底の写真で滑り止めがあるか、この2枚を確認してから選んでください。
久しぶりに実家へ帰ると、親の歩き方が変わっていることがあります。足を上げずに、スリッパの底を床にこすりながら進む。廊下の敷居でつっかかる。本人に言うと「履き慣れてるから」で終わる。この記事は、その家の中で足に履くものだけを扱います。外出用の靴、杖や歩行器といった歩行補助具、場所ごとの危険箇所は別の記事に分けてあり、ここでは「スリッパをどうするか」に絞ります。実物レビューではなく、公開情報の整理です(価格・仕様は各商品ページの表示。確認した日付は各カードに書いています)。
先に結論
やることは「スリッパをやめさせる」ではなく、かかとが固定される履き物に替えることです。裸足や靴下だけにするのは、フローリングの家では別の滑りやすさを生みます。
替えるときに見るのは3点だけ。①歩いたときにかかとが脱げないか、②底が床をつかむか(フローリングとカーペットの両方で)、③片手で脱ぎ履きできるか(かがめない・片手しか使えない方でも)。この3点を、親の動作に合わせて3タイプから選びます。 → 3タイプの比較表を見る
この記事で比べる履き物(3タイプ・4つ)
①③は型番を1つに絞らず、条件に合う商品の検索結果へ飛びます。②の2つは商品ページ(竹虎オンラインストア/公式あゆみシューズ楽天市場店)です。詳しい向き不向きは比較表とカードで説明しています。
スリッパが問題になるのは、素材が悪いからでも古いからでもありません。かかとを押さえるものが何もないという構造そのものが、年齢とともに歩き方と噛み合わなくなっていきます。
かかとを押さえるものがない履き物は、足を持ち上げるとつま先にぶら下がった状態になり、そのまま踏み出すと脱げます。脱げないように歩くには、足を高く上げずに床の上を滑らせて進むしかありません。若いうちは無意識にそれをやっても問題は出ませんが、足を持ち上げる力が落ちてきた方がこの歩き方をすると、つま先を上げない分だけ、敷居やラグの端、コードといった数cmの段差に引っかかりやすくなります。帰省したときに聞こえる「ずるずる」「ズズッ」という床をこする音は、本人の癖ではなく、スリッパの形が歩き方をそう決めた結果です。そう捉えると、打つ手は本人の注意ではなく履き物の側にあります。
さらに、脱げないように歩くと、歩幅が縮んで足の裏全体で床を押すような歩き方になります。この状態で急に振り向いたり、電話を取りに小走りしたりすると、足だけが先に止まって体が前に出る、という転び方につながります。
スリッパそのものが原因の事故は、統計として「スリッパで何件」とは集計されていません。ただ、事故事例としては一次情報に残っています。NITE(製品評価技術基盤機構)が公表している資料では、2010〜2019年度の10年間に高齢者が被害者となった屋内事故は790件で、うち死亡事故が225件(死亡者261人)、重傷事故が223件(重傷者237人)。その中に、立ち上がってスリッパを履こうとしたとき、床に敷いていたカーペットラグの上で滑ってバランスを崩し、転倒したという事例が具体的に挙げられています。履く動作の途中、片足立ちになる一瞬に、足元の敷物が動いた形です。
底の素材と床材の組み合わせも、見た目では分かりません。2023年9月22日には、株式会社ニトリホールディングスがスリッパ2品目(DF2301 IV M/BE M、2023年8月14日〜9月15日販売分)について、床材の種類によっては使用中にスリッパ底面が床材に吸着する事象が発生し、歩行時に転倒の可能性があるとして回収・返金を行っています(該当ロットは回収済みで、現在販売されている商品の話ではありません)。「滑る」だけでなく「くっついて足が止まる」ことでも人は転ぶ、という実例として挙げました。買う前に実家の床がフローリングなのか、畳なのか、廊下にカーペットが敷いてあるのかを思い出しておくのは、この相性の問題があるからです。
家の中の転倒の規模は、東京消防庁のデータで確認できます。令和6年中に東京消防庁管内で「ころぶ」事故により救急搬送された高齢者は73,500人。うち住宅等居住場所での発生が42,180人で、その9割以上にあたる39,053人が屋内、さらに29,783人が居室・寝室です(母数は東京消防庁管内で救急搬送された65歳以上の人数で、全国の統計ではありません。2026年9月7日参照)。玄関や階段ではなく、居室・寝室がいちばん多い、という数字です。どの場所で何に気をつけるかは、「実家の転びやすい場所7つと、帰省時10分チェックリスト」にまとめてあるので、この記事では履き物の話に戻ります。
出典:NITE「屋内で起こる高齢者の転倒・転落事故を防ぐ」(2020年5月28日公表/nite.go.jp/2026年9月7日参照)。消費者庁リコール情報サイト「スリッパ(株式会社ニトリホールディングス)」(2023年9月22日/recall.caa.go.jp/2026年9月7日参照)。東京消防庁「救急搬送データからみる高齢者の事故」(令和6年中/tfd.metro.tokyo.lg.jp/2026年9月7日参照)。
「スリッパが危ないなら脱がせればいい」と考えると、次の問題が出ます。足に何も履かない、あるいは靴下だけで歩くのは、家によってはスリッパより滑ります。
一般的な靴下の底は布です。ワックスのかかったフローリング、階段の踏み板、キッチンの床に落ちた水滴の上では、布と床の間に摩擦がほとんど生まれません。しかもスリッパと違って足を上げて歩けるので、本人は「ちゃんと歩けている」と感じたまま、踏み出した足がそのまま前に流れます。冬に暖房の効いた居間から冷えた廊下へ出るとき、靴下のまま急ぎ足になる場面は、実家でよく見る光景です。
底に樹脂の滑り止めが付いた靴下は、フローリングでの「足が流れる」滑りには手を打てます。ただし、これだけで解決しないことが多いのは、滑り止めが「床と靴下の間」の滑りしか止めないからです。靴下と足の間、あるいは靴下の上に履いた靴と靴下の間で滑れば、靴の内側で足だけがずれ、重心だけが前に流れてつまずくことがあります。相談サイトには、90代の親が靴下を履くと靴の中で滑ると訴え、滑り止め付きの靴下に替えると今度はつんのめるようになった、という家族の投稿があり、回答者が指摘したのは靴下ではなく靴のサイズでした(測り直すと半サイズ大きかったそうです)。滑り止め靴下は「靴下として履く」か「室内履きの中に履く」かで役割が変わるので、3章の③で改めて整理します。
畳の部屋が多く、廊下も板張りでワックスをかけていない家なら、裸足のほうが靴下より滑りにくい、という説明が一般的です。足の裏で床の感触を捉えられる点も、靴下との違いとして挙げられます。ただし足の状態によって向き不向きがあるので、迷う場合は主治医や通所先のリハビリ職に確認してください。ところが、冬に床が冷える家では、親は結局スリッパか靴下を履きます。裸足で通せる季節と部屋が限られる以上、「裸足でいい家」でも冬用の履き物は決めておく必要があります。また、足の爪が厚くなっていたり、皮膚が薄くなっていたりする方は、裸足で物にぶつけたときの傷が治りにくいことがあります。気になる症状があれば主治医へ相談してください。
市販の「介護スリッパ」「高齢者向けルームシューズ」は、素材や色で分けると際限がありません。親が脱ぐ・履くときにどう動くかで分けると、3タイプに収まります。
スリッパの後ろにかかとを包む部分が付いた形です。バブーシュ型、スニーカー型、ブーツ型などがありますが、共通するのは、歩いたときに履き物が足についてくること。まだ自分で歩けていて、しゃがんで履くこともできる方なら、まずここからです。見た目が今のスリッパに近いものを選べるので、「介護用」という言葉を出さずに替えられます。
面ファスナー式で商品ページを確認したのは、竹虎「転倒予防シューズ つま先なし」です。履き口が面ファスナーで大きく開き、かかとまで覆う形で、つま先の底を斜めにカットして(店舗の表記は「つま先アップ設計」)、わずかな段差でのつまずきを軽減する作りです。底面3か所と中敷に滑り止めがあり、片足の重さは約80〜120g、サイズはS(21.0〜22.0cm)から3L(27.0〜28.0cm)までの5段階。商品ページには「日本転倒予防学会推奨品」と表示されています(竹虎オンラインストア、2026年10月10日参照)。店舗の注意書きは、手すりなどにつかまって足を奥まで入れ、面ファスナーを足に合わせて留めること、かかとを踏まずに履くことです。購入者のレビューには、柔らかい素材なのでかかとを踏む癖のある人には踏めてしまった、足に力がなく引きずるように歩く人には滑ることがある、という声もありました。
介護シューズのメーカーが室内用として出している靴です。足入れが深く、座って履くことを前提に作られています。留め具は商品によって分かれ、甲が面ファスナーで大きく開くものと、甲がゴムで伸びて足を入れるだけのものがあります。どちらが合うかは手の使い方で変わるので、留め具の形はリンク先の商品写真で必ず確認してください。夕方になると足の甲がむくんで普通の靴が入らない方、腰や膝が痛くてかがめない方、片手しか自由に使えない方は、①では脱ぎ履きの動作そのもので転ぶことがあるので、このタイプになります。
底に樹脂の滑り止めが付いた靴下です。自分で歩き回る方の普段の履き物にはなりません。使いどころは、ベッドから車椅子への移乗、トイレまでの数歩、夜中に起きたときなど、靴を履く手間をかけずに床に足をつく場面です。車椅子で過ごす時間が長い方は、フットサポート(足を乗せる板)から足が落ちたときや、靴が脱げたときにつま先をぶつけることがあります。介護職の人が書いた投稿にも、靴下なしで靴を履いていた人の靴が脱げてフットサポートに足指をぶつけた、という例がありました。靴下の上から靴を履く、あるいは移乗のときだけ滑り止めソックスで床に足をつける、という使い分けをします。
①②③のどれを選んでも足りない、廊下で壁づたいに歩いている、立ち上がりのたびに何かにつかまっている、という段階なら、履き物ではなく「工事なしで置ける手すり」や屋内用の歩行器の話になります。杖・歩行器・車椅子のどれが合うかは「杖・歩行器・車椅子の使い分け早見表」で確認してください。
タイプが決まったら、商品ページで見る場所は5つです。並び順は、転びやすさに関わる順にしてあります。
5つとも確認しても、届いてから合わないことはあります。返品・交換ができる店舗を選ぶか、①のように価格を抑えて1足目を試すのが現実的です。
3タイプを、この記事の判断軸で並べました。価格帯は2026年9月7日時点に確認した範囲で、商品・店舗・サイズによって変わります。
| タイプ | かかとの固定 | 底 | 脱ぎ履き | 洗えるか | 価格帯 | 向く方 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ①かかと付きルームシューズ | かかとを包む(芯の有無で差) | 布底+滑り止め〜樹脂底まで商品による | 立ったまま。しゃがめる方に向く | 洗濯機で洗えるものが多い | 未確認(代表商品を1つに絞れなかったため。リンク先で確認) | 自分で歩き回っていて、スリッパを引きずる癖だけを直したい |
| ②室内用の介護シューズ | かかとを包む。足入れが深い | 樹脂底に溝。室内用 | 座って、または手すりにつかまって履く。面ファスナー式(竹虎 転倒予防シューズ)と、甲がゴムで伸びる型(エスパドメッシュ2024)がある | 商品による(手洗い指定が多い) | 2,200円(竹虎・送料無料)/2,734円〜3,960円(エスパドメッシュ2024) (店舗により異なる、2026年10月7日・10日時点) | むくみがある、かがめない、片手しか使えない |
| ③滑り止め付き室内ソックス | 靴下なので足に密着 | 布+樹脂の滑り止め | 靴下と同じ。介助者が履かせやすい | 洗濯機。滑り止めは劣化する | 未確認(代表商品を1つに絞れなかったため。リンク先で確認) | 介助で移動、車椅子・ベッドの時間が長い。自分で歩く方の普段の履き物にはしない |
※①③は代表商品を1つに絞れる一次情報がなかったため、価格帯を数字で書いていません。②はこの記事で商品ページを確認した2商品(竹虎「転倒予防シューズ つま先なし」・徳武産業「あゆみシューズ エスパドメッシュ 2024」)の価格です。
検索結果から「かかと付き・滑り止め底」を選ぶ/価格はリンク先で確認
今のスリッパに色と形が近いものを選ぶと、替えたことに本人が抵抗しにくくなります。後ろから見た写真でかかとに芯があるか、底の写真で滑り止めがあるか、この2枚を確認してから選んでください。
2,200円(両足・税込・送料無料、竹虎オンラインストア、2026年10月10日時点)
つま先の底を斜めにカットした形で、店舗はわずかな段差でのつまずきを軽減すると説明しています。底面3か所と中敷に滑り止め、片足約80〜120g、S〜3Lの5段階。楽天のレビュー127件・平均4.67(2026年10月10日時点)。
3,960円(税込・送料別、公式あゆみシューズ楽天市場店、2026年10月10日時点)
表地・裏地ともポリエステル100%のメッシュで、底材はナイロン60%・ポリウレタン40%。留め具は面ファスナーではなく、甲とかかとに入ったゴムで足を包む形です。公式楽天店にレビュー8件(2026年9月7日時点)。価格は店舗・サイズ・色で変わり、販売単位(両足か片足か)もリンク先で確認してください。
検索結果から「底全面に滑り止め・履き口がゆるい」ものを選ぶ/価格はリンク先で確認
滑り止めがかかと側にも付いているか、履き口のゴムがきつくないか(むくむ方は跡が残る)、この2点を商品写真で確認します。①②の中に履く用と、夜間用は別物なので、2種類に分けて考えます。
「危ないから」と言って渡すと、たいてい玄関の棚に置かれたままになります。危ないと言われることは、本人にとっては「衰えた」と言われることと同じだからです。理由を言わずに済む進め方のほうが、続きます。
それでも受け取らないときは、履き物を無理に押すより、家の側で手を打つ順番に切り替えます。ラグを固定する、廊下のコードを壁に寄せる、寝室からトイレまでの足元灯を置く、といった本人の同意がいらない対策は、「実家の転びやすい場所7つ」の親が「まだいらない」と言ったときの進め方に、場所別にまとめてあります。
結論から書くと、室内履きは介護保険の給付対象に入っていません。自費で選ぶ買い物です。
介護保険の福祉用具貸与(レンタル)の種目は、告示(平成11年厚生省告示第93号)で13種目に定められています。車いす/車いす付属品/特殊寝台/特殊寝台付属品/床ずれ防止用具/体位変換器/手すり/スロープ/歩行器/歩行補助つえ/認知症老人徘徊感知機器/移動用リフト(つり具の部分を除く)/自動排泄処理装置の13種目で、靴・シューズ・室内履き・靴下はどれにも入っていません(告示原文で確認・2026年9月7日参照)。購入費の一部が支給される特定福祉用具販売の種目(腰掛便座、入浴補助用具、排泄予測支援機器など。2024年4月からは固定用スロープ・歩行器・杖の一部も購入を選べるようになりました)にも、履き物はありません。数で書くなら、特定福祉用具販売の告示本文は2026年9月7日時点で9種目です(平成11年厚生省告示第94号、令和6年3月15日厚生労働省告示第86号による最終改正)。
床のほうを変える場合は話が別です。滑りの防止のための床材の変更は、介護保険の住宅改修費(支給限度基準額20万円)の対象になる工事の種類に入っており、事前申請と保険者(市区町村)の判断を経て給付を受けられる場合があります。ただし対象になるのは工事で、履き物や敷物のような物品の購入は含まれません。20万円枠で何ができて何ができないかは、「実家の転びやすい場所7つ」の住宅改修費の章で扱っています。
履き物を替えても立ち座りが不安なら、手すりは福祉用具貸与の種目に入っているので、要支援・要介護の認定があれば担当のケアマネジャーに相談できます。工事をせずに置く手すりの選び方は「工事なしで置ける手すり」に、要介護度ごとの目安は「要支援1〜要介護5の目安と区分の違い」にまとめてあります。給付の可否は最終的に保険者の判断になるので、迷う場合は担当のケアマネジャーか市区町村の介護保険窓口へ確認してください。
はい。靴下を履いた状態を基準にサイズを選んでください。冬に厚手の靴下を履くなら、その靴下でサイズを合わせます。靴下と靴の間で足が滑るなら、靴が大きいことが多いので、まずサイズを測り直します。滑り止め付きの靴下を靴の中に履くのは、滑り止めの樹脂が中敷きに引っかかって足だけ止まることがあるため、その組み合わせで実際に歩いてもらってから決めてください。
入院や入所の案内で、スリッパやサンダルを避けてかかとのある靴を、と指定されることがあります。理由は施設ごとに違いますが、脱げやすさと足を引きずる歩き方は共通して挙げられます。この記事の①か②で、かかとが固定されていて、本人が座って自分で履けるものを選べば、たいていの案内には合います。指定の細かい条件(底の色、紐の有無など)は、案内を出した施設に直接確認してください。
「かかとが固定される」「底に滑り止めがある」の2点を満たしていれば、価格で除外する理由はありません。ただ、かかと部分に芯がなく踏みつぶせる形のものは、結局スリッパとして履かれます。まず1足目として試し、本人が履き続けるなら、②の介護シューズのように足入れの深いものを2足目に、という順番が現実的です。
夕方に、普段履く靴下を履いた状態で、紙の上に立ってかかととつま先の位置に印を付け、その長さを測ります。両足測って大きいほうに合わせます。幅(足囲)は、親指の付け根と小指の付け根を通る一周をメジャーで測り、メーカーのサイズ表と照らします。3E・4Eの表記はメーカーごとに基準が違うので、数字だけで決めず、サイズ表で確かめます。むくみや変形で表に収まらない場合は、主治医や通所先のリハビリ職に相談してください。
2足あれば回ります。1足は洗濯中、1足は履く、の交代です。親が「新しいほう」と「慣れたほう」を選べる状態にしておくと、古いスリッパに戻りにくくなります。滑り止め付きソックスは、洗濯で滑り止めが劣化する消耗品なので、3〜4足を回して、剥がれたものから捨てていきます。