浴槽をまたげない・またぐのが怖い方に|浴槽用手すり・バスボード・浴槽台の選び方と、家の浴槽の測り方
買う前にメジャー1本で測る5か所と、道具を使った出入りの順番
PR本ページはプロモーション(広告)を含みます。楽天アフィリエイトのリンクを掲載しています。また、Amazonのアソシエイトとして、親ケアナビは適格販売により収入を得ています。製品の評価・順位は収益で変えていません。運営・選定方針
帰省したら親が浴槽の縁に両手をついて片足ずつゆっくり入っていた、親から「最近は湯船をやめてシャワーだけにしている」と聞いた——この記事は、そういう場面に気づいた子世代に向けて書いています。浴槽の縁をまたぐ一瞬は、片足で立って体を持ち上げる動作なので、足腰が弱ってくると早い段階でつらくなる場面のひとつです。この記事は「またいで入る・またいで出る」の1動作だけを扱います。浴槽用手すり、バスボード(介護保険上の名前は入浴台)、浴槽台(同じく浴槽内いす)、それに壁へ吸盤で付ける手すりの4つについて、どの段階の方にどれが向くか、うちの浴槽に付くかどうかはどこを測れば分かるか、道具を使った出入りの順番、介護保険の扱いを、メーカーの取扱説明書・設置チェックリストと厚生労働省の通知に書いてある範囲で整理しました。編集部が実際に取り付けて試した記事ではありません(価格は各商品ページの2026年9月19日時点の表示)。親を一人で入らせてよいかの見極めや、浴槽での事故の人数、介助の心構えは「親の入浴が心配になったら」に書いてあるので、ここでは繰り返しません。
先に結論
道具は、親が今どこでつまずいているかで決まります。①またげるが怖い・ふらつくなら、浴槽の縁に握る場所を作る浴槽用手すり。②足が縁の高さまで上がらないなら、いったん座ってから足を入れるバスボード(入浴台)。③浴槽が深くて立ち上がれない・底から出られないなら、浴槽の中に段を作る浴槽台(浴槽内いす)。
どれを選ぶにしても、買う前に家の浴槽をメジャーで測ります。浴槽用手すりは縁の壁厚、バスボードは浴槽の内寸、浴槽台は浴槽の深さと底の形で、付くかどうかが決まるからです。測る5か所は測り方の章にまとめています。
3つとも介護保険の購入費支給(年度10万円まで・自己負担1〜3割)の対象種目「入浴補助用具」に名前があります。ただし指定を受けた事業者から買った場合に限られ、一般の通販で買うと全額自費になるので、認定がある方なら買う前にケアマネジャーに相談してください。 → 介護保険の章へ
親の今の段階と、道具の対応
「またぐのがつらい」という一言の中身は、親によって3つに分かれます。どれなのかで買う物が変わるので、帰省中に一度、浴室のドアの外から出入りの様子を見ておくか、本人に「どこで止まる?」と聞いておきます。一人で入らせてよいかの判断そのものは「親の入浴が心配になったら」の見極めの章で扱っており、ここでは段階の名前だけ使います。
| 親の様子 | 足りていないもの | 先に検討する道具 |
| またげるが、縁に両手をついてゆっくり入る。片足を上げた瞬間に体が揺れる | 片足立ちの一瞬の支え | 浴槽用手すり(縁を挟むタイプ) |
| 足が縁の高さまで上がらない。つま先が縁に引っかかる | 足を上げずに縁を越える方法 | バスボード(入浴台)。手すりと組み合わせることが多い |
| 入れるが、湯船の底から立ち上がれない。出るときに縁が高すぎる | 底からの立ち上がりの高さ | 浴槽台(浴槽内いす)。腰かける使い方が基本で、踏み台として乗ってよいかは製品の表示で確認 |
3つは足し算になることもあります。足が上がらず立ち上がりも厳しい方なら、手すりで支えを作り、バスボードに座って入り、浴槽台で底を浅くする、という組み合わせです。ただし後で書くように、バスボードを置いたままでは浴槽の中で座れず、浴槽台を入れると湯に浸かる深さが減るので、全部を同時に置けば解決するわけではありません。どの段階かを本人に聞くとき、「怖い?」ではなく「足が上がらない? 立てない?」と体の動きで聞くほうが、答えが返ってきます。歩き方や筋力そのものの評価は、家族ではなく理学療法士・作業療法士の仕事です。ケアマネジャーがいるなら、福祉用具専門相談員に浴室を見てもらう手配を頼めます。
買う前に家の浴槽を測る(メジャー1本で5か所)
浴槽まわりの道具は、製品ごとに「付けられる浴槽の条件」が数字で決まっています。合わなければ取り付かないか、付いても傾きます。帰省中にメジャーを持って浴室に入り、次の5か所を測ってスマホに控えておくと、製品ページの適合欄と突き合わせられます。項目は、アロン化成が浴槽用手すりの購入前に確認する項目として公開している設置チェックリストと、バスボード・浴槽台の販売ページが適合条件として挙げている寸法から拾いました。
1|浴槽の壁厚(縁の厚み)と、縁の形
浴槽用手すりが付くかどうかを決める数字です。この記事では、メーカーの取扱説明書と設置チェックリストの用語に合わせて「壁厚」と呼びます。洗い場側から見た浴槽の縁の幅、つまり縁の外側の面から浴槽の内側の面までの厚みのことです。UST-130Nの場合、取り付けられる壁厚は4.5〜13.0cmで、兄弟機のUST-200Nは11.5〜20cm、UST-165Wは8.0〜16.5cmと、型番ごとに範囲が違います(アロン化成 設置チェックリスト・2026年9月19日参照)。
- 縁の上面が平らか、洗い場側へ傾いているか、段が付いているかを見ます。チェックリストでは、縁に段差や傾斜がある浴槽は、付属の段差補正板で補正できる範囲を除いて取り付け不可とされ、補正せずに付けると本体が傾くと書かれています。
- 浴槽の内側の壁が垂直ではなく傾いている浴槽では、壁厚に0.5cmを足した数値を取り付け幅として見る、という指示がチェックリストにあります。内壁に手のひらを当てて、下に行くほど内側へ寄っているなら、この項目に当たります。
- 縁の断面が大きく丸い浴槽、表面にざらつきやヒビがある浴槽も、同じチェックリストで不可の側に挙がっています。
2|浴槽の材質と、エプロンが外れるか
材質による不可も、このチェックリストに載っています。木製の浴槽、大理石の浴槽は不可。外側の天面や側面がタイル貼りで、内部が空洞になっている浴槽も不可です。もう1つ見落としやすいのが、浴槽の洗い場側の側面(エプロン)が掃除のために取り外せる浴槽で、この前面着脱式の浴槽も取り付け不可の側です。ユニットバスの浴槽には、エプロンが外れるものと一体のものの両方があるので、実家の浴槽の側面の下端に手をかけて、外れる作りかどうかを確かめておきます。チェックリストが不可として挙げているのは上の材質で、FRP・ステンレス・ホーローの浴槽は材質としては列挙されていませんが、可否は材質だけでなく壁厚・縁の形・表面の状態で決まるので、1と合わせて確認してください。
3|浴槽の内寸(バスボードを渡せる幅)と、縁の上面の幅
バスボードは浴槽の縁の上に渡して使うので、浴槽の内側の幅(内寸)と、板を受ける縁の上面の幅で決まります。アロン化成「安寿 バスボード U-L」の販売ページには、取り付け可能な浴槽内寸55〜68cmと表示されています(いーねっとわかばの商品ページ・2026年9月19日参照。メーカー公式ページの本文ではこの数値を照合できていないので、販売ページの表示として書いています)。測るのは、洗い場側の内壁から向かい側の内壁までの距離です。浴槽の中ほどではなく、板を置く位置(普通は浴槽の手前寄り)で測ります。
4|浴槽の深さと、底の寸法・形
浴槽台が入るかと、座面の高さを何cmにするかを決める数字です。深さは、縁の上面から浴槽の底までを測ります。底の寸法は、台の脚が乗る位置の幅と奥行きで、底の四隅が丸くカーブしている浴槽では、平らな部分の広さを測ります。ユニプラスBSN09は幅36×奥行34cm、座面の高さ12〜20cmなので、底の平らな部分がこれより狭いと脚が浴槽のカーブに乗ります。深さから座面の高さを引いた残りが、浴槽台に座ったときに湯に浸かる深さになります。
5|洗い場の床から縁の上面までの高さ
親が実際にまたいでいる高さです。この数字そのものが道具の適合を決めるわけではありませんが、バスボードに座ったときの座面の高さ(縁の高さ+板の厚み。U-Lなら厚み2.5cm)が、親がいすから立ち座りできる高さかどうかの目安になります。洗い場の床が濡れていると数字が読みにくいので、乾いているときに測っておきます。
浴槽用手すり(縁を挟むタイプ)|握る高さ・点検・付かない浴槽
浴槽の縁を上から挟み、ネジで締めて固定する手すりです。厚生労働省の通知(老企第34号)が「浴槽用手すり」として定義しているのも「浴槽の縁を挟み込んで固定することができるもの」で、工事はしません。またぐ一瞬に片手で握る支えを作る道具なので、またげるものの、片足を上げた瞬間にふらつく方(①の段階)から検討します。
握る位置と高さ:親が立ってまたぐ姿勢で決める
UST-130Nは、グリップの高さを浴槽の上縁から11・14・17・20・23・26cmの6段階で変えられます(メーカー製品ページ・取扱説明書)。高さは、洗い場に立ったときに腕を軽く曲げて握れる位置が目安で、本人に洗い場に立ってもらい、縁の上に握りこぶしを置いた高さから試します。取り付ける位置は、またぐときに軸足の側で握れる場所です。右足から入る人なら左手で握る位置、というように、本人の入り方を先に見てから決めます。浴槽の中に座ったときに邪魔にならないかも、設置前に縁の上でグリップの位置を仮に当てて確かめておきます。
取扱説明書に書いてある使い方の注意
UST-130Nの取扱説明書に書かれている注意のうち、家族が毎回の入浴で関わるものを挙げます。
- 最大使用者体重は80kg。80kgを超える人は使用しない。
- 全体重がかかるような使い方や、反動をつけた使い方をしない。手すりはまたぐときのバランスを取る支えで、体重を預けて立ち上がる道具ではない。
- グリップ以外の部分を支えにしない。
- 毎回、使用前にグリップを前後左右に揺らして、固定が緩んでいないか確かめる。取扱説明書は「使用前に」と書いているので、取り付けた日だけでなく毎回確かめる。
- 45℃以上の湯では使わない。
体重を預けて立ち上がる支えが要る段階なら、この種の手すりではなく、壁にビスで固定する手すり(介護保険では住宅改修の側)を検討することになります。壁付けの工事は「実家の転びやすい場所7つ」の住宅改修の節に手順があります。
付かない浴槽:買う前に候補から外す条件
UST-130Nの設置チェックリストが取り付け不可としている浴槽を、測り方の章の項目とは別にまとめておきます。
- 壁厚が範囲外(UST-130N・130・130Rは4.5〜13.0cm。200Nは11.5〜20cm、165Wは8.0〜16.5cm)
- 縁に段差や傾斜があり、付属の段差補正板で補正できる範囲を超えている
- 洗い場側のエプロンを取り外せる前面着脱式の浴槽
- 木製・大理石の浴槽
- 外側の天面・側面がタイル貼りで、内部が空洞の浴槽
- 取り付け部の湾曲が大きい、表面にざらつきやヒビがある
1〜6は「アロン化成UST-130Nの取扱説明書・設置チェックリストの場合」です。他社製品は項目の立て方が違うので、同じ点をその製品の説明書で確認してください。型番の「N」の有無にも注意が要ります。同じシリーズにUST-130とUST-130Nがあり、寸法・重量・材質・価格が違う別製品です(「親の入浴が心配になったら」にも同じ注意があります)。
幅の狭いコンパクト型の例
浴槽用手すりには、UST-130N(幅18cm)より幅を詰めた製品もあります。幸和製作所(テイコブ)の「コンパクト浴槽手すり YT01」は、幅16〜21.5×奥行27.5×高さ24〜26cm、重量2.3kg、取り付け可能な浴槽の壁厚4.5〜13cm、耐荷重80kgと販売ページに表示され、税込13,500円、レビュー37件・総合評価4.62です(楽天・車椅子・シルバーカー卸センターの商品ページ・2026年9月19日参照)。グリップの高さ調節幅はUST-130Nより小さく、そのぶん軽くなっています。この製品は「実家の転びやすい場所7つ」が浴室の項で扱っているので、詳しくはそちらを見てください。なおYT01の80kgは販売ページの「耐荷重」表記、UST-130Nの80kgはメーカー取扱説明書の「最大使用者体重」表記で、測り方が同じとは限りません。どちらも、その製品が表示している範囲の中で使ってください。
バスボード(入浴台)|座ってから片足ずつ
浴槽の縁の上に渡す板です。通知(老企第34号)では「入浴台」という名前で、「浴槽の縁にかけて浴槽への出入りを容易にすることができるもの」と定義されています。立ったまま片足を上げて縁を越えるかわりに、いったん板に腰を下ろし、座ったまま体の向きを変えて足を1本ずつ浴槽に入れる、という動きに変える道具です。足が縁の高さまで上がらない(②の段階)なら、立ってまたぐ動作そのものをやめられるこの板が候補になります。
入るときと出るときの順番
道具の作りから決まる順番は次のとおりです。細かな手順や禁止事項はその製品の取扱説明書に従ってください(この記事ではアロン化成U-Lの取扱説明書本文を読めていないので、説明書にしか書かれていない項目は書いていません)。
- 洗い場側を向いて、板に浅く腰を下ろす。座面は縁の高さ+板の厚みなので、U-L(厚み2.5cm)なら縁より2.5cm高い位置になる。
- 座ったまま、浴槽側へ体の向きを90度変えながら、片足ずつ浴槽の中へ下ろす。手は浴槽用手すりか、板のグリップにかける。
- 両足が浴槽の底に着いたら、板からお尻を浮かせて浴槽の中へ体を下ろす。板は置いたままだと座る場所を塞ぐので、浴槽の中で座りたい場合は外す。
- 出るときは逆の順番。浴槽の中で立ち、板に腰を下ろし、座ったまま向きを変えて片足ずつ洗い場へ出す。
3の「板を外す」は、買う前に見落としやすい点です。渡したまま湯に浸かろうとすると、板の下に体を滑り込ませる姿勢になります。入るたびに板を外して立てかけ、出るときにまた渡す、という手間を親が一人でできるか、または家族が介助に入る前提かを、買う前に決めておきます。板を外す動作を減らしたい場合、座面が回転するタイプのバスボードもありますが、この記事では公式ページで条件を確認できた製品がU-Lだけなので、比較には入れていません。
幅の合わせ方とずれ止め
U-Lは幅73cm、兄弟機のU-Sは幅68cm(メーカー公式)で、販売ページの表示ではU-Lが浴槽内寸55〜68cm向けです。メーカー公式の材質欄にはストッパーゴムがあり、一般にバスボードは裏側のストッパーを浴槽の内壁に当てて横ずれを止める作りです。内寸が表示の範囲から外れると固定できないおそれがあるので、測り方の章の3番で測った内寸が範囲内かどうかを、販売ページの表示と突き合わせてから型番を選びます。最大使用者体重は100kg(メーカー公式)です。板は座って使う道具で、その上に立つ使い方が想定されているかは取扱説明書で確認してください。
浴槽台(浴槽内いす)|中に段を作る
浴槽の中に沈めて使う台です。通知の名前は「浴槽内いす」で、定義は「浴槽内に置いて利用することができるもの」。浴槽が深くて底から立ち上がれない、出るときに縁が高すぎる、という方(③の段階)には、浴槽の底を浅くするこの台が合います。使い方は2つあり、台に腰かけて半身浴の姿勢で湯に浸かる使い方と、浴槽の中の一段目として足を乗せる使い方です。ただし台の上に立って体重をかける使い方が想定されているかは製品ごとに違うので、BSN09を踏み台として使ってよいかは、購入前に取扱説明書か販売ページの表示で確認してください(この記事ではその表示を確認できていません)。
座面の高さと、湯に浸かる深さ
ユニプラスBSN09は座面の高さを12〜20cmで調節でき、幅36×奥行34cm、重量2.8kgです(販売ページ・2026年9月19日参照)。踏み台として使ってよいと表示されている製品なら、縁の高さから台の座面までと、台から底までの2段の高さがそれぞれ親のまたげる高さに収まるように座面を決めます。座面として使うなら、浴槽の深さから座面の高さを引いた残りが浸かる深さです。たとえば深さ55cmの浴槽に高さ20cmの台を入れると、座ったときの湯面は底から55cm、座面から35cmになるので、肩まで浸かる入り方はできなくなります。深く浸かりたい方には、この点を買う前に話しておくと、届いてから使わない事態を避けやすくなります。
底の形と、浮き上がり
浴槽台は、脚が底に平らに乗って初めて安定します。底の四隅がカーブしている浴槽で、台の脚がカーブに乗ると台が斜めになります。測り方の章の4番で測った「底の平らな部分」の幅と奥行きが、台の幅36×奥行34cmを上回っているかを見てください。また、湯の中では台に浮力がかかるので、脚の裏に吸盤や滑り止めゴムが付いた製品が多く、どの浴槽面に付くか(表面がざらついた浴槽、入浴剤を使う湯で吸盤が効くか)は製品ページの表示で確認します。BSN09の脚部の仕様は販売ページの表示を出典にしているので、この記事では吸盤の有無まで断定していません。
吸盤で壁に付ける手すり|条件と点検が前提
浴室の壁に吸盤で吸い付かせる手すりは、工事なしで付けられる物として検索でよく出てきます。この記事では、縁を挟む浴槽用手すりの代わりになるかという観点で2点だけ書きます。
1点目は吸着面の条件です。吸盤は一般に平滑な面に吸い付かせる作りで、多くの製品がタイルの目地・凹凸・ざらつきのある面を取り付け不可としています。実家の浴室がタイル貼りなら、吸盤の直径と目地の間隔を先に測り、その製品の表示で付けられる面かどうかを確かめてください。どの面に付くか、どのくらいの頻度で付け直すか、体重を預ける支えとして使ってよいかは、製品ごとにメーカーの表示が違うので、その表示で確認します。表示が無い製品は、体重を預ける支えとしては選ばず、縁を挟むタイプか工事で壁に固定する手すりを検討してください。Yahoo!知恵袋には、浴槽用に吸盤タイプの手すりを買った人の質問に対して「身をゆだねる手すりに吸盤は危険すぎるのでやめたほうがいいです」というベストアンサーが付いています(一利用者の意見です)。使うなら、浴槽用手すりと同じく、毎回使用前に揺らして固定を確かめることになります。
2点目は介護保険の扱いです。通知(老企第34号)の「浴槽用手すり」は「浴槽の縁を挟み込んで固定することができるもの」に限られていて、壁に吸盤で付けるタイプはこの定義に当たらない読み方になります。ただし個別の製品が購入費支給や貸与の対象になるかをこの記事で断定はできないので、福祉用具専門相談員か市区町村の介護保険窓口に確認してください。床に置く据え置き型・天井との間に突っ張る型の手すりは、浴室に限らない一般論として「工事なしで置ける手すり」で扱っています。
比較表と、比べた3つの道具
ここまでを1枚にします。段階・測る場所・価格・介護保険の扱いの4列で、メーカー公式と販売ページの表示を編集部が並べたものです。価格は2026年9月19日時点の各楽天市場店の表示(税込)で、変動します。
| 道具(通知上の名前) | 向く段階 | 家で測るところ | 例に挙げた製品と実売価格 | 介護保険の扱い |
浴槽用手すり (浴槽用手すり) | ①またげるが怖い・片足を上げた瞬間に揺れる | 縁の壁厚、縁の段差・傾斜、材質、エプロンが外れるか | アロン化成 UST-130N 21,677円 ケアショップはるかぜ。メーカー掲載価格は36,000円(税込39,600円) | 購入費支給の種目名にある。指定事業者から購入した場合に限る |
バスボード (入浴台) | ②足が縁の高さまで上がらない | 浴槽の内寸、縁の上面の幅、洗い場床から縁までの高さ | アロン化成 バスボード U-L 27,500円 いーねっとわかば。メーカー掲載価格は36,000円(税込39,600円) | 同上 |
浴槽台 (浴槽内いす) | ③浴槽が深くて底から立てない・出られない | 浴槽の深さ、底の平らな部分の幅と奥行き | 幸和製作所 ユニプラス BSN09 17,800円 車椅子・シルバーカー卸センター | 同上 |
| 吸盤で壁に付ける手すり | 製品の表示による | 壁の材質(タイル目地・凹凸の有無) | この記事では例を挙げない | 「浴槽用手すり」の定義(縁を挟み込む)に当たらない読み方になる。個別の可否は窓口へ |
①またげるが怖い
🛁
縁を挟んで固定する:アロン化成「安寿 高さ調節付浴槽手すり UST-130N」
21,677円(税込・楽天 ケアショップはるかぜ/UST-130Nの選択肢を選んだときの表示)
向いている家- 浴槽の壁厚が4.5〜13cmで、縁の上面が平ら
- またぐ一瞬の支えだけが足りない方
気になる点- 最大使用者体重80kg。体重を預けて立ち上がる用途には使わない(取扱説明書)
- 木製・大理石・タイル貼り空洞・前面着脱式の浴槽には付かない
幅18×奥行29〜38×高さ42cm、約3.8kg。グリップの高さを浴槽の上縁から11〜26cmの6段階で変えられるので、親の身長と入り方に合わせられます。毎回使用前にグリップを揺らして固定を確かめる、45℃以上の湯では使わない、という取扱説明書の注意は家族が覚えておく項目です。メーカーの製品ページ掲載価格は36,000円(税込39,600円)で、楽天の実売はそれより低い表示になっています。
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②足が縁を越えない
🪑
座ってから片足ずつ:アロン化成「安寿 バスボード U-L」
27,500円(税込・楽天 いーねっとわかば)
向いている家- 浴槽の内寸が55〜68cm(販売ページの表示)
- 足を上げて縁を越える動作をやめさせたい
気になる点- 置いたままでは浴槽の中で座れない。入るたびに外す前提
- 約3.6kgの板を親が一人で外して立てかけられるか
幅73×奥行32×高さ21cm、厚み2.5cm、最大使用者体重100kg(メーカー公式)。内寸が狭い浴槽には幅68cmのU-Sがあります。板に座って向きを変え、片足ずつ入れる順番は本文のバスボードの章で説明しています。メーカーの製品ページ掲載価格は36,000円(税込39,600円)です。
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③底から立てない
🪜
浴槽の中に段を作る:幸和製作所「ユニプラス 浴槽内いす BSN09」
17,800円(税込・楽天 車椅子・シルバーカー卸センター)
向いている家- 浴槽の底の平らな部分が幅36×奥行34cmより広い
- 浴槽の中で腰かけて浸かる台がほしい(踏み台としての使用可否は製品の表示で確認)
気になる点- 座面の高さのぶん、湯に浸かる深さが減る
- 耐荷重はメーカー公式で照合できていないため、この記事では書いていない
座面の高さ12〜20cm、重量2.8kg。「親の入浴が心配になったら」でも浴槽内いすの例として同じ型番を挙げています。座面として使うか、表示で認められていれば一段目の足場として使うかで選ぶ高さが変わるので、測り方の章の4番(深さと底の寸法)を先に見てください。
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3つは「またぐ・入る・出る」の道具です。浴槽の中で足が滑る話は「浴室の床の滑り止め」、道具を使っても入れない日の体の扱いは「お風呂に入れなかった日の清拭とドライシャンプー」で扱っています。介助に人が入るときの心構えは「親の入浴が心配になったら」の介助の章にあります。
介護保険で安くなるか
この記事の3つの道具は、介護保険の「特定福祉用具販売(購入費支給)」の対象種目に名前があります。制度の枠組み全体(購入費支給・住宅改修・貸与の3つの入口)は「親の入浴が心配になったら」の介護保険の章に書いてあるので、ここでは「この3つを買うときに何が条件になるか」だけを書きます。
入浴補助用具7種目のうち、3つがこの記事の道具
購入費支給の対象になる「入浴補助用具」は、厚生労働省の通知(平成12年1月31日 老企第34号)で7種目に分かれていて、そのうち3つがこの記事の道具です。定義は通知の原文どおりに書きます。
- 浴槽用手すり=浴槽の縁を挟み込んで固定することができるもの
- 入浴台=浴槽の縁にかけて浴槽への出入りを容易にすることができるもの(この記事のバスボード)
- 浴槽内いす=浴槽内に置いて利用することができるもの(この記事の浴槽台)
残りの4種目は入浴用いす・浴室内すのこ・浴槽内すのこ・入浴用介助ベルトです。すのこは種目名にありますが、要件は浴室内すのこが「浴室の床の段差の解消」、浴槽内すのこが「浴槽の底面の高さを補う」ことなので、個々の商品が対象になるかはケアマネジャー・福祉用具専門相談員・市区町村の判断です。滑り止めマット・貼るシート・塗る剤は7種目に名前が無く、原則自費です(市区町村独自の助成は別の制度なので窓口へ)。その整理は「浴室の床の滑り止め」に書いてあります。
年度10万円・自己負担1〜3割・原則は償還払い
- 支給限度額は、毎年4月から翌年3月までの1年間で10万円までです(厚生労働省 介護サービス情報公表システム)。
- 自己負担は原則1割で、一定以上の所得がある人は2割または3割です。親がどれに当たるかは、手元の介護保険負担割合証で確認できます。「10万円までなら1割」という言い方は、2割・3割の人には当てはまりません。
- 支払いの原則は償還払いで、いったん全額を販売事業者に払い、市区町村へ申請すると保険給付分(9〜7割)が戻ります。自治体によっては、登録を受けた事業者から買う場合に限って、窓口で自己負担分だけを払う受領委任払いを選べます(例として江東区の案内)。実施の有無と対象事業者は市区町村ごとに違うので、買う前に確認してください。
指定を受けた事業者から買った場合に限る
購入費支給は、都道府県等の指定を受けた特定福祉用具販売事業者から購入した場合に限られます。指定の無い店で買うと、同じ型番でも全額自費です。この記事の楽天・Amazonのリンクは、自費で買う場合の例として置いています。要支援・要介護の認定がある方なら、注文する前に担当のケアマネジャーか地域包括支援センターへ連絡して、指定事業者から買う手順(事業者による計画書の作成や申請書類の準備を含む)に乗せてもらってください。認定をまだ受けていない段階の入口は「親の介護は何から始める?」に、買うか借りるかの費用の比べ方は「借りる?買う?介護保険レンタルの対象と費用」にあります。
なお、脱衣所や浴室の出入口に置く据え置き型・突っ張り型の手すりは購入ではなく貸与(レンタル)の側で、要支援1・2や要介護1でも原則除外の種目に含まれていないため借りられる、と自治体の案内(大田区・札幌市)にあります。個別の可否はケアマネジャーに確認してください。据え置き型・突っ張り型の選び方は工事なしで置ける手すり、壁にビスで固定する手すりの工事(住宅改修・20万円枠)は「実家の転びやすい場所7つ」で扱っています。
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よくある質問
浴槽用手すりとバスボード、どちらを先に買えばいいですか?
親の足が縁の高さまで上がるかで決まります。上がるが片足を上げた瞬間に揺れるなら、手すりが先です。足が上がらない・つま先が縁に引っかかるなら、手すりを付けても越えられないのでバスボードが先で、板に座って向きを変えるときの支えとして手すりを足すことになります。どちらか分からないときは、帰省中にドアの外から出入りを一度見るか、ケアマネジャーに福祉用具専門相談員の訪問を頼んでください。
ユニットバスでも浴槽用手すりは付きますか?
ユニットバスかどうかではなく、縁の壁厚と形で決まります。壁厚が製品の範囲(UST-130Nなら4.5〜13cm)に入っているか、縁の上面が平らか、洗い場側のエプロンが取り外せる作りでないか、の3点を測り方の章のとおりに確かめてください。ユニットバスの浴槽には縁が薄いものや、エプロンが外れるものがあり、その場合はこの型番は付きません。メーカーによってはユニットバス向けの型番を用意しているので、製品ページの適合欄で壁厚の範囲を見比べます。
バスボードに座ったまま体を洗ってもいいですか?
この記事で確認できた記載は、バスボードが「浴槽への出入りを容易にする」道具であること(通知の定義)と、最大使用者体重100kg(アロン化成U-L)までです。座ったまま体を洗う使い方が想定されているかは、その製品の取扱説明書の禁止事項で確認してください。洗い場で座って体を洗うための道具は入浴用いす(シャワーチェア)で、「親の入浴が心配になったら」の動作別の道具の章で扱っています。
浴槽の中で立てなくなったら、どうすればいいですか?
湯船の底から立ち上がれない段階なら、浴槽台を入れて底を浅くする方法と、浴槽台に腰かけて半身浴にする方法があります(浴槽台の章)。それでも立てないなら、浴槽用手すりや浴槽台では足りず、壁に固定する手すりの工事や入浴用リフト、訪問入浴・デイサービスでの入浴といった、道具の外の選択肢になります。その判断はケアマネジャーと福祉用具専門相談員に浴室を見てもらってからにしてください。入れない日の体の扱いは清拭とドライシャンプーの記事で扱っています。
賃貸の実家でも使えますか?
浴槽用手すり(縁を挟むタイプ)、バスボード、浴槽台の3つは工事をせず、外せば元に戻るので、賃貸でも使えます。壁にビスで固定する手すりは工事なので貸主の承諾が要り、吸盤式の手すりはネジ穴を開けませんが、吸着面の条件と体重を預けてよいかの表示を先に見てください(吸盤式の章)。原状回復の扱いは契約ごとに違うので、工事を伴う物は管理会社へ聞いてからにします。
この記事の根拠とした主な情報源