実家に手すりを付ける前に:介護保険の住宅改修、申請の流れと書類
事前申請から工事、支給まで。家族がいつ、誰に、何を頼むか

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Q&Aサイトには「介護保険の住宅改修費は事前に申請が必要ですが、申請前にやってしまいました」という質問が残っています。手すりを付ける工事そのものは、工務店やリフォーム業者などに頼めます。ただ、介護保険の住宅改修費を使うなら、原則として、工事の前に市区町村へ申請し、確認を受けてから着工します。先に業者へ頼んで工事を始めてしまうと、あとから書類をそろえても支給されないことがあります。この記事は、住宅改修を使うと決めたあとの手続きだけを、家族が動く順に並べたものです。どの工事が対象になるかは「実家の転びやすい場所7つ」で、要介護認定の申請から始める場合は「親の介護は何から始める?」で説明しています。書類の名前や様式は市区町村によって違うので、ここでは厚生労働省の通知に書かれている中身と、市区町村の案内の例を分けて書きます。

先に結論

まず全体の順番

厚生労働省の資料が示す手続きの順番は、相談、業者選びと見積もり、工事前の申請、市区町村の確認、工事と支払い、工事後の申請、支給の決定です。家族が動くのは、ほぼ工事の前までです。工事が始まってからの仕事は、業者から書類を受け取って市区町村に出すことが中心です。

  1. ケアマネジャーに相談する。実家のどこで、どんな動作に困っているかを伝えます。
  2. 施工する業者を選んで、見積もりを取る。複数の業者から取るよう案内している市区町村があります。
  3. ケアマネジャーなどに、住宅改修が必要な理由書を書いてもらう。
  4. 市区町村の介護保険の担当へ、工事前の申請をする。
  5. 市区町村が内容を確認して、結果を知らせる。この通知が届くまでは着工しません。
  6. 工事をして、業者に代金を払う。
  7. 工事後の書類(領収書、工事費内訳書、改修前と改修後の写真など)を市区町村に出す。
  8. 市区町村が支給額を決めて、給付分が支給される。

家族がやることと、頼む相手

段階家族がやること頼む相手・出す先
相談困っている場所と動作を伝える。帰省したときに撮った写真があれば見せる担当のケアマネジャー(要支援なら地域包括支援センター、または委託を受けた事業所)
見積もり業者に現地を見てもらい、見積書をもらう。材料費・施工費・諸経費を分けて書いてもらう施工業者(探し方はケアマネジャーに相談できる)
理由書親の体の状態や、家での普段の動き方をケアマネジャーに伝える担当のケアマネジャーなど
工事前の申請申請書・見積書・理由書・写真と図面・承諾書がそろっているか確かめる市区町村の介護保険の担当
着工確認の通知が届いたことを業者と共有してから、工事の日を決める施工業者
工事後の申請領収書・内訳書・改修後の写真を受け取り、支給申請書と一緒に出す市区町村の介護保険の担当

出典:厚生労働省「介護保険における住宅改修」(mhlw.go.jp(PDF))、厚生労働省「福祉用具・住宅改修」(mhlw.go.jp)、いずれも2026年9月30日参照。書類を窓口へ誰が持っていくか(本人・家族・ケアマネジャー・業者)や、郵送・電子申請ができるかは市区町村によって違います。

最初に確認しておく3つ

業者に電話をかける前に、手元で分かることが3つあります。

  1. 要支援・要介護の認定を受けているか。住宅改修費は認定を受けていることが前提です。支給の限度額は要介護度にかかわらず一律20万円なので、要支援1でも要介護5でも枠の大きさは変わりません。区分ごとの違いは要支援1〜要介護5の目安と区分の違いにまとめています。
  2. 介護保険負担割合証に書かれた割合(1割・2割・3割)。これで自己負担額が決まります。認定を受けている人に市区町村から交付される証なので、実家の書類入れを探すか、親に見せてもらいます。見つからなければ市区町村の窓口で聞けます。
  3. 実家の名義。親本人の名義でなければ、所有者の承諾が要ります。亡くなった祖父母の名義のまま、きょうだいとの共有、借家などの場合は、工事の話を進める前に確かめておきます。

認定の結果待ちのときは

標準の順番は、認定の結果が出てから工事前の申請をして着工する流れです。ただ、退院の日が決まっているなど急ぐ事情があるときは、認定の申請中でも工事前の申請を受け付ける市区町村があります。

たとえば江東区は、新規の認定申請中や区分変更の申請中でも工事前の申請ができ、確認書が出れば着工できるとしています(工事後の申請は認定結果が出てから)。神戸市のFAQは、急ぐ理由がある場合の例外として、認定を申請済みであること、非該当なら全額自己負担になること、償還払いに限ること、支給は認定結果のあとになること、所有者の承諾書を付けることを条件に挙げています。一方で世田谷区は「着工日の時点で要介護・要支援の認定を受けていること」を支給の条件にしています。

全国共通のルールではないので、急ぐ場合は実家のある市区町村の窓口に、申請中でも受け付けるか、条件は何かを先に聞きます。結果が非該当なら全額自己負担になる、と神戸市のFAQは明記しています。

出典:江東区「介護保険 住宅改修費の支給」、神戸市FAQ「要介護認定の結果が出ていなくても、介護保険の住宅改修は申請できますか。」、世田谷区「住宅改修費支給申請」、いずれも2026年9月30日参照。

着工前にそろえる書類

厚生労働省の通知(老企第42号)と介護保険法施行規則第75条で、工事前に出す書類の中身が決まっています。様式や呼び名は市区町村ごとに違いますが、中身はおおむね次の5つです。

書類誰が用意するか気をつける点
支給申請書
(事前申請書など、名前は市区町村による)
本人(申請者)。様式は市区町村のもの工事の種類ごとに箇所・数量・規模を書く欄がある
工事費の見積書施工業者材料費・施工費・諸経費を分けて書いてもらう。複数の業者から取るよう案内する市区町村がある
住宅改修が必要な理由書担当のケアマネジャーなど受け付ける作成者の範囲は市区町村によって違う
改修前の写真と、改修後の予定を示す図施工業者・家族場所ごとに、撮影日が分かる写真。改修後の予定は平面図などで示す
住宅所有者の承諾書所有者(親の名義でない場合)提出の時期と様式は市区町村の案内に従う

出典:厚生労働省「居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について」(平成12年3月8日老企第42号/mhlw.go.jp)、介護保険法施行規則(e-Gov法令検索)第75条、いずれも2026年9月30日参照。

理由書は誰に頼むか

施行規則は、理由書を書く人を「介護支援専門員その他」住宅改修について専門的な知識と経験を持つ人と定めています。通知(老企第42号)は、基本は担当のケアマネジャーと地域包括支援センターの担当職員とし、市町村の福祉用具・住宅改修支援事業などで相談・助言をしている福祉・保健医療・建築の専門家も含むとしています。厚生労働省の概要資料は、作業療法士や福祉住環境コーディネーター検定2級以上の人なども挙げています。

家族がすることは、担当のケアマネジャーに「実家の玄関(トイレ、浴室など)に手すりを付けたい」と伝えることです。要支援の場合は、地域包括支援センター(または委託を受けた事業所)の担当者に頼みます。担当のケアマネジャーがいない場合は、市区町村の介護保険の窓口か地域包括支援センターに相談します。世田谷区は、ケアマネジャーがいなければ総合支所の保健福祉課に、要支援1・2ならあんしんすこやかセンターの職員に依頼するよう案内しています。文京区は、介護保険課か高齢者あんしん相談センターへの相談を案内しています。

費用についても通知に書かれています。ケアマネジャーなどが理由書を作るのは本来の業務の範囲なので、通知は、理由書の作成に別の費用を取ることはできないとしています。担当以外の専門家に頼む場合の費用や、その人の書いた理由書を市区町村が受け付けるかどうかは、頼む前に確認します。

出典:老企第42号(上記)、介護保険法施行規則第75条第1項第3号(上記)、厚生労働省「介護保険における住宅改修」(PDF)、世田谷区の住宅改修の案内(PDF)、文京区「住宅改修費の支給」、いずれも2026年9月30日参照。

見積もりは複数から、材料費・施工費・諸経費を分けてもらう

厚生労働省の概要資料は、複数の事業所から見積もりを出すことを促すとしています。世田谷区は2社以上から取るよう案内しています。見積書は、材料費・施工費・諸経費などが分かれた形にしてもらいます(老企第42号)。書き方は市区町村の様式や案内で確かめます。

ほかの工事と一緒に頼む場合の見積書の分け方は、ケアマネジャーか市区町村の窓口に確認します。業者の探し方に迷ったら、ケアマネジャーに住宅改修を扱ったことのある業者を聞く方法があります。

親名義でない家・賃貸は、所有者の承諾を工事前に

施行規則第75条第3項は、改修する住宅の所有者が本人でない場合、所有者が承諾したことを確認できる書類を、工事前に出す書類に添えるよう定めています。文京区は「家屋承諾書」、世田谷区は「住宅改修の承諾書」を工事前の申請書類に挙げています。厚生労働省の概要資料と通知では承諾書が工事後の書類の項目に載っているため、市区町村によっては提出の時期が違うことがあります。いずれにしても、承諾は工事前にもらっておきます。

賃貸の場合は、承諾書に加えて、退去するときに手すりをどう扱うか(外すのか、残してよいのか)も、工事の前に大家さんや管理会社と話しておきます。扱いは賃貸借契約と所有者との取り決めによるので、あとで行き違いにならないよう書面に残しておくと確かです。

改修前の写真は、撮影日が分かる形で場所ごとに

通知は、工事前に出す「予定の状態が確認できるもの」を、便所・浴室・廊下など箇所ごとの改修前と改修後の予定の状態を写真や簡単な図で示したもの、としています。つまり今の様子の写真と、工事後の予定を示す図面の組み合わせです。文京区は撮影日の確認できる改修前の写真と平面図を、世田谷区は日付入り・カラーの工事前の写真と図面を求めています。

工事が終わったら、同じ場所を同じ角度から撮り直して、工事後の書類に付けます。業者が撮る場合もありますが、帰省したときに家族も場所ごとに1枚ずつ撮っておくと、ケアマネジャーとの相談にも使えます。日付入りかどうか、カラーかどうかといった条件は、市区町村の案内で確かめます。

市区町村の確認が届くまで着工しない

工事前の申請を出すと、市区町村が工事の内容を確認し、結果を知らせてきます。この通知の名前も市区町村ごとに違い、江東区は「事前申請確認書」、世田谷区は「承認通知」、文京区は「審査済書」という呼び方をしています。業者が段取りを急いでも、この通知が届く前には工事を始めません。

申請から着工までの日数にも、市区町村ごとの決まりがあります。

日数は実家のある市区町村の案内で確かめます。退院日や帰省の予定に合わせて工事日を決めたいときは、申請から着工までにかかる日数を先に聞いておくと、予定を組みやすくなります。

申請したあとに工事の内容を変えたくなったら、工事の前に市区町村とケアマネジャーに連絡します。江東区と文京区では、事前に申請した内容と違う工事は支給の対象外になることがあります。当日に「ついでにここも」と手すりを1本足すような変更も、対象外になる場合があります。

出典:世田谷区「住宅改修費支給申請」、文京区「住宅改修費の支給」、江東区「介護保険 住宅改修費の支給」、いずれも2026年9月30日参照。日数と期限は各区の例です。

工事が終わったら出す書類

工事が終わって代金を払ったら、市区町村に支給の申請をします。通知(老企第42号)が挙げている書類は次のとおりです。

これに加えて、市区町村の支給申請書や、工事前に届いた確認書・承認通知の写しなどを求められることがあります(文京区・世田谷区)。

支給までの日数は市区町村によって違います。文京区は、書類の審査のあと約1か月で支給決定通知を送り、振り込むと案内しています。

出典:老企第42号(mhlw.go.jp)、文京区「住宅改修費の支給」、世田谷区の住宅改修の案内(PDF)、いずれも2026年9月30日参照。様式と追加の書類は市区町村によって違います。

お金の流れ:償還払いと受領委任払い

住宅改修費の支給限度基準額は20万円です。このうち保険から出るのは原則9割(上限18万円)で、所得に応じて8割(上限16万円)、7割(上限14万円)になります。自己負担は1〜3割で、20万円を超えた分は全額自己負担です。親の負担割合は、手元の介護保険負担割合証で確かめます。

工事費と負担割合自己負担保険から出る額
20万円の工事・1割負担2万円18万円
20万円の工事・2割負担4万円16万円
20万円の工事・3割負担6万円14万円
27万円の工事・1割負担9万円
(20万円の1割の2万円+超えた7万円)
18万円

出典:厚生労働省「介護保険における住宅改修」(PDF)(9割・8割・7割とそれぞれの上限額)、世田谷区の住宅改修の案内(PDF)(27万円の工事で1割負担なら自己負担9万円の例)、いずれも2026年9月30日参照。

償還払い:いったん全額を払い、あとで給付分が戻る

通知が定めている流れは、工事が終わって書類を出したあとに市町村が支給を決める形です。つまり工事代金はいったん全額を業者に払い、あとで給付分が振り込まれます。20万円の工事なら、1割負担でも支払いの日には20万円を用意することになります。給付分が戻るのは工事後の書類を出して審査が終わってからで、先に書いた文京区の例では、書類の審査のあと約1か月で振り込まれます。

受領委任払い:自己負担分だけを払う

市区町村によっては、受領委任払いを選べます。本人は工事費の1〜3割(自己負担分)だけを業者に払い、残りは市区町村が業者に直接払う方法です。新宿区は、区に登録している事業所だけが受領委任払いの対象になると案内しています。世田谷区は、施工業者の同意が必要だと案内しています。受領委任払いを使うと、工事前の申請のときに追加の書類を求める市区町村もあります。

立て替えが難しいなら、業者を決める前にケアマネジャーと市区町村の窓口に、受領委任払いがあるか、あるならどの業者が使えるかを聞いておきます。業者を先に決めると、その業者が登録していないなどの理由で、受領委任払いを使えない場合があります。工事の日にいくら手元に用意するかは、実家の転びやすい場所7つ(住宅改修費20万円枠の節)にも書いています。

出典:新宿区「介護保険住宅改修費受領委任払いについて」(ページの最終更新2026年3月16日)、世田谷区「住宅改修費支給申請」、いずれも2026年9月30日参照。受領委任払いがあるかどうか、使える業者は市区町村によって違います。

つまずきやすい場面

先に工事をしてしまった

着工前に申請していない工事は、原則として支給の対象になりません。文京区は「区への申請をせずに行った改修工事は、給付の対象となりません」、世田谷区は「原則、着工後の申請は認められません」と案内しています。江東区も、事前申請確認書が出る前の工事は支給の対象外としています。

例外の規定は国の省令にあります。施行規則第75条第2項は、やむを得ない事情がある場合には、申請書と理由書を工事の完了後に出せると定めています。通知(老企第42号)が例に挙げるのは、入院・入所している人が退院・退所後に自宅で暮らすために、先に着工する必要がある場合などです。

ただし、やむを得ない事情に当たるかどうかを判断するのは市区町村です。事後の申請が認められる前提で工事を進めることはせず、急ぐ事情があっても着工前に窓口へ相談します。すでに工事を済ませた場合は、事情をそのまま市区町村とケアマネジャーに伝え、どう扱われるかを聞きます。

入院・入所中に、退院後の実家を整えたい

入院・入所している間は、原則として住宅改修費の支給を受けられません(江東区は「入院中、入所中は原則として住宅改修の支給申請が出来ません」と案内)。ただし先に書いたとおり、通知は退院・退所後に自宅で暮らすために先に着工する場合を、やむを得ない事情の例に挙げています。

この場合に先に工事を認める市区町村があります。愛知県阿久比町の「介護保険住宅改修費支給に関する同意書」は、退院・退所後の自宅をあらかじめ改修する必要があるときに限って先に工事ができ、支給の申請は退院・退所後に行うこと、自宅に戻らなかった場合は給付を受けられず全額実費となることを示しています。世田谷区は、入院・入所中の場合は理由書に入院中であることと退院予定日を書くよう案内しています。

退院前に実家を直したいときは、入院先の相談員とケアマネジャー、それに市区町村の窓口に、先に工事ができるかを確かめます。自宅に戻れなかった場合は全額自己負担になることがある点も、あらかじめ家族で共有しておきます。なお、入所している施設そのものの改修は対象外です(江東区・世田谷区)。

家族が自分で手すりを付けたい

本人や家族が自分で工事する場合、対象になるのは材料の購入費です(老企第42号。世田谷区は「家族が施工の場合は材料費・消費税のみ」と案内)。工事前の申請、理由書、写真といった書類は業者に頼む場合と同じく必要です。壁の下地を探して手すりを固定する作業には強度の問題もあるので、自分で付けるかどうかはケアマネジャーと相談して決めます。

両親とも認定を受けている

20万円の枠は、認定を受けている人ごとにあります。同じ家で父と母の両方が認定を受けていれば、それぞれに枠があります。ただし廊下や玄関のような共用部分の同じ工事を、2人で重ねて申請することはできません。どちらの申請にするか、工事ごとに分けるかは、市区町村の窓口で確かめてから決めます。

出典:介護保険法施行規則(e-Gov法令検索)第75条第2項、老企第42号(mhlw.go.jp)、文京区、世田谷区、江東区、阿久比町「阿久比町介護保険住宅改修費支給に関する同意書」(PDF)、いずれも2026年9月30日参照。

20万円の枠と、市区町村独自の助成

20万円は親1人あたり、今住んでいる家ごとの枠で、20万円に達するまでは何回かに分けて申請できます。年度ごとに戻る枠ではありません。枠がもう一度設定されるのは、転居したときと、最初の改修の着工時から介護の必要の程度が3段階以上上がったとき(こちらは1回限り)です。この2つの詳しい条件は「親の介護は何から始める?(お金の全体像)」で説明しています。

対象になるのは、告示で決められた6種類の工事です。

工事の種類(告示の名称)実家での例(老企第34号より)関連する記事
手すりの取付け廊下・トイレ・浴室・玄関、玄関から道路までの通路など実家の転びやすい場所7つ、玄関の上がり框の段差対策
段差の解消部屋と部屋の間の敷居を低くする、スロープを付ける、浴室の床をかさ上げするなど玄関の上がり框の段差対策
滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更畳から板床などへの変更、浴室の床を滑りにくいものに変える、通路面を滑りにくい舗装材に変える浴室の床の滑り止め
引き戸等への扉の取替え開き戸を引き戸・折戸などに替える、ドアノブの変更、戸車の設置など実家の転びやすい場所7つ(住宅改修費20万円枠の節)
洋式便器等への便器の取替え和式便器を洋式便器に替える
これらの各工事に付帯して必要となる住宅改修手すりを付けるための壁の下地の補強、便器の取替えに伴う給排水設備の工事など

出典:厚生労働大臣が定める居宅介護住宅改修費等の支給に係る住宅改修の種類(平成11年3月31日厚生省告示第95号/mhlw.go.jp(PDF))、「介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて」(平成12年1月31日老企第34号/mhlw.go.jp)、いずれも2026年9月30日参照。

介護保険の対象にならない工事や、20万円を超えた部分について、市区町村が独自に助成することは通知の上でも認められています(老企第42号)。助成があるか、どんな条件かは市区町村によって違うので、工事前の申請の相談をするときに「独自の上乗せの助成はありますか」と窓口で聞いておきます。

支給の申請には期限もあります。江東区は、業者に代金を払い終えた日の翌日から2年で時効になると案内しています。工事後の書類は、そろったら早めに出します。

出典:老企第42号(mhlw.go.jp)、江東区「介護保険 住宅改修費の支給」、いずれも2026年9月30日参照。時効の起算日は江東区の例です。

訪問してきたリフォーム業者とその場で契約しない

住宅の修理に関する消費生活相談は、高齢者からのものが目立ちます。消費者庁の『消費者白書』(2023年版)は、屋根工事では高齢者の相談が全体の6割以上を占め、点検商法の相談は近年増加傾向で、高齢者が6割以上だとしています。国民生活センターは2018年3月1日の公表資料で、住宅の点検商法の相談が2016年度に2,400件に達したとしています。どちらも介護保険の住宅改修に限った数字ではなく、住宅修理や点検商法全体の数字です。介護保険を使えると言って訪ねてくる業者がいても、その場では契約しません。介護保険の住宅改修は、ケアマネジャーと相談して決めた業者に頼みます。契約してしまった場合は、クーリング・オフできる場合があるので、消費生活センターに相談します。

出典:消費者庁『消費者白書2023』第1部第2章第2節(2)、国民生活センター「『大雪で歪んだ』などと自宅の不具合を指摘して不安をあおる『点検商法』」(2018年3月1日公表)、いずれも2026年9月30日参照。

工事をしない手すりという選択肢

壁に穴を開けたくない、賃貸で承諾が取りにくい、工事を待つ時間がない。そういうときは、床に置く据え置き型や、床と天井で突っ張る手すりを借りる方法もあります。介護保険の福祉用具貸与の対象になっている製品なら、ケアプランに入れて1〜3割の負担で借りられる場合があります。対象かどうかは製品ごとに違います。これは住宅改修の20万円の枠とは別の制度で、毎月の支給限度額の中で使います。対象になる製品と費用は、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に確認してください。種類と選び方は「工事なしで置ける手すり」にまとめています。突っ張り型は天井の強度を確かめてから使うものなので、そこも同じ記事で説明しています。

場所ごとの対策は、玄関なら玄関の上がり框の段差対策、浴室なら「親の入浴が心配になったら」と浴室の床の滑り止め、家全体を見直すなら「実家の転びやすい場所7つと、帰省時10分チェックリスト」から見られます。工事で付ける手すりと置く手すりを組み合わせる家もあるので、どちらにするかはケアマネジャーと相談して決めます。

よくある質問

理由書を書いてもらうのに、お金はかかりますか?

担当のケアマネジャーや地域包括支援センターの職員が理由書を作るのは、本来の業務の範囲です。厚生労働省の通知(老企第42号)は、そのために別の費用を取ることはできないと示しています。担当以外の専門家に頼む場合は、費用と、その理由書を市区町村が受け付けるかどうかを、頼む前に確かめます。

担当のケアマネジャーがいません。理由書は誰に頼めばいいですか?

市区町村の介護保険の窓口か、地域包括支援センターに相談します。世田谷区はケアマネジャーがいない場合の依頼先を、文京区は相談先を案内しています。作業療法士や福祉住環境コーディネーターなどが書いた理由書を受け付けるかどうかは、市区町村によって違います。

要介護認定の結果が出る前に、申請できますか?

標準は、結果が出てから工事前の申請をする順番です。急ぐ事情があれば、認定の申請中でも工事前の申請を受け付ける市区町村があります(江東区、神戸市など)。受け付けるかどうかも条件も市区町村によって違い、結果が非該当なら全額自己負担になります。急ぐときほど、先に窓口で条件を聞いておきます。

申請する前に工事をしてしまいました。

原則として支給の対象になりません。介護保険法施行規則第75条第2項には、やむを得ない事情がある場合に工事の完了後に申請書と理由書を出せる規定がありますが、当てはまるかどうかは市区町村が判断します。まずは市区町村の窓口とケアマネジャーに相談してください。

賃貸住宅でも使えますか?

賃貸住宅でも対象になりえます。所有者が本人でない場合は、所有者の承諾を確認できる書類を添えて申請する仕組みです(施行規則第75条第3項)。支給されるかどうかは市区町村が判断します。退去するときに手すりをどう扱うかも、工事の前に大家さんや管理会社と取り決めておきます。

業者は自分で選べますか?

厚生労働省の資料が示す流れでは、施工する業者を選んで見積もりを頼むのは利用者の側で、複数の事業所から見積もりを取ることも促しています。ただし、受領委任払いを使う場合は市区町村に登録している業者に限られることがあり(新宿区の例)、市区町村によってはほかにも業者の条件を設けていることがあります。業者を決める前に、ケアマネジャーと市区町村の窓口に確認してください。

20万円を超える工事をしたらどうなりますか?

20万円を超えた分は全額自己負担です。1割負担で27万円の工事をすると、20万円の1割の2万円と、超えた7万円を合わせて9万円が自己負担になります(世田谷区の案内の例)。超えた部分に市区町村独自の助成があるかどうかは、窓口で聞けます。

親が入院中です。退院前に実家を直せますか?

入院・入所している間は、原則として住宅改修費の支給を受けられません。ただし退院・退所後に自宅で暮らすために先に工事をする場合を、国の通知はやむを得ない事情の例に挙げていて、先に工事を認める市区町村があります。入院先の相談員、ケアマネジャー、市区町村の窓口に確認してください。自宅に戻れなかった場合は全額自己負担になることがあります。

支給までどのくらいかかりますか?

市区町村によって違います。文京区は、工事後の書類の審査のあと約1か月で支給決定通知を送り、振り込むと案内しています。償還払いの場合は、その間は工事代金を立て替えている状態になります。

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