家での体位変換のやり方と、体位変換クッションの選び方|何時間おき?の考え方と腰を痛めにくい向きの変え方

退院のときに「向きを変えてあげてください」と言われたけれど、一人でやると腰が痛い方に

PR本ページはプロモーション(広告)を含みます。楽天アフィリエイトのリンクを掲載しています。また、Amazonのアソシエイトとして、親ケアナビは適格販売により収入を得ています。製品の評価・順位は収益で変えていません。運営・選定方針

たとえば退院の日に、病棟の看護師から「床ずれにならないよう、ときどき体の向きを変えてあげてください」と言われる。家で親を仰向けから横向きにしようとすると、思ったより重くて腰に響く。横にしたあとクッションをどこに挟めばいいのかも、何時間おきにやればいいのかも、はっきりしない。この記事は、そんな場面にいる家族に向けて書いています。

前半では、体の向きを変える間隔の考え方、仰向けから横向きへの手順、介助する側が腰を痛めにくい姿勢、クッションを入れる場所を順に書きます。後半では、向きを保つための体位変換クッションの選び方と、介護保険で借りられるものを整理します。編集部は商品を使って比べておらず、内容は公的機関・学会の資料と、メーカー・販売店の商品ページで確かめたものです。

先に結論

床ずれのでき方や赤みの見分け方は「床ずれ(褥瘡)の初期サインの見つけ方」で説明しています。この記事は、向きを変える手順と、変えた向きを保つクッションの話です。

体位変換の間隔は、日本褥瘡学会の一般向けページでは基本的に2時間を超えない範囲、粘弾性フォームマットレスや上敷二層式エアマットレスなどを使う場合は4時間を超えない範囲でもよいとされています。個人差があるので、実際の間隔は主治医・訪問看護師と決めてください。

向きを変えるときは、上半身と下半身を分けて手前に寄せてから倒します。ベッドの高さを上げるかベッドに膝をつくなどして前かがみを小さくし、本人に近づいて作業すると、腰にかかる負担を減らせると厚生労働省が掲載する腰痛対策の資料にあります。

横向きにしたら、背中や、体が重なる所・浮いている所にクッションを入れて姿勢を保ち、下になった肩と腰の皮膚のよれ、寝間着のしわを直します。 → 比較表と3つのクッションへ

この記事で比べるクッション3つ

形と大きさがそれぞれ違う3つを、寸法と中材を楽天の販売ページで確認できたものから選びました。どれがよいかの順位ではありません。楽天のレビューは3つとも0件だったため、選ぶ理由にしていません。価格は楽天の各販売ページに2026年10月22日に表示されていた税込の金額で、店舗・時期によって変わります。3つとも市販品で、介護保険で借りられる物として選んだものではありません。

体位変換は何時間おき?

自分で寝返りが打てなくなると、体重のかかる同じ場所が長い時間押され続けます。日本褥瘡学会の一般向けページは、長い時間同じところが押されるのを避けるため、定期的に体の向きを変える(体位変換)としています。では、どのくらいの間隔で変えればよいのか。ここは調べると数字が資料ごとに違って出てくるので、この記事では日本褥瘡学会の一般向けページに書かれている数字だけを使います。

日本褥瘡学会の一般向けページが示す目安

日本褥瘡学会の一般向けページは、体位変換を「基本的に2時間を超えない範囲」で行うとしています。粘弾性フォームマットレスや上敷二層式エアマットレスなどを使う場合は、「4時間を超えない範囲で行ってもよい」としています。同じページには、使っているマットレスの種類や骨の出っぱり具合で個人差がある、とも書かれています。

2時間・4時間は「この時間を超えないように」という上限の目安です。本人に合った間隔は、状態と寝具で変わります。実際に何時間おきにするかは、主治医・訪問看護師と決めてください。訪問看護を使っていない場合は、ケアマネジャーに相談すると、医療職につないでもらえます。

エアマットを敷いたのに、なぜ向きを変えるのか

介護ベッドにエアマット(空気で体圧を分散するマットレス)を入れたあとで、「マットが体圧を分散しているのに、まだ人の手で向きを変える必要があるの?」と思う方は少なくありません。日本褥瘡学会のページは、自分で寝返りができない人には圧切替型エアマットレスを使うことを勧め、上敷二層式エアマットレスなどを使う場合の間隔を「4時間を超えない範囲」としています。人の手での体位変換をどこまで減らせるかは、このページからは読み取れません。

エアマットにはいくつかの種類があります。どの種類なら人の手で向きを変える回数をどこまで減らせるかは、この記事では判断できません。使っているマットレスの商品名と型番を伝えて、訪問看護師・主治医に間隔を決めてもらってください。

夜中も続けるのがつらいとき

夜中に何度も起きて向きを変える生活が続くと、介護する側が眠れなくなります。そうなったら、自動で体の向きを変える機能のあるマットレスなどの福祉用具や、夜間の訪問介護(定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護など)が使えるかを、ケアマネジャーに相談してください。使えるサービスは地域や要介護度で違うので、使えるかどうかを聞くところから始めます。介護する側の睡眠をどう取り戻すかは「夜中に何度も起こされて眠れないとき」で説明しています。

仰向けから横向きへ:家族一人でやる手順

長寿科学振興財団の「健康長寿ネット」は、介助者が一人で仰向けから横向きにする手順を載せています。流れは、いったんベッドの片側(介助する人の側)へ体を寄せ、向く側に回って手前に倒す、の2段階です。この章の「手前」は、どれもその時に介助する人が立っている側を指します。ここではその手順に沿って、家で行う順番に並べます。始める前に、本人に「これから右を向きますね」のように声をかけてから動かします。

  1. 体に当てていたクッションや枕を、いったん外します。
  2. 介助する人は、体を向けたい側の反対側に立ちます。本人には両手を胸の上で組んでもらい、できれば膝を立てて、体をなるべく小さくまとめます。
  3. 頭の枕を手前に寄せておき、後頭部から肩にかけて手を差し込んで、上半身を手前に引き寄せます。シーツの上で体を引きずらないよう、ゆっくり動かします。健康長寿ネットは、体が敷布団の上でずれると、そのずれも床ずれの原因になると説明しています。
  4. 次に腰の下と膝の下に手を入れて、下半身を手前に引き寄せます。上半身と下半身を一度に動かさず、分けて寄せるのがこの手順の要点です。
  5. 介助する人は、体が向く側に回ります。本人の顔を向ける側に向けてもらい、肩と膝に手を添えて、手前に倒します。
  6. 背中に枕やクッションを入れて、姿勢を支えます。
  7. 下になった肩を少し引いて浮かせ、肩の皮膚のよれを取ります。続けてお尻を少し後ろに引き、軽くかがむような姿勢にして、腰の皮膚のよれを取ります。
  8. 体が重なる所や、体が浮いている所にクッションを入れます。入れる場所は後の章で説明します。

日本褥瘡学会のページには、体位変換のときはベッドからの転落や摩擦・ずれを防ぐため、できれば2人で行うとあります。1人で行うときは、体の部分を少しずつ動かす方法や、スライディングシートなどの回転しやすいシートを使う方法も紹介しています。手順2で反対側から寄せて、手順5で向く側に回るので、ベッドの両側に人が立てる置き方になっているかも確かめておきます(次の章)。

関節が固くなっている、痛がる、手術のあと、骨折したことがある、といった場合は、この手順どおりに動かしてよいかを主治医・訪問看護師・理学療法士に確認してください。ベッドから車椅子へ移すときの道具と手順は「ベッドから車椅子へ一人で移せないときの道具選び」で扱っています。向きを変えたあとにおむつがずれて漏れることが続くなら、「おむつが漏れる」で原因の見分け方を説明しています。

腰を痛めにくくするために介助する側がすること

厚生労働省が掲載している腰痛対策の資料(「第2章 腰痛対策」の介護作業の項)は、おむつ交換や体位交換などの介助について、腰への負担を減らすポイントを挙げています。施設などで働く人に向けた資料で、家族の介護のために作られた手順ではありませんが、ベッドの上で人の向きを変えるという作業は同じです。

介護ベッドに高さ調節の機能があれば、向きを変えるときだけ高くして、終わったら元に戻します。高さ調節がどのモーターの型に付いているかはメーカーで違うので、「介護ベッドは1モーター・2モーター・3モーターのどれ?」で確かめてください。

ベッドまわりの隙間と、後から付ける手すり

体を介助する人の側へ寄せると、本人の頭や腕がベッドの柵(サイドレール)や手すりに近づきます。消費者庁は、介護ベッドと柵や手すりの隙間に首などが挟まれて亡くなる事故が毎年起きているとして、注意を呼びかけています。NITE(製品評価技術基盤機構)の介護ベッドの事故防止対策報告書(令和4年12月)も、死亡事故の多くは挟み込みによる事故で、ベッドの周りに後から付ける手すりなどは、付け方によっては事故のリスクがあると書いています。

経済産業省・NITEなどが出している介護ベッドのリーフレット(令和3年11月)は、隙間が安全かどうかは自分で判断せず、福祉用具専門相談員や製造事業者に相談するよう求めています。ベッドを借りている事業所の福祉用具専門相談員に、柵と手すりの隙間を見てもらってください。手すりの種類と隙間の確認は「ベッドに付ける手すりの選び方」で詳しく説明しています。

クッションを入れる場所と、変えたあとのしわ・ずれ取り

横向きの角度は「30度側臥位」が方法の1つ

日本褥瘡学会の一般向けページは、横向きの姿勢の1つとして「30度側臥位」を挙げています。骨の出っぱりがない、広いお尻の筋肉(殿筋)で体重を受けられる姿勢という説明です。同じページは、クッションなどを使ってできるだけ広い面で姿勢を保つようにし、個人差があるので30度はあくまで目安としています。

関節が固くなっている方、痛みがある方、手術のあとの方は、合う角度もクッションの置き方も変わります。訪問看護師や理学療法士に、角度とクッションの位置を一度見てもらってください。

背中、体が重なる所、体が浮いている所に入れる

健康長寿ネットの手順では、横向きにしたあと、まず背中に枕やクッションを入れて姿勢を支えます。そのうえで、体が重なる所や体が浮いている所にクッションなどを入れると、筋肉の緊張が和らぐと説明しています。横向きでは、体が重なる所や、ベッドとのあいだに隙間ができて体が浮いている所が候補になります。具体的な位置は、訪問看護師に見てもらってください。

すき間を埋めるように入れるので、大きさの違うクッションがいくつかあると合わせやすくなります。形と大きさの考え方は次の章で説明します。

向きを変えたら、寝間着のしわと皮膚のよれを直す

日本褥瘡学会のページは、寝間着のしわで体が押されないよう整えることを挙げています。健康長寿ネットの手順でも、横向きにしたあと、下になった肩を少し引いて浮かせて肩の皮膚のよれを取り、お尻を少し後ろに引いて腰の皮膚のよれを取ります。腰の骨は出っぱっているので、横向きでいちばん圧がかかりやすい場所だと、同じページは説明しています。

介護ベッドの背上げや脚上げを使ったあとに、背中を一度ベッドから離して、引っ張られた皮膚や服を戻すことを「背抜き」と呼びます。これもずれやしわを取るための手順で、やり方の説明は「介護ベッドは1モーター・2モーター・3モーターのどれ?」の背上げの注意の章にあります。シーツのしわが気になるなら、寝具の測り方から書いた「介護用の防水シーツの選び方」も参考にしてください。おむつ交換のついでにお尻の赤みを見ておきたい場合は「高齢者のおむつかぶれ・お尻の赤み」に洗い方と相談の目安をまとめています。

体位変換クッションの選び方

楽天などで「体位変換クッション」「ポジショニングクッション」と探すと、介護用品の店が扱う物から、一般の寝具として売られている三角クッションまで並びます。商品名に「床ずれ防止」などの言葉が入っている物もありますが、この記事ではその言葉は判断材料にせず、販売ページに書かれた寸法・中身・カバーで比べます。数値はどれもメーカー公称か販売ページの表記です。

形:入れる場所から考える

背中を支えるなら、横向きの背中に沿う長さのある大きめの三角形や長い形が候補になります。今回比べた三角形は幅60cmの型です。脚が重なるところや足元など体の一部に当てるなら、幅30cm前後の小さな三角形や枕型が使いやすい大きさです。1つで全部をまかなおうとせず、入れたい場所ごとに大きさを分けて考えます。

中身:ウレタンかビーズか

中身は、ウレタンフォームの物と、ビーズ入りの物に分かれます(今回比べた枕型のビーズはオレフィン系エラストマー)。重さは中身と大きさで違い、今回比べた中では幅60cmのウレタンの三角が約400g、ビーズ入りの枕型が1.2kgでした。どちらが合うかは本人の体格や当てる場所で変わるので、迷ったら訪問看護師に、どこに入れたいかを伝えて相談してください。

カバー:外せるか、洗えるか、防水か

おむつを使っている方や汗をかきやすい方なら、カバーの手入れは毎日のことになります。カバーが外せるか、洗濯できるか、防水か拭ける生地かを、販売ページと取扱説明書で確かめます。今回比べた3つは、販売ページで洗濯の可否まで確認できていません。カバーの手入れは、購入前に販売ページと取扱説明書で確かめてください。カバーの生地や裏面に滑り止めがあるかも、ベッドの上でずれにくいかに関わるので見ておきます。

大きさ:ベッドの幅に収まるか

クッションを背中側に入れると、置いた向きの寸法のぶん、ベッドの上がふさがります。今回比べた①の三角は幅60×奥行24×高さ12cmです。本人を寄せたあと、背中側にクッションを入れる余裕があるか、柵や手すりとのあいだに無理なく収まるかを、ベッドの幅を測って確かめてから選んでください。

比較表と、比べた3つのクッション

体位変換・ポジショニング用として楽天で売られているクッションから、形と大きさがそれぞれ違う3つを並べました。どれがよいかの順位ではありません。寸法・重さ・素材は楽天の販売ページの表記で、型番とJANコードも販売ページに出ているものを書いています。

商品この記事で想定した入れる場所寸法重さ中身カバー・洗濯可否楽天の価格(税込・2026年10月22日参照)
イノアックリビング
超通気サーティパッドカリーナ 600タイプ
背中(大きめの三角)幅60×奥行24×高さ12cm約400g(販売ページ表記)ウレタンフォーム(高通気タイプと表記)外カバー綿82%・ポリエステル18%
洗濯可否は確認できず
12,760円
介護応援館
モルテン
ポジショニングピロー ピーチ ノーマル MPHMT
脚の重なる所など体の一部(枕型)幅31×長さ41cm1.2kgビーズ(オレフィン系エラストマー)ポリエステル
洗濯可否は確認できず
5,368円
介護BOXパンドラ
ウェルファン
三角クッション ピタゴラス30
足元など体の一部(小型の三角)幅30×奥行24×高さ13cm販売ページに記載なしウレタン系素材は販売ページに記載なし
洗濯可否は確認できず
6,699円
介護shop サンアイ

※寸法・重さ・素材は楽天の各販売ページの表記です(2026年10月22日参照)。価格は楽天の各販売ページに2026年10月22日に表示されていた税込の金額です。価格は変わることがあるので、購入画面で確認してください。

以下は順位ではなく、形と大きさごとの選択肢です。編集部は実物を試しておらず、点数付けもしていません。

①大きめの三角・ウレタン

背中に入れる幅60cm:イノアックリビング 超通気サーティパッドカリーナ 600タイプ

税込12,760円(楽天の介護応援館・2026年10月22日確認。店舗・時期で変わります)

向いている方
  • 横向きにしたあと、背中側に幅60cmほどの大きめの三角形を入れたい
  • 家族が出し入れするので、軽いクッションがよい
気になる点
  • 幅60×奥行24cmあり、背中側に置く場所がいる
  • カバーを洗濯できるかは、この記事では確認できていない
  • 3つの中では価格が高め

イノアックリビングの三角クッションで、楽天の介護応援館の販売ページでは、幅60×奥行24×高さ12cm、重さ約400g、中材はウレタンフォーム(高通気タイプと表記)、外カバーは綿82%・ポリエステル18%です。JANコードは4905564061268。同じメーカーに「サーティパッドPRO Ag」という防水カバーの別の製品があり、重さや仕様が違うので、買うときは商品名の「カリーナ」と「600タイプ」を確かめてください。背中に入れる前に、ベッドの幅に収まるかを測っておきます。

楽天で見る Amazonで見る

②枕型・ビーズ

ビーズ入りの枕型:モルテン ポジショニングピロー ピーチ ノーマル MPHMT

税込5,368円(楽天の介護BOXパンドラ・2026年10月22日確認。店舗・時期で変わります)

向いている方
  • 脚の重なるところなど、体の一部に当てる枕型がほしい
  • まず1つ、手ごろな価格で試したい
気になる点
  • 1.2kgあり、比べた三角形(約400g)より重い
  • 楽天では店ごとに型番の表記が違う(MPHMT/MPHP/MPHMなど)

モルテンのポジショニングピローで、楽天の介護BOXパンドラの販売ページでは、型番MPHMT、幅31×長さ41cm、重さ1.2kg、中身はビーズ(オレフィン系エラストマー)、カバーはポリエステルです。JANコードは4905741906849で、ショップ直送品と表記されています。楽天では同じ「ピーチ」でも、店によってMPHP(JANが違う)などの型番で売られていて、カバーの仕様などが違う可能性があります。この記事の楽天のリンク先はMPHMTのページです。Amazonのリンクは検索結果で、型番の違う商品が並ぶことがあります。どの店で買う場合も、型番(MPHMT)とJANコード(4905741906849)が同じかを確かめてください。洗濯の可否は、販売ページと取扱説明書で確認してください。

楽天で見る Amazonで見る

③小型の三角・部分用

体の一部に当てる幅30cm:ウェルファン 三角クッション ピタゴラス30

税込6,699円(楽天の介護shop サンアイ・2026年10月22日確認。店舗・時期で変わります)

向いている方
  • 背中用とは別に、足元など体の一部に当てる小さめの物がほしい
  • 形の決まった三角形で、毎回同じように置きたい
気になる点
  • 重さとカバーの素材が販売ページに見当たらない
  • カバーを洗濯できるかは、この記事では確認できていない
  • メーカー直送品で、店舗がキャンセルの可能性を注記している

ウェルファンの小型の三角クッションで、楽天の介護shop サンアイの販売ページでは、幅30×奥行24×高さ13cm、中材はウレタン系です。①の三角(幅60cm)の約半分の幅で、背中ではなく体の一部に当てる大きさです。重さとカバーの素材は販売ページに見当たらなかったので、気になる場合は店舗に問い合わせてください。メーカーからの直送品で、店舗の注記にはキャンセルになる場合があるとあります。

楽天で見る Amazonで見る

介護保険で借りられるもの・借りられないもの

介護保険の福祉用具貸与(レンタル)には「体位変換器」という種目があります。名前から、体位変換に使うクッションなら何でも借りられそうに見えますが、国の告示と通知で範囲が決まっています。ここでは決まりの文言と、自治体の運用の例を紹介します。この記事で比べた3つのクッションは楽天で買う市販品で、介護保険で借りられるかどうかは確かめていません。

体位変換器の決まり

貸与の種目を定めた告示(平成11年厚生省告示第93号)は、体位変換器を「空気パッド等を身体の下に挿入することにより、居宅要介護者等の体位を容易に変換できる機能を有するもの」に限り、「体位の保持のみを目的とするもの」を除くと定めています。通知(老企第34号)も、体の下に入れて、てこや空気圧などを使って仰向けから横向きや座った姿勢への体位の変換を容易にできるものとし、「専ら体位を保持するためのものは除かれる」としています。

このただし書きについて、岡山市の資料が引用する国のQ&A(平成14年3月28日付の事務連絡)は、「まくら、座布団等、通常専ら就寝や安息のための用途に供されるもの」を除く趣旨だと説明しています。体位を保つのにも使える物であっても、体の下に入れやすく、入れたあとも形が崩れないなど、体の向きを変えるのに使える製品であれば対象になり得る、という考え方です。就寝用の枕や座布団のような物は対象外です。ポジショニングクッションと呼ばれる物でも、向きを変えるのに使える製品は対象になり得ます。

たとえば岡山市は、令和7年3月1日から、スネーククッション、ロンボポジショニングクッション、バナナターンなどを貸与の対象の体位変換器として明示しています。そのうえで、使う目的が単なる体位の保持ではなく体位変換であることを、サービス担当者会議などで確認することを条件にしています。これは岡山市という1つの自治体の運用で、扱いは市区町村によって違うことがあります。ある製品が借りられるかは、ケアプランでの使う目的と、その製品の扱いで決まるので、ケアマネジャー・福祉用具専門相談員に確認してください。

なお、介護保険で購入費の一部が出る「特定福祉用具販売」の種目(腰掛便座、入浴補助用具、簡易浴槽など)に、体位変換器は入っていません。厚生労働省の資料には、介護保険の福祉用具の範囲を決めた当時(平成10年)の考え方として、介護を必要としない人も使う一般の生活用品ではなく介護のための価値があるものを対象とし、一般的に低い価格のものは対象外とする方針が載っています。個々の製品が対象になるかは、この考え方だけでは決まりません。

要支援1・2、要介護1の方は原則として対象外

厚生労働省の資料では、要支援1・2と要介護1の方は、体位変換器の貸与が原則として介護保険の対象外です。ただし、認定調査で「寝返り」が「できない」とされた場合や、医師の医学的な所見をもとにケアマネジメントで特に必要と判断され、市区町村が確認した場合などは、例外的に借りられることがあります。例外に当たるかは市区町村が判断するので、家族が決められることではありません。

要介護2以上の方は、この原則対象外の扱いを受けません。ただし、借りられるかどうかは、ケアプランで必要と認められるかによります。借りた場合の自己負担は、原則として費用の1割(所得により2割・3割)です。ほかのサービスと合わせて要介護度ごとの上限を超えた分は全額自己負担になるので、ケアマネジャーに確認してください。本人の割合は介護保険負担割合証に書かれているので、分からなければ市区町村に確認してください。

迷ったら、親が住む市区町村とケアマネジャーに相談

体位変換器を借りるか、市販のクッションを買うかで迷ったら、まずケアマネジャーに、どんな場面で向きを変えるのに困っているかを伝えてください。借りるか買うかの考え方は「歩行器・車椅子は買う?借りる?」に、要介護度ごとの状態の目安は「要支援1〜要介護5の目安と区分の違い」にまとめています。まだ要介護認定を受けていない場合の入口は「親の介護は何から始める?」で説明しています。

介護保険で借りる・買うの違いを見る

よくある質問

夜中も起きて、向きを変えないといけませんか?

日本褥瘡学会の一般向けページは、体位変換を基本的に2時間を超えない範囲とし、粘弾性フォームマットレスや上敷二層式エアマットレスなどを使う場合は4時間を超えない範囲でもよいとしています。夜中をどうするかを含めた実際の間隔は、本人の状態と寝具で変わるので、主治医・訪問看護師と決めてください。夜中の体位変換が続いて眠れないときは、自動で体の向きを変える機能のあるマットレスなどの福祉用具や、夜間の訪問介護が使えるかを、ケアマネジャーに相談してください。

クッションは、家にある座布団や枕で代わりになりますか?

健康長寿ネットの手順でも、横向きにしたあと背中に入れる物として「枕やクッション」が挙げられています。家にある物で姿勢を保てるかは、本人の体格や状態で変わるので、この記事では判断できません。訪問看護師に、家にある物で足りるかを一度見てもらってください。なお、介護保険の体位変換器では、就寝用の枕や座布団のような物は対象外とされています。

本人が嫌がったり、痛がったりするときは?

無理に動かさず、主治医・訪問看護師・理学療法士に相談してください。関節が固くなっている、痛みがある、手術のあと、骨折したことがある、といった場合は、向きの変え方もクッションの入れ方も変わります。動かす前に声をかけ、どちらを向くかを伝えてから動かすことも、手順の最初に入れておきます。

クッションは何個そろえればいいですか?

個数の目安を示した公的資料は、この記事を書くときには確認できませんでした。健康長寿ネットの手順では、背中のほか、体が重なる所や体が浮いている所にクッションを入れるので、背中用の大きめの物と、脚のあたりに当てる小さめの物で分けて考えると整理しやすくなります。何をいくつ使うかは、訪問看護師に本人の姿勢を見てもらって決めてください。

体位変換クッションは介護保険で借りられますか?

介護保険の「体位変換器」は、体の下に入れて向きを変えやすくする物が対象で、体の向きを保つだけの就寝用の枕や座布団のような物は対象外です。岡山市の資料が引用する国のQ&Aでは、体の下に入れやすく、入れたあとも形が崩れないなど、向きを変えるのに使える製品なら対象になり得るとされています。要支援1・2と要介護1の方は原則として対象外で、例外があります。借りられるかは、親が住む市区町村とケアマネジャーに確認してください。

比較表を見る